3月も半ばだというのに氷雨の富山市。石川・富山県境の倶利伽羅峠あたりでは雪が降っていました。
北陸引継日程の最終日です。もう一度行っておきたい店は、ラ・ベットラ富山店です。私の後任者である美女を連れて行きました。ランチどきは初めてでしたが、自分向きではありませんでした。
いつからこんな痛い店に変わった?
大人気のイタリアン店です。ランチタイムはすぐに予約で埋まります。
ご承知の方も多いと思いますが、あの有名な落合務シェフの店「LA BETTORA DA OCHIAI」の1軒がこの富山市にあります。
ラ・ベットラといえば、東京の銀座店は日本一予約が取れないとまでいわれるほどの人気です。それが富山県立の公共施設である「高志の国文学館」に入っているのは、富山県から落合シェフへの熱いラブ・コールの結果です。その経緯がEテレで放送されたこともあります。
この日も満席でした。
美女が言うには、3月14日のホワイトデーだからでしょとのこと。なるほど、しかり。2人用のテーブルが10組分用意されていましたが、空きはまったくありません。男女の2人組がびっしりと並んでいます。美女の直感では、私たちの左右両隣は夫婦だそうです。この美女は見た途端に結論を出しますから、こちらも油断なりません。
ラ・ベットラ富山の場合、ランチ予約は、11:30~13:00 もしくは 13:30~15:00 のいずれかと、時間制になっています。この画一性が人気店の不便なところです。数多くの客を間違いなくこなすためにはシステマチックにやるしかないんですね。そのかわり、こういう画一的な客の扱いを繰り返しているうちに、客との関係がおかしくなってきます。多様なリクエストに応えられないのは店が悪いのではなくて、店が想定する以外のことを望む客が悪いという関係になってきます。「申し訳ありませんが」の精神が育まれにくい土壌です。
あれは13時25分頃だったか、ひと組のカップルが入店してきまして、「すみません、13時半のほうで予約している○○ですけど」とそこにいたスタッフに声をかけました。スタッフは「順にご案内してますのでお待ちください」と答えただけです。「黙って待っとれ」と言いたげなトゲさえ感じました。
ちょっと待てと私は思いましたねえ。
まずは「ご予約ありがとうございます」から言葉を始めるのではないのか。予約なしでは入れない繁盛が常態化したあまり、予約の手間をかけてでも来店してもらえる有難さを忘れてしまったんですね。
ひと組ずつの客はそれぞれの動機を以ってこの店を選択し、話し中ばかりの電話に何度もトライしてやっと予約できたというのに、店のほうはそういう個人の思い入れを置き去りにします。ここにいる客は観光バスがまとめて連れてきたくらいの雑な感受性になっています。
うちのシステムはこうなんだからシステム以外のことをつべこべ望むな。さっきのスタッフの態度がそう言っています。
それでも、開店したての頃はいい感じの店でした。スタッフもフレンドリーで、こういう痛さを伴う空気ではありませんでした。手馴れた既存スタッフが富山に集められていたことも感じよさの一因だったと思います。
県が好条件を提示して誘致した店ですから、その見返りに地元採用者を増やす約束も交わされたはずで、時間経過とともにスタッフが現地採用に置き換えられていったと思います。新しく現地採用された従業員がどれだけ洗練されるかも、ひとつの問題です。開店当初は、銀座店でも通用するスタッフが富山店起ち上げを受け持った。じゃあ、その後に採用されたいまの富山店スタッフが銀座店で通用するのか。そこだと思います。
いまのラ・ベットラ富山の場合、ホワイトデーなどスペシャルな機会には避けたほうが賢明だと思います。まあ、夫婦のホワイトデーならなんでもいいけれど、大切な彼女を心からもてなしたかったら、ここじゃないですね。
ラ・ベットラ店内から眺める庭
ウニ食いねえ
ランチCコース2940円は、前菜から一品、パスタから一品、メインディッシュから一品を選ぶシステムになっています。それぞれに定番のメニューと今日のオススメが多数用意されていますから、迷い始めたらきりがありません。美女の分まで私が決めてしまいました。ラ・ベットラに初めてやって来た美女には、ぜひともウニのクリームパスタを試してもらいたいものです。
パンはいつも3種類出てきます。
フォカッチャがとてもおいしいと美女。このしっとりした食感が格別だと言っていました。もうちょっと食べたそうです。
しかし、パンのおかわりでも店の受け答えが生意気でした。
パンはおかわりできるのか?とスタッフに尋ねたんですね。まあトゲのある答え方。
おかわりしていただけますが、残さない程度に。
あれは現地採用者に違いないと、私は美女に言いました。北陸で何度も感じたことなのですが、同じ趣旨のことを伝えるにも言い回しがキツいんですね。地元の客だけ相手にしているならトラブルにならないでしょうが、地元以外の客はムカっときます。
前菜です。
美女のほうはモッツアレラ、トマト、野菜、玉子を合わせたグラタンでした。
私は、モッツアレラとミニトマトのカプレーゼです。
グラタンをちょっと味見させてもらったら、孫の聖太郎にぜひとも食べさせたいおいしさ。作り方を勉強したいと思いました。美女は料理が大嫌いですが、このグラタンはちょっと真似してみたいそうです。子供が喜びそうだからといいます。
そう、美女、美女と言ってますが、なんのことはない、4歳の坊やがいる人妻です。年齢としても自分の娘の基子と孫の聖太郎みたいなもんです。
美女の血液はA型。だんなさんはO型です。Aの女房にOの亭主。これしかないでしょ。OはAの餌食と昔から言われるとおり、どこをどう聞いても、美女が結婚生活を仕切っている話ばかり出てきます。A型女房とうまくやるにはO型亭主がいちばんです。
9時過ぎたら家に帰ってくるな。私は早く寝たいのに、風呂も掃除しなくちゃならないし、メシもこしらえなくちゃならないし、9時過ぎたらどこかへ泊まって来い。
だんなさんはそう言われてるらしいです。いくらなんでも、これは話半分だと思いますが、O型というのはそう言われながらも平気な顔して家に帰れるんです。私がOだから分かります。言いたいように言わせておけで済むんですね。
パスタです。
上の写真は、ウニのクリームパスタ。これはラ・ベットラの人気メニュー。もちろん美女も褒めていました。ウニのソースを残すところなく食べ切りたいというのでスプーンを持ってきてもらったほどです。でも、これだってそうなんです。個々の客のニーズに対する鈍感さ。こういう料理なんだからスプーンくらいはじめから置いとけと思います。
下はゴルゴンゾーラのペンネです。もう少しゴルゴンゾーラのクセが残っていたらいいのにと思いました。ま、正直なところ、開店当初に比べて味が少しばかり落ちたような気がしたのですが、今日は店に反発を感じていますし、そのせいかもしれません。
メインディッシュのタリアータです。
上は富山牛。下は、美女が食べた鴨肉。
タリアータというのは「薄く切った」という意味ですから、そこさえ守れば、肉の種類を変えて料理することができます。
牛肉のほうを1枚味見した美女は、鴨より牛のほうがおいしいと言っていました。そうかもしれません。私も鴨を1枚味見しましたが、バルサミコソースとの相性を思うと脂っ気が過剰かもしれません。でも、牛肉のタリアータなら、金沢市木倉町の「タブリエ」のほうがおいしいと思いました。
美女がいちばん気に入ったのは、タリアータには必ずつきもののルッコラでした。ゴマの風味とほどよい苦さ。すぐにスマホでルッコラを検索して、ベランダ栽培をやってみようかなと意欲を見せていました。
「種の袋によってはロケットと書いてあるぞ」と伝えたところ、覚えやすいロケットのほうでインプットした様子でした。
デザートです。360円のプラスになります。
レモンを使ったケーキ、チョコレートケーキ。そしてエスプレッソ。
チョコレートケーキは、テーブルに運ぶ前に溶かしたチョコレートに浸してありました。表面がチョコレートでコーティングされるわけで、こういう芸の細かさがいいですね。
工場の社員食堂だなあ
人気の高さもよしあしです。人が詰まりすぎて余裕もありません。いくらなんでもいきすぎだと思いました。
せっかくのおいしいイタリアンなのに、10組ものカップルが店の案内で(というよりも指示に近い)一斉にテーブルにつき、ほぼ同じタイミングで運ばれてくる料理を一斉に食べる光景は、わるく言えばブロイラー、よく言えば工場の社員食堂でした。ここまで画一的では、食べさせられてる感を否めず、おもしろみも生まれません。
私は、これまで夜しか来たことがなかったから、ランチどきのこの殺風景さを知りませんでした。夜ならこんなに受身形で食べなくてもいい。ゆったりとした気分でもっと自分らしく食事を楽しめます。
夜のほうが料理のリズムもいいと思います。今回のランチは、料理と料理の間が空きすぎでした。
落合務シェフは、料理のリズムをとても大切にしています。すべてのテーブルの食事進行を把握できるだけの人数をフロアー要員にかけると言ってますし、自分が受けた注文の仕上がりに必要な調理時間をフロアー要員も把握していなければならないと言います。そうでなければキッチンとの意思疎通がうまくいかないからです。富山店のランチのリズムですと、ことごとく落合イズムに反してますねえ。
ラ・ベットラのランチ予約ルールは、ひとりでも多くの客を一律公平に扱う点ではよくできたシステムです。しかし、その結果、個人客に対して団体客向けの接遇になります。私の場合は、そのシステムの言外に店の失礼なスタンスを見てしまいます。
美女は、「おいしかったけど、三国のピザ屋さんみたいに楽しくなかった」と言っていました。おいしいけれど楽しくないランチ。実に的確で忌憚のない評価です。支払いは私ですが。
ラ・ベットラを支配する冷たさ・痛さは、あれだけの美味しさを台無しにしてなおかつお釣りがきました。
こんにちは。初めまして。私も先日、ラ・ベッドラに行ったところこちらのブログと全く同じことを感じたので思わずコメントしてしまいました。
返信削除初めまして。こちらのブログを偶然目にし、衝動的ですが、コメントさせてください。ラ・ベットラに限らず、富山県では、レストラン、ショッピング、病院、コンビニ、市役所の窓口に至るまで、職業意識が低く、ホスピタリティーやサービス精神が全く感じられません。あまりにも不愉快なので、買い物はネットショッピングか東京、食事はお取り寄せグルメにするなど、不愉快を最小限に抑えるよう工夫するようになりました。将来的な移住に向けて、貯金に励みます。
返信削除美味しいけれど、楽しくない。
返信削除まさに的確ですね。
富山出身で東京在住ですが、富山でこんなにクールに接客されても…。
ここの店員さんって何であんなに冷たいのでしょうか?
本当に美味しい料理が台無し。
上の方は、そもそも富山県ではホスピタリティーやサービス精神が全く感じられないと言っていますが、私は富山に帰省して家族で外食へ出掛ける度に、東京にない温かみを感じています。
そもそもラ・ベットラの意味をご存じなく利用して恥ずかしいコメントだと思います。ただの食堂という意味ですよ、サービスにこだわるならトラットリア以上の場所へ行くべきと思われます。
返信削除私も二回行きましたが、二回ともとても不愉快な気持ちになり帰りました。
返信削除1回目は主人と夜にコースを食べましたが、相当前から予約していたにもかかわらず席は
お店の入り口の1番狭い席でドアが開くたびに冷たい風がはいる(寒い時期)スタッフの態度や言葉に温かみが一つも感じられなくて、お値段が高いだけで、2人とも二度と行きたくない店と意見が一致しました。何年かして友人に誘われてランチにいって、久しぶりで話も弾んでる時にお客さんがほとんどいないのに、もうお時間ですから〜(出てって下さいと言われた)ちょっとびっくりしてしまい、ああこんなお店はいつか潰れるなっておもっとらやはりまもなく閉店になりました。
いくら人気かもしれませんが、お客さんのことよりお店の利益や考え方を優先してるのが感じて心地よくなかったですね。
それより先日行った東京のホテルの最上階のラウンジでのランチの折りの男性店員さんのこころづやサービスが素晴らしくまた行きたくなります❗️
ベットラ落合さんとは真逆でした。
東京のホテルの最上階のラウンジ笑
返信削除ベットラがどれだけ良心的な値段設定してたか理解していないんでしょうね
吉田牧場のチーズとか一流レストランでも仕入れられない素材使ってたのにあの価格
お客さんを回転させないと利益出ないんですよ
だからランチは完全二部制と案内してましたし
以上、同業者からの戯言でした