10月1日、縄屋(京丹後市弥栄町黒部)で、「鮨と日本酒」という特別企画がありました。
まずはレポートその1。この後、その2、その3と続きます。熱のこもった企画ですから、ブログにも熱がこもります。
ワインの世界では、料理と酒の組み合わせを楽しむのが当たり前になっています。ご存知の方も多いはずですが、マリアージュといわれています。ソムリエという職業が成立するくらいですからね。
これと似たことを鮨と日本酒でもやってみようというのが、今回の特別企画です。竹野酒造の行待佳樹さんが、今回の企画のために、6種類の弥栄鶴を準備しました。縄屋の吉岡幸宣さんとの間ですでに打ち合わせ済みの6種類です。
鮨ですから酢がきわめて重要です。富士酢の飯尾醸造+弥栄鶴の竹野酒造+縄屋の三者が集まって予行演習を重ねること3回。この企画成功のために、飯尾醸造からは特製の酢も提供されました。Think Globally, Act Locallyの3人が力を持ち寄ったのかと、私の期待は高まりました。
この企画の値段が、ひとり8400円。カウンターに座れる人数を上限に客を募ったところ、9月中には満席になってしまいました。
この夜の客は、神戸からの夫妻、峰山からの女性2人組、与謝野町から家族連れの3人組、京都から縄屋は初めてという男性1人、そして私。合計9人でした。
なかには、「自分が入る墓は造り酒屋の隣だ」という人もいました。酒の匂いに囲まれて死んでいられると喜ぶほどの日本酒党です。
竹野酒造の行待佳樹さんは、開始1時間前には縄屋に入っていました。冷やして出す酒の温度調節や、瓶から徳利への移し替えなど、細々とした準備作業があるからです。
冷酒に挿し込んだ温度計が10度になったところで、酒を徳利に移します。
これは、まあ、デキャンタですね。冷酒でも徳利を使ったほうがいいと思います。なにか違う気がします。この前、大阪の新地であれこれやってもらっているうちに気づきました。あまりみなさんやらないんですが、やったほうがいいですよ。
行待さんは、東京農大を卒業して実家の竹野酒造に戻り、いまが3年目です。「東京農大といっても、学校に行きませんでした。ずっと飲んだくれてましたから」とのこと。「東京飲んだい」です。あれこれ日本酒を飲み比べる生活は仕事のうちです。星の数ほど日本酒があるなか、弥栄鶴をどんな酒にすればいいのか、そこをしっかり見定めないと生き残れません。
ひと月ほど前に、京都市内の八坂神社で結婚式を挙げました。「いやあ、三々九度のお神酒がねえ」って、そんなときまで利き酒するんかい。自分たちのお神酒に弥栄鶴を使ってもらえなかったそうでして、思い出の美酒であるはずがなんとも情けない味だったと嘆いていました。
吉岡さんと行待さんの短い挨拶が済むと、奥さんの吉岡恭子さんがわさびをすりおろし始めました。吉岡さんがまな板に立ちます。あ、まな板に立ったらいけませんね。まな板に向かいます。
鮨と日本酒の宴がスタート。
恭子さんの白く細い腕に筋が立ち、わさびがどんどんすりへっていきます。吉岡君が万が一浮気でもしようものなら、おろしがねの刑が待っていそうです。
それでは、この日の鮨と日本酒の組み合わせをまとめてみます。(Internet Explore、Firefoxでは罫線がきちんと表示されず申し訳ありません。Chromeなら大丈夫です)
鮨ネタ | 酒 | 備考 |
甘鯛 | 笑顔百楽 斗瓶どり | 非売品 |
赤かじき | 笑顔百楽 | |
白いか | 錦蔵舞 | 10度に冷やして15度で飲む |
鮑 | 山廃純米七〇 | 57度の熱燗でキモとの相性アップ |
鯵 | 祭蔵舞 | 山廃仕込の酸味がポイント |
鯖 | 祝蔵舞 | |
鰆 | 祝蔵舞 | |
のど黒 | 笑顔百楽 斗瓶どり | ダシとの相性重視で選択 |
蛤 | 錦蔵舞 | |
穴子 | 祭蔵舞 | 酸味とわさびの相性を期待 |
大根菜 | | |
沢庵大名煮 | | |
| きょうおとめ | 祝蔵舞のイチゴ酒 デザート酒 |
厚焼卵 | | |
栗渋皮煮 | | |
*斗瓶どりとは、袋に詰めた醪(もろみ)からしたたり落ちる酒の一滴、一滴を斗瓶(1斗の容量をもつずんぐりむっくりの瓶)で受けて集めたもの。搾りをかけないで抽出された酒。
さて、レポートその2では、縄屋の鮨が登場します。
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