2015-01-10

OPIUM(大阪市西区) おいしさとは究極の食べやすさ

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 止まれの標識が見えますねえ。
 このイタリアン・レストランは、まさしく止まれ。おいしいから、行き過ぎてはもったいない。今日はその確信をいっそう固めました。


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 前にも書いたことがあります。OPIUMという店の名を日本語にすれば阿片。うちの味のやみつき客になってもらいたいという願いが込められています。私もOPIUM中毒の一人です。ブログ記事のバラエティーを広げたくて再訪を辛抱していたのですが、やっぱり行きたい、食べたい。

 あれだけ上品なおいしさなのに、気さくきわまるスタッフの愛想良さ。ランチだからといって手を抜くことのない丁寧な仕上がり。「めちゃおいしいわ」を何度も言いながら食べてきました。

 フロアーを受け持つのは2人のソムリエール。お二人は親子のように似ていますし年格好も親子くらいに見えないこともありません。若いほうの方に「あの人、お母さんですか?」と尋ねたら、「いいえ、上司です。それに、私もそれほど若くありません。よく親子ですかと言われるんですけど」とのことでした。

 ランチセットはA(950円)・B(1200円)・C(1500円)、おまかせ(3,000円)の4コースがあるのですが、今日はCにしました。Cだとデザートが盛り合せになります。この前、デザートがおいしかったし、盛り合わせで食べたくなりました。



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 まずは野菜サラダから。料理も見ていただきたいけれど、背景も見ていただきたい。30年も続いている店だけに、オーナーが買い集めたアンティークな調度品や装飾品、そしてワインボトルをインテリアデザインの随所に配して、客をその気にさせてくれます。

 野菜サラダのいちばん上にプロシュートがかぶさっています。そしてクルトンがのっけてある。
 ドレッシングはバルサミコの濃い色が目立ちますが、単にバルサミコのドレッシングと言ってしまえない味わいです。バルサミコの甘さを目立たせ、酸っぱさと刺激臭を抑えてあります。
 写真では見えないところに、サヤインゲン、カボチャ、レンコン、タマネギ、トレビスが潜んでいます。ロメインレタスとトレビスは生のままで、あとの野菜は、ピクルスにしたり焼いたり炒めたり茹でたりと手が加わっています。そして、それぞれの野菜のほのかな甘さを生かしています。

 うちは、今年も京丹後市縄屋のおせちを注文し、ぎりぎりまで味付けを切り詰めて素材の風味で食べさせるという吉岡さんの流儀に感嘆したのですが、それに通じる職人魂を野菜サラダひとつにも感じました。

 おいしさとは究極の食べやすさを言うのではないかと、そんなことを考えながら味わいました。


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 パンがやわらかくふんわりとしておいしいし、このオリーブオイルがすばらしい。余計な苦味もえぐ味もないナチュラルな味。にもかかわらず、パンに少しつけたらしっかりとおいしい。パクパクと食べてしまいました。


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 このパスタ、パンチェッタとタマネギのトマトソースだと、若いほうのソムリエールが言いました。

 トマトソース? 色が赤くない。

 私が聞き間違えたかソムリエールが言い間違えたかのどちらかだと思いました。しかし、決してそうではなくて、オイルベースにほんのわずかのトマトソースを加えているのだそうです。

 オーナーシェフのポリシーは、塩味を極力控えた上でなおかつ後引き味だそうで、たとえばこのパスタの場合ですと、パンチェッタとタマネギから出る旨味、フライパンをあおる間にふりかけるパルミジャーノの旨味、そしてトマトソースの旨味と、アミノ酸の共存共栄みたいなおいしさが追求されています。そして、最後に、パルミジャーノをさらにふりかけ、コショウで味を整える。
 ニンニクをほとんど感じないソースでしたが、タカノツメのピリリとした辛味が後引き効果に貢献していました。

 自分でもよくパスタをこしらえていると言いましたら、そんなにパスタが好きなら次はキッチンの作業がよく見えるカウンターへどうぞとのことでした。ぜひぜひそうさせてもらいたい。勉強になりますし、おいしさが倍になります。


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 さあ、そして、デザート盛り合わせ。Cコースにしてよかったと、本心からそう思いました。うまいです!ケーキ専業店顔負け。

 私は、スイーツの名前を覚えるのがまったく苦手でして、おいしかったこと以外を忘れてしまいまして。

 3つのなかできっちり覚えているのは、ピンクのやつだけ。イチゴの甘王1個そのままをソルベにしてあるそうです。それだけでは酸味が勝ちすぎるので、メレンゲを添えて一緒に食べるようになっているとか。食べてみて、いま聞いたことを納得しました。ソルベだけでも十分においしいけれど、たしかにメレンゲと一緒ならもっとおいしい。

 いちばん右のは苦さを生かしたチョコレートの焼き菓子で、ビスケットも使ってあります。イタリア北ピエモンテのなんとか。ボンとかボニャとか、なんかそういう名前でした。これがまたおいしくて、ランチのいちばん最後を苦味の利いたデザートで締めるように段取りがなされているんですねえ。

 店の人達がこのブログに行き着く可能性は低いのですが、心からごちそうさまを伝えたいと思います。


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