みなさん、うどんぜんざいって知ってました?
知りませんよねえ。
私も知らなくて、ランチハウスリリー(京都府福知山市)で初めて食べました。
え?!うどんぜんざいを誰も知らない?
ランチハウスリリーの店主マコちゃんにとって、うどんぜんざいは、昭和レトロの和スイーツです。小学校の給食によく出てきたというんですね。1週間に1回のペースで出ることもあったといいます。
うどんぜんざい? いや、初めてや。何、それ? うちの小学校にはなかった。
お客さんたちはみんなそう言います。マコちゃんが通っていた小学校だけではなかったのか。うどんぜんざいって、どんなもん?
「いや、ぜんざいのなかにうどんが入ってます。普通は白玉か餅やけど、その代わりにうどんが入ってます。給食で出てきませんでした?みんな食べてたと思うたんやけどなあ。どこの小学校にもあるもんや、全国共通やと思うてましたけど」とマコちゃん。
あの懐かしの味を店のメニューで復刻したいとマコちゃんは考えました。どこの小学校にもあったもんだと思ってましたから、「わあ、懐かしい」という声が上がるはずだと意気込んでいました。
市販のこしあんを湯で伸ばします。給食メニューですから小豆や砂糖たっぷりのものではありませんでした。うどん出汁も少し加えます。茹でたうどんを入れます。うどんらしさを出すためにお揚げものせました。
下の写真で見ていただく通りです。お揚げが大きすぎると思うんですけどね。お揚げの表面にはきな粉がかかっています。これは店のメニューらしくするための工夫で、給食メニューはうどんとぜんざいだけでした。
「これ、うどんぜんざいというよりもぜんざいうどんやろ」という声も聞こえてきそうです。
厄神さんを見越して復刻メニュー
マコちゃんはこのメニューを厄神さんに合わせて始めました。
厄神さんというのは、毎年2月19日に開催される厄除高良神社の厄除大祭のことです。福知山の人たちは厄神さんと言います。
お祭りの日はランチハウスリリーの前を多くの人が行き交います。「うどんぜんざい 昭和レトロ 和スイーツ」と書いて店の外に貼り出しました。それを見た参拝の人たちが「わあ、懐かしい」と入ってきてくれる。マコちゃんの読みではそうなるはずでした。
マコちゃんが店の外に貼り出したうどんぜんざいの品書き。厄神さんの参拝客目当て。
ところが、店の前を人が行き交えど、誰ひとりとして「わあ、懐かしい」と入ってきてくれません。おっかしいなあ。
いや、おかしくないんです。だって、誰もうどんぜんざいを知らない。昭和レトロどころか、平成26年のたったいま初めて知ったという人ばかりです。厄神さんの日ばかりではなくてそれ以降も、知っているというお客さんはまだひとりも現れません。
あんた知ってるか。いや知らん。
その会話で盛り上がることはあっても、「わあ、懐かしい」で一度も盛り上がったことがないのです。でも、みんな知らないから逆に盛り上がってもらえる、そう思えば有り難いことだと、マコちゃんは言います。
マコちゃんが通っていたのは惇明小学校でした。難しい漢字です。「じゅんめい」と読みます。すごいんです。福知山藩校「惇明館」として開校したのが1809年。なんと200年以上の歴史です。福知山市役所の隣、市街地ド真ん中で、駅前商店街をはじめ町の子たちがいまも通っています。
ランチハウスリリーには惇明卒業のお客さんも少なくないのですが、しかしながら、やっぱり、うどんぜんざいを知りません。
探偵ナイトスクープと秘密のケンミンSHOWや!
同じ惇明小といっても、あんたが通っていた6年間だけのメニューではなかったのか。だから、在学時期が違う人たちは知らない。マコちゃんの奥さんはそう言います。
誰か給食のおばさんのオリジナルレシピだった。そのおばさんしか作れなかった。そのおばさんがいた時期の子だけがうどんぜんざいを知っている。
どのおばさんやったか、あんた、思い出し。
そんなこと急に言われてもマコちゃんは思い出せません。
これは探偵ナイトスクープしかないという話になりました。探偵ナイトスクープに給食のおばさんを探してもらおうというわけです。
給食のおばさんですから、マコちゃんのお母さんと同じくらいの齢でしょう。お母さんはまだまだ元気です。膝の人工関節のほうが先に壊れるとみんな言います。だから、給食のおばさんだって元気でいる可能性が高い。
探偵にはランチハウスリリーに来てもらいます。店には惇明小時代の同級生たちが集まってます。探偵はみんなから手がかりを聞き出します。探偵があちこちに手を回して給食のおばさんを探し出してくれる。みんなの前におばさんが現れ、ランチハウスリリーの厨房に立ち、当時のレシピ通りに懐かしのうどんぜんざいを復活させる。
ところが、作り始めてから想定外のトラブル。給食のおばさんが、寄る年波に勝てずちょっとボケが入ってまして、細かなレシピを覚えていませんでした。そこで、マコちゃんが登場。はるか昔の舌の記憶を頼りにおばさんを手伝います。ふたりの共同作業によって当時そのままの味がみごとに再現されます。
集まった惇明小の同級生たちが、「おお、これや、これや」と大いに感激。涙を流している奴もいます。コッペパンをブチューと漬けてブヨブヨにして食いだす奴もいます。探偵も食べてみて、「おいしいですやんか、これ。こんなんうちの小学校でも出して欲しかったわあ」。
こういう算段です。
これはいけると思います。西田局長が泣きます。少なくとも3月5日放送の探偵ナイトスクープより絶対におもしろい。だけど、澤部、真栄田、橋本、たむけんが来たのではおもしろい話もくだらなくなってしまいます。寛平ちゃんか石田探偵に来てもらいたい。
探偵ナイトスクープですっかり有名になったうどんぜんざいは、続いて秘密のケンミンSHOWで取り上げられます。
京都府北部の福知山市民は、ぜんざいに○○○を入れて食べる。
そうなったら、千原ジュニアです。福知山市出身の千原ジュニアが○○○を当てたほうがおもしろいのか、間違えるほうがおもしろいのか。とにかくこれで、いつの間にやらうどんぜんざいが福知山名物になるわけです。
そしたら、マコちゃん、福知山マラソン大会で、全国からの参加者にふるまうのがええな。寒い時期やし、みんな喜ぶと思うわ。
もしそうなったら、市役所でも青年会議所でも、作り方くらいならいくらでも提供しますよ。
マコちゃん、けっこう本気やないっすか。
初めて食べてもやっぱりレトロ
で、そうそう、肝心の話。そもそもうどんぜんざいは美味いのかですよね。おいしいです。ぜんざいとか甘いもんが好きな人ならなおさら好きになると思います。さっきも言いましたように、うどんに含まれる塩気、それから隠し味で加えられたうどんだし。小豆との相性のよさが実際に食べてみて初めて分かります。
「マコちゃん、この味は、去年の大水害の後にみんなに食べてもろうたら、元気が出たやろなあ」と私。初めて食べるのに、なんだか懐かしい味で、福知山の昭和が詰まっている気がします。昭和の時代、やはり福知山は大きな水害に見舞われました。そこから復興を遂げたのです。
うどんぜんざいの話を聞いて「いやあ、気持ちわるそう」と言う人もいました。で、気持ちわるいと思う私の意見も必ずブログに書けと言います。
けど、あの人はたしか鳥取県出身です。ぜんざいっぽくない県ですよね。鳥取県はカレーの消費量日本一ですから、本当にぜんざいっぽくありません。麺類に関していえば、スラーメンといって、うどんだしに中華麺を入れて食べます。
ということで、うどんぜんざいを福知山名物にという話題でした。
「世代別に思い出に残る給食メニューは」というアンケート結果をアサヒビールが実施しました。その結果が下のグラフです。もちろん、うどんぜんざいなんてありません。
その他にも給食の思い出がいくつかのアンケート調査を通して浮かび上がっています。サイトはこちら→http://www.asahigroup-holdings.com/company/research/hapiken/maian/bn/201003/00326/
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