まず見過ごしてしまう店だと思います。気がついたとしても、おいしいという噂を聞いていなければ、やはり行き過ぎると思います。
私ら製薬業界の人間ですと、店の名前にビックリします。opiumというのは阿片ですから。お客さんをやみつきにしたろという意気込みが伝わってくる名前ですね。
私は、幸いにも、いま引継ぎ中のグルメ女子から、おいしい店だと教わっていました。今日の昼食時は単独行動でしたが、ひとりで入ってみました。
店の前のランチメニューを見まして、1200円のPranzoBに決めました。本日のメイン料理メダイのサルタート アンチョビバターソースに食指が動きましたが、今日のところは我慢、我慢。メダイがおいしい季節。マダイ以上とも言われる季節なんですけどね。
木の階段をトントントントン。ランチ席は2階になっています。
おー、女子だらけ。男は自分だけ。30歳くらいの女性がひとりで座っているテーブルもあれば、40歳~50歳のグループもいます。さっき店の前に立っていましたら、こういう女性客はみんな自転車で来ていました。
男の方がひとりですみません。
店の女性が私にそう言いました。いやいや、お店から謝っていただくことではありません。
その女性の胸にはソムリエールのバッジ。8℃に保たれたワインセラーと向かい合うテーブルに案内されました。セラーに収められたワインボトルは表向いたり裏向いたりしてますが、このソムリエールが吟味を重ねた結果なんでしょう。
「男の方がひとりですみません」からほどなく、もうひとり男性客が入ってきました。ソムリエールとの会話を聞いていると、どうやらワインの玄人らしい様子です。ランチと一緒にフルボトルのワインを開けているではありませんか。ロゼでした。
ソムリエールとその男性で、開けたワインのテイスティングが始まります。ワイングラスに鼻つっこんだり、テーブルの上で回したり。何かのイベントに使うワインの品定めをしているようです。「すぐだとちょっと固いですかねえ」といった言葉が聞こえてきました。
ああ、酒豪になりたい。昼からランチと一緒にボトル1本飲み干してしまえるくらいの酒豪になりたい。どれほど幸せか。私は弱くて、テイスティングだけであの世へ行ってしまいます。
ともあれ、こうした本格的な光景が日中から展開されていることがちょっとした感慨です。
さて、ここの料理がどれくらいおいしいのかは、サラダ(下の写真)のドレッシングだけで伝わってきました。バルサミコとあとは何を混ぜたのか知りませんが、ドレッシングと軽くやりすごしてしまえないほど深い味わいでした。
野菜の上に覆いかぶさっているのはプロシュートコットです。蓮根のマリネやカリッと炒めた薄切りカボチャも入っていました。そして、サラダを食べ終えて何もなくなった皿の上にトッピングのクルトンがパラパラと残りました。それがバルサミコの甘さに染まっています。
パスタは鶏ひき肉とカボチャの軽いクリームソース。メニューにはパスタの直径がスパゲッティーニであることまで記載されています。ちょっと細めです。
カボチャは、細切れにしてパスタの上に散らしてありました。さっきサラダに入っていたカリカリカボチャと同じものでした。加熱で甘さを増したカボチャがひと粒ずつのアクセントになっています。
ひと口目にふわっときたのは、パルメザンチーズのいい香り。これだけの店ですから、パルミジャーノをケチってパルメザンにしたのではなくて、パルミジャーノの主張の強さを避けたのでしょう。
クリームソースは、軽めのカルボナーラソースという感じで、玉子のやわらかい味わいが生きていました。ソースの玉子と具の鶏ひき肉で親子丼だなと思いました。
デザートは栗のパウンドケーキにしました。今日はブリュレがなくなってしまってとのことでしたから、ひょっとしてブリュレがめちゃおいしいのかもしれません。
とはいえ、私はこのパウンドケーキで十分に満足しました。上手に焼いてはるなあと感心しました。
午後4時になって、引継ぎのグルメ女子と合流しました。OPIUMのランチがめちゃおいしかったことを伝えると、あの値段であの味を昼間からというのがええでしょ?とのことでした。まったくその通りです。
本格派のイタリアンレストランの手抜きなしのランチだと思いました。OPIUM---店の狙い通り、中毒になってしまいそう。
また新たな女性客。やっぱり自転車でやってきました。
すぐそこの緑は靭公園。
こんなたたずまいですから見逃されやすいと思います。
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