あべのハルカスに上ってきました。地上60階、300m。
何がよかったといって、ここまで高いところに上りますと、大阪市内がジオラマ(立体模型)です。そのジオラマのパノラマです。
大阪の地理をまったく知らないままに普段は走り回っているわけですが、多少なりとも東西南北の位置関係が把握できました。
神様のポジションから見る夕焼け
夕焼けを眺める人たち。高いところだから、太陽が地平に沈むまでずっと長く見ていられる。
太陽が沈む方角には大阪湾。背の高いビルが何なのか私には分からない。
この写真が見た目に近い夕景の色合い。見える高速道路は阪神高速松原線。
夕焼けを楽しみに上ってきた人がたくさんいました。いいお天気でした。
夕陽は海の方角に沈みます。USJや大阪港の方角です。夕焼けの広がりに連れて、西側のガラスにへばりつく人の数が増えていきます。
私の写真は露出を意図的に絞ってありますし、オレンジ色が強く出る色温度に変えてあります。実際はここまでゴールデンな夕焼けではありません。見た目に近いのはいちばん下の写真です。
沈みゆく太陽を見下ろす。これは、神様のポジションですね。天の皇と書く天皇さんですら、ハルカスに上ってこないことには太陽を見下ろすことはできません。
そこがチケット1500円を買って地上300mまで運び上げてもらった値打ちですが、ただし、夕焼けはやっぱり地面に立って見るのが美しいと思いました。よく晴れた日でしたから、門真や寝屋川あたりの第二京阪からはきれいな夕焼けが見えたんでしょうね。
夕陽が沈む時間帯にあの辺を運転していますと、オレンジ色の空を背景にした大阪の街。背の高いビルのシルエットが何本も並んでいます。
都会であれ、田舎であれ、普段の目線の高さにある身近な風景が夕焼けの進行と共に絵画的に変化してゆく。それが独特の郷愁につながります。ハルカスが見せてくれるジオラマのパノラマは非日常的すぎて、神様のポジションから見る夕焼けには珍しさこそあれ、深い情緒を感じませんでした。
ジオラマ風に写真を加工。トワイライトの時間帯。通天閣に灯がともった。村田英雄の「王将」の歌詞を思い出したーーー「空に灯がつく通天閣に 俺の闘志がまた燃える」だったと思う。
夜景に諭されて気負いが消えた
エレベーターから下りた人たちはまずこのガラスにへばりつく。夜景が目に飛び込んだ瞬間のインパクト。
驚嘆の声をひとしきり上げたら、その後、みんな寡黙になる。何かを思い詰めたようにガラスの前に立っている。
南側の夜景。阪神高速松原線とあべの筋が立体交差。繁華街のすぐ隣が下町だから意外と黒い部分がある。
次第に灯りが目立ちだすトワイライトの時間帯を過ぎて、眼下はすでに夜景に切り替わっています。
エレベーターが、夜景目当ての客をどっと吐き出します。60階に一歩を踏み出した途端に声が上がります。
なに、これ! めちゃきれいやんか!
外国からの観光客も多く、それぞれの言語で「なに、これ!めちゃきれいやんか!」と声を上げています。
夜景を見下ろしながら、「えらいことになったもんや」と私は考えにふけっていました。8月から新しい仕事に就き、小さな製薬メーカーの営業担当で大阪市内全域を回っています。それがどれほどたいへんな担当範囲なのか、じゅうたんのごとく視野を埋め尽くす夜の街からいやおうなしに伝わってきます。
人口の多さや医薬品の市場性など、頭のなかではこの街の大きさを認識してました。けれども、生身の感覚では何にも分かってませんでした。そんなスキだらけの気持ちに何かがドスーンとぶつかってきました。
これが自分の担当エリア?
俺ひとりで全部を回ってるの?
そんなん無理や。自分には無理や。
大きな市場やし、気を抜いたらあかん、頑張ろう。
そう思ってたんですけど、そういう気負いは間違いではないかと疑問を感じ始めました。
定年退職後の再就職ですしね、体験を楽しむくらいの心構えでちょうどいいと思いました。種々雑多な要素が肩を寄せ合う大都会。そこを自分が回ったらどんなことに遭遇するのか。その体験を楽しもう。
気の持ち方が急に変わりました。すっと楽になりました。
さらに高く。てっぺんに上るヘリポートツアー
ヘリポートツアーに参加しました。
ヘリポートツアーというのは、60階よりもさらに高い屋上まで上る有料オプションです(60階のカウンターで500円を払う)。屋上が緊急用のヘリポートになっています。便宜上60階が地上300mだとされていますが、本当の300mは屋上のことです。
9月1日から夜間ツアーも加わりました。皆既月食の夜の観測会がニュースになっていましたからご存知の方も少なくないと思います。
夜景というのは、高さが少し変わるだけで見え方がずいぶん変わるもんです。60階からヘリポートまでは階段にして60段ですが、それだけのことで空撮の景色に近づきます。立体感が失われ平坦化する分だけ迫力が薄くなった気もします。
でも、あの開放感はいいもんですねえ。風が吹いてますし。
案内してくれるスタッフたちがおもしろい人たちで、私は独りのツアー参加でしたが退屈しませんでした。
屋上では夜景をバックに記念撮影をしてくれます。60階に下りたときにはすでに記念写真が出来上がっています。お気に召しましたら1枚1200円ですと、こういうサービスなんですね。
お客さんほどノリのいいポーズをとってくれる人は珍しいとほめてもらったんですけど、買いませんでした。そういうほめ方してもらえるくらいですから、めちゃアホな顔して写ってました。
専門スタッフが夜景の説明をしてくれる。関空方向の説明に入ったところ。遠くに国際線飛行機が飛んでいた。
北側の夜景をバックに記念写真。カップル客は多い。写真はすぐに仕上がる。撮影はタダ。買うときは1枚1200円。
ヘリポートからの夜景。手前に手すりがある。その手すりに寄りかかっての撮影は禁止されている。
近々、もう一度行きたいな
あべのハルカスは、展望台、近鉄本店、レストラン、マリオット都ホテル、美術館、保育園、オフィスの機能が合わさった複合ビルです(下のホームページ参照)。
あべのハルカス公式サイトのフロアガイド。
展望台へのチケットを近鉄百貨店2階の売り場で買い求めてから、展望台専用エレベーターでまず16階まで上りました。16階でエレベーターを乗り継いで最上階へ到着です。
そのエレベーターは16階から60階までたった45秒です。時速換算18kmになります。
16 17 18 19 20 21・・・
1秒ごとに目まぐるしく変わる階数表示。それだけでも速いのに、スピード感をさらに盛り立てるのは、エレベーターの外を上から下へと流れるLED照明。乗っているみんなの口から「へえ」、「うわあ」。その段階からおもしろかったですねえ。
実を言いますと、私は10月10日にハルカスを初体験しまして、またすぐに行きたくなりました。で、17日にもう1回行きました。それをあたかも1回分みたいに仕立て上げてブログにしました。
2回行ったにもかかわらず、満足できる夜景がまだ撮れていません。ショッピング・ゾーンもちゃんと歩いてませんし。近々、もういっぺん行こうと思っています。
天上階へ上るエレベーター。エレベーターの外側を青白い照明が流れ落ちる。
とにかく速い。高さが3桁のメートルで表示され、階数が二桁で表示される。秒速5mで上っていく。
16階までなら百貨店やレストラン街なので、べつに料金は不要。16階のベンチはカップルたちの人気スポットらしい。
JR天王寺駅。駅の真上にはMIOという名のファッションビル。あべのハルカスは近鉄阿倍野駅と連結していて、JR天王寺駅と向かい合っている。
あべのハルカス全景。
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