この寿司10貫で1000円。ということは、１貫100円。
天五（天神橋筋５丁目）の「すし政」中店。お昼の上定食です。
めちゃめちゃおいしいというわけにはいきませんが、値段を考えたらめちゃうまいといえます。
やっぱり大阪はおもしろい！
私が食べているところに、おばちゃん３人組が入ってきました。なにせすぐ満席になる店ですから、このときはカウンターしか空いてなくて、私のすぐ横におばちゃん３人が座りました。
どうやら初来店らしくて、みんなでメニューを覗き込んでいます。そのうち、真ん中のおばちゃんがカウンターの中の大将のほうを見て言いました。
上定食にしたいんですけど、これ、海老が入ってるんですねえ。
大将は答えます。はい、入っとりますよ。
私、海老アレルギーであきませんねん。海老抜きにしてもらえたらありがたいんですけど。
アレルギーやったら、抜いときますよ。
そしたら、抜いといて下さい。
それを聞いた右隣のおばちゃんが言いました。
あんた、それなら、海老の代わりになんか違うもん入れてもろたらええやんか。
「そうやなあ。それええなあ」とアレルギーのおばちゃんは友達からのアドバイスに答え、「代わりのもんお願いできるんですか」と大将に尋ねました。
できまっせ。
そしたら、ウニにしとこかな。
大将、意表を突かれた。
ウニですか？ ウニは上定食と別で？ え、海老の代わりにですか？ いや、ちょっと・・・ ウニは、ちょっと・・・ 別ならできますけど、ちょっとねえ・・・
そうですか。そしたらアワビはどうやろ？
大将はまたもや意表を突かれた。
いや・・・アワビも・・・ なんちゅうか、もっと、あきませんちゅうのか。たとえば、そうやなあ・・・ 何やったらええかなあ・・・ そうやなあ、ハマチとかどうです？それやったらできますよ。
ということで、ハマチに落ち着きました。
いやあ、横で聞いてておもしろかったこと。大阪のおばちゃんというのは、ほんまにいるんですね。海老アレルギーに嘘はないでしょうが、それにかこつけて、あわよくばウニかアワビを食べてしまおうちゅうんですからね。
大阪のおばちゃんと芸人がよく言いますが、あれは芸人のネタだと思ってました。しかし、いま自分が目の当たりにしたわけです。しかも、芸人のネタどころか寿司のネタ。
そんなもん、海老の代わりにウニやらアワビやら入るんでしたら、私も言いますよ。
どないしょ。自分も海老アレルギーやった。忘れて食べてしもた。いまからでもええわ。代わりにウニちょうだい。
だいたい、今日は朝からおもしろい日でした。ローソンのカウンターにポンと缶コーヒーを置いて「お願いします」と言ったら、なかのおばちゃんが「お願いされます」。あんたはよしもとか！
ともあれ、この「すし政」は、いつ行っても客が多くて活気があって、あの活気だけで寿司がおいしくなります。天神橋筋のアーケードは平日の昼間でもたくさんの人が歩いてますし、私はああいうのを見ると浮き浮きしてくるんですねえ。大阪を回れてよかったと、仕事に感謝です。
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