滋賀の名物サラダパン・・・
そうやったかいな? サラダパンが滋賀の名物やったかいな?
首をかしげて見つめておりますと、他のお客が5個も6個も買っていくではありませんか。
これはおいしいのかもしれない。さっそく食べてみました。
【サラダパン・・・テレビにも出ていたそうです】
どうしてさっきのお客が5個も6個も買ったのか、一発で分かりました。
うまい。食べる者を子供に引き戻す味です。
この味は他になかなかありません。
さっきのお客は、きっと家族へのお土産でしょう。小学生か中学生の子供から、「お父さん、またあのパン忘れんといてや」と言われていそうです。
サラダパンといいながらも、写真でごらんいただくとおり、開けばこんな風です。
どこがどうサラダパンやねん?
サラダなんてまったく入っていません。なんかが塗ってあるだけ。
けれども、滋賀県人が何かに名前を与える場合、正しさよりもなじみやすさを優先する傾向があります。
余談ながら、このへんの感覚が、滋賀県人の私と神奈川県人の妻お龍で食い違います。この溝はおそらく死ぬまで埋まらないでしょう。
さて、サラダパンの袋をひっくり返してみますと、「原材料名 小麦粉、たくわん漬、マヨネーズ、砂糖、マーガリン、卵、パン酵母、食塩、乳化剤、イーストフード、コショウ(原材料の一部に乳、大豆を含む)」と書いてありました。
そうかあ、たくわんかあ。そうやなあ、たくわんやなあ。
マヨネーズをベースにしたペーストのなかに細かく刻んだ沢庵が混じっていて、コリッコリッと歯に当たってきます。
製造者が「有限会社つるや 滋賀県長浜市木ノ本609」です。
なるほど木ノ本のパン屋さんか。賤ヶ岳のお膝元やんか。
それで、パンの包装に脇坂安治の絵柄か。
脇坂安治は、賤ヶ岳合戦で活躍した羽柴秀吉側の武将。加藤清正などとともに「七本槍」の一人に数えられています。
ついさきほど、私は福井県の柴田勝家側のお医者さんにペコペコ頭を下げていました。賤ヶ岳サービスエリアに来たら掌返し、羽柴秀吉側のパンがおいしいと言っています。
脇坂安治は、明智光秀とも縁深い武将です。
光秀の丹波国攻略では敵将の赤井直正から一目置かれるほどの存在であったと伝えられています。この逸話の元になっているのが黒井城の戦いだそうです。光秀は、この戦に勝利した翌年に福知山の領地を与えられることになります。
と、まあ、パンひとつでも歴史を勉強したくなるのが、近江国、とくに湖北の楽しいところです。
この味は妻お龍も好きに違いないと思って、お土産に3個買いました。家に戻ってお龍に手渡しますと、「おとうさん、これ、テレビに出てたよ」という反応。「だいぶ前だから、番組名とか忘れてしまったけど」と言います。
おいしいもんといえば、だいたいがテレビに先を越されてますね。
【魚肉ソーセージのなつかしい味 サンドウィッチ】
商品名がサンドウィッチ。
まあ、これもまた、そっけない命名です。
60年も前から作り続けて地元で1番大人気。
へえ・・・。
記憶をたどってみました。60年前は無理ですが、50年ほど前ならどうだったか。
パンにハムだけをはさんで、それでみんながサンドウィッチだと思っていた時代がたしかにあった気がします。みなさんはいかがでしょうか。
パン屋さんが食パンにジャムやチョコレートを塗るだけで商品になった時代です。
やがて、「ロバのパン」がやってくるようになって。
けれども、いま食べているこのサンドウィッチは、私が辿れる時代よりもさらに以前から作り続けているサンドウィッチです。
なんと、魚肉ソーセージが挟んであります。
これは嬉しい。こんなことでもなければ魚肉ソーセージは食べなかったでしょう。
しかも、おいしい。魚肉ソーセージって、こんなにおいしいもんだったでしょうか。
お龍は、サラダパンよりもこちらのほうがお好みのようでした。
【つるやの食パンを買いたくなった】
サラダパンもサンドウィッチも、パンが柔らかくて甘くておいしい。食べていくうちに、パンのおいしさぬきには成り立たない味だと気づきました。
これは、私には、スタンダードのおいしさです。
これまでの人生のどこかで、パンのおいしさを初めて悟った日があったはずです。自分が覚えていないだけで。
遠い記憶のなかのそんなおいしさと、いま食べているおいしさが合致しています。
ベーカリー、ブランジェリー、天然酵母、オーガニック。
そういうシャレたことを何も言わないのにおいしいパン。
木ノ本の「つるや」というのがそういうパン屋さんではないかと思いました。
次は木ノ本インターで下りて、つるやさんの食パンを買ってみたいと思います。
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