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2011-10-26
道で買う24 高谷農園 久美浜砂丘のサトイモ
久美浜の砂丘といいますと、メロンやサツマイモの名産地として知られています。
ところが、砂丘で栽培されるサトイモもおいしくて、京都市内の料亭が買い占めていく。地元には残らなくて入手困難。
という噂を聞きました。ニュースソースは、西条柿を教えてくれたS社長です。
インターネットを調べてみますと、サトイモと砂地の相性はよさそうです。モッチリしたサトイモには砂地の水はけが不可欠だと、異口同音に書かれています。
本日の営業コースは野田川→弥栄→久美浜→峰山。
久美浜まで行きますと、果物や野菜の直売所が多い道を走ります。いくら入手困難なサトイモであっても、久美浜ならどこかに売っているはずだと期待しました。
まずは、SANKAI館に寄りました。
この時期、果物は新興梨と柿、野菜はダイコン、サツマイモが主役になってきます。同時にサトイモも出回ります。
売り場を片付けていたSANKAIKANスタッフに尋ねますと、砂丘のサトイモを京都の料亭が買い占めるという噂は聞いたことがないとのことでした。
それでも、そのスタッフは、サトイモの袋に表示された生産者の名前をひとりずつ確かめてくれました。
砂地を畑にしている人の名前があるかないか、それを見分けるためです。
すごいなと思いました。生産者の名前から耕作地の様子までわかるなんて、商品知識として難度DとかEじゃないでしょうか。産直のきわみです。
残念ながら、砂地の畑で育ったサトイモはありませんでした。
「砂地はありませんが、この方は国営ですねえ。国営もおいしいんですよ。とくにエビイモは、輪切りにして炊くだけで十分においしいですから」。
そのスタッフは、国営農地で野菜を作る森茂樹さんのサトイモとエビイモの袋を持ち上げました。これを一度食べてみたらどうかと勧めてくれました。
サトイモ250円、エビイモ180円の安い買い物ですが、買い物の楽しさを100万円分くらい味わったような充実感でした。
買ったサトイモとエビイモは、うちの会社の事務員さんに持って帰ってもらうつもりです。事務員さんのお母さんは煮物が得意です。なにせ若い頃は料亭の娘さんでした。
京都の料亭が買い占めるというくらいのサトイモならあのお母さんの煮物の腕にとって不足なし。そのように考えていました。
今日はひとまず国営を買って、機会をあらためて砂丘のサトイモを探そう。そう思いながら夕日ケ浦温泉にさしかかったときです。
日帰り温泉花ゆうみの少し手前に、まだ表を閉めていない直売店がありました。通りすがりの運転席からちらっと見ると、野菜が並んでいます。
カンとでもいえばいいのでしょうか、頭のなかで「寄ってみるべきだ」という声がしました。営業の仕事に就いて以来、「帰ろうと思ってからのあと一軒」と言われ続けてきました。その教えをサトイモで生かすことになるとは・・・
蛍光灯のともった店のなかに入りますと、二人の男性が、まさにサトイモの皮をきれいにしているところでした。二人の男性の隣にはプラスチックケース。そのなかに皮をきれいにされたサトイモが山積み。
あの、これ、ひょっとして砂丘のサトイモですか?京都の料亭が買い占めていって地元では買えないと聞いたんですけど・・・
店主とおぼしき男性のほうが、「うちは砂丘だけど」と答えました。とはいえ、京都の料亭が買い占めていくという話は初耳だとのことでした。
農協に出荷された野菜はなんであれ地元には残らない。うちは作った野菜を直で売りたいからサトイモでもなんでもここにある。そういった説明でした。
左の写真のような小さいサトイモばかりを好んで買っていく客もあるそうです。皮に切れ目を入れてゆがけばつるんと簡単に皮がむけるのがいいそうです。
そればかりではなくて、ひとくちサイズのサトイモが食べやすいという理由もあるそうです。
ひとくちサイズを塩茹でにしてもおいしいそうでして、皮付きのまま5個か6個も盛り付けたら飲食店ではそれだけで小皿料理にもなるそうです。
ひと袋500円のサトイモを2袋買いました。「ほい、オマケ」と、ダイコン1本をもらいました。
大根がオマケについたところで、ひと袋500円はサトイモにあるまじき値段です。これで他の産地のサトイモとなんら変わるところがなければ、道で買うシリーズはじまって以来の大失敗です。
サトイモの皮をきれいにする作業はなかなかたいへんそうでした。サトイモの値段はほとんどこれの手間賃みたいなもんだと店主らしき男性。
もっと白くしたほうが売れるという人もいるが、これ以上はたいへんすぎる。だからサトイモを買ってもらったらダイコンくらいオマケしないと、といったことでした。
砂丘のサトイモはおいしいんですってねえと私がもちかけると、「そこそこにうまいくらい」という答が返ってきました。
NHKがこのあたりのサトイモを取材に来ていたらしいから、それでおいしいことになってるのではないか。
ひと袋500円の割には実に飾らない答でした。
店を出て、店名を探しました。すっかり日の暮れた空、屋根が三角形を作るあたりに、「高谷農園」という字が見えました。
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