福知山で人気の「魚屋平兵衛商店」です。
年代ものの民家を再現したような外観・内装は若い人たちにもウケています。
集客アイデアに熱心な「なすグループ」の1軒だけあって、この夜はドリンク類すべて105円という企画をやっていました。
私たちは宴会でした。
幹事が2500円の宴会コースを人数分だけ予約していました。
けれども、その料理の中味が大誤算。
「まさか」の貧相さだったのです。
上の写真は、ひとり2500円の宴会コース4人前の中味です。したがいまして、値段にしますと、2500円×4=10000円になります。
料理の写真が切り貼りになっていますので不自然ですが、わかりやすさを重視してこの加工を施しました。
幹事は、2500円のコースを7人前頼んでいました。その料理がのっかったテーブルと部屋全体の様子を下の写真から想像して下さい。
手前のテーブルに3人分、奥のテーブルに4人分。分けて配膳されています。
幹事は、参加者に先駆けて店にやってきました。テーブルの上の料理を目にした彼は焦りました。
もしこれで全部だったら、足りそうにない・・・
普段から何度も魚屋平兵衛に来ている彼は、「このようなことはありえない」と経験的に思いました。「良心的」な店であると普段から思っているからこそ、ここを宴会の場に選んだのでした。
いま、食べログの口コミを見ましても、評判がいい店です。あの口コミから宴会コースのこの粗末さを想像することはできません。
ただまあ、今回の幹事を務めた彼の場合、酒のみです。サラリーマンのうさを晴らしたくて大いに飲むタイプだけに、食べ物はさほど問わないほうだと思われます。
しかしながら、今夜の宴会コースの場合は、そんな彼ですらも「?」を禁じえなかったわけです。
ともあれ、彼は急いで店に確かめました。
これで終わりじゃなくて、たとえば鍋であるとか、何かさらに出てくるんでしょう?
店の答はノーでした。今夜お出しする予定の料理はいますべてテーブルに載せてありますとのことでした。
そうかあ・・・まあ、べつに金がなくて2500円のコースにしたわけでもないし、食べたいものを追加で注文してもらえばいいか。
気心知れた仲間の宴会ですから、たしかにそれで充分です。
やがて参加者が集まってきました。そして、みんな口々に「料理はこれだけ?」と言い始めました。
「これで全部と言うてます」と幹事が伝えますが、みんな信じません。それは何かの間違いに決まっていると、みんなが言います。
「これで1人前でしょ?」という見解まで生まれます。
もう一度店に確認したほうがいいという結論になりました。
店のスタッフに来てもらって、間違っていないかどうかを店長に再確認してきて欲しいと頼みました。
そのスタッフは、たしかにこれで全部ですとの答を持って帰ってきました。「店長の特別サービスで枝豆とポテトフライをつけさせてもらいます」とのことでもありました。
店は、パンフレットにもこの中味で載せていますと言いました。
幹事も含めて、参加者の誰も、パンフレットをきちんと見たことがありませんでした。
翌日、よく見直してみますと、店の言い分どおり、たいした料理が出てこないことを予測できる記載内容になっていました。
写真で紹介されているのは、2500円のコースに1000円をプラスしたときの「グレードUP」という中味です。
2500円の中味については、「◆お通し◆鮮魚のカルパッチョ◆本日の焼き物◆本日の煮物◆本日の揚げ物2種◆料理長お勧め麺料理」の文字が見えます。
これを実際の中味にあてはめてみますと、以下のようになります。
◆お通し・・・ポテトサラダの小皿
◆鮮魚のカルパッチョ・・・鮭のカルパッチョひと切れ
◆本日の焼き物・・・玉子焼き1個
◆本日の煮物・・・野菜の炊き合わせ
◆本日の揚げ物2種・・・白身魚のフライ半切れと鶏唐揚1個
◆料理長お勧め麺料理・・・野菜サラダ付きの冷たい蕎麦
「魚屋だからできるクオリティー」と書いてあります。いや、まさにその通り。近い店を例にしますと、たとえば「おかげさま」や「東寿司」や「うさぎ」が2500円でこのクオリティーを出してしまえば、こつこつと築き上げてきた信頼のすべてが一瞬で崩れ落ちてしまいます。
ひとえに、我々の軽率な店選びが招いた結果でした。店を責めることはできません。
前日に決まった宴会でした。店選びの上で妥協は承知といった点が多々ありました。
我々の側にこうなるべき事情があり、そして当然の報いを受けたのです。
きちんと予定を立てて宴会を組み立てていれば、違う店を選べました。こんなことはなかったはずです。
とにかく食べ始めました。蕎麦を早く片付けないと、さらにまずい味になってしまいます。だって、人が集まる前から、予約した午後7時のさらに前から、蕎麦がテーブルに置いてありました。
すでに茹で上がってどんどん水気を失いながら客を待ち続けてくれる蕎麦。そんな体験、おそらくもう死ぬまでないことでしょう。
蕎麦を店で茹でていないな。私はそう類推しました。
茹でていない。ゆえに、茹でたてのほうがおいしいという選択肢を持っていない。そういうことではないかと考えました。
今夜の場合、量が足りないと店に文句を言った手前、たとえおいしくなくても、残すわけにはいきません。「料理をきちんと空にしよう」の号令が幹事から下ります。
ところが、幹事に尻をたたかれるにもかかわらず、とくに女性軍の箸が進みません。
このニンジンは冷凍だし、この白身フライなら業務スーパーでも10円で売ってるくらいだしと、食べる意欲が失せてしまった様子です。
年季の入った主婦たちだけに、目利きが厳しい。それに、主婦の日常を考えれば、生の食材から誰かがおいしく料理してくれてこそお金を払う価値が生まれるのであって、自分たちでもチョイチョイとやってしまえそうなものでは幸福感・満足感を得られないのでしょう。
さいわいにも、男性軍のなかに何でも食う人がいてくれて、みんな助かりました。
翌日、京都ルネス病院に入院中の知り合いを見舞いに行きました。たまたまですが、ルネス病院の病院食は手作りでおいしいという話題になって、「しまった、昨日の宴会、ルネス病院の病院食にしたらよかった」と冗談を言って帰ってきました。
この日の魚屋平兵衛商店への支払い額は、2500円のコース7人前に加えて、各自が勝手にあれこれ注文もして、31090円でした。
飲み物がオール105円という企画のおかげで、なんとかまあこの料金で済みました。
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