2013-08-28

川端鮮魚店(金沢市片町) 今度はみんなで来たいな

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 魚がおいしい店があるから行こうと、高校の同級生二人を案内しましたのが、片町2丁目の川端鮮魚店。前にも書きましたように、卸市場を演出した店です。


 アホな仲間と、アホなこと言いながら、大いに食べて大いに飲んでるのがいちばん楽しい。金沢出張の夜はいつも独りですが、仲間同士でワイワイやっている人たちをうらやましく感じてばかりでした。
 今夜は私にも仲間がいます。片町の値打ちが、2倍にも3倍にも跳ね上がります。
 とにかく、どれもこれもうまい。どんどんいこか。まずは生ビールやな。
 といったことで始まりました。



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 タコわさです。この前食べて、いっぺんに気に入ってしまいました。魚料理はおもしろいもんですね。前回からだいたい2ヶ月経っています。その違いが味に出ています。海の水温も違うでしょうし、タコが獲れた場所も違うのでしょう。今回は、あっさり目のおいしさでした。



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 マグロとノドグロの刺身です。
 ノドグロ(アカムツ)の刺身は珍しくないか?と、A君が言います。彼は金沢に5年間住んでいた時期があります。ノドグロの塩焼きや干物なら珍しいと思わないけれど、刺身は初めてだそうです。脂がのって美味いなあと感激しています。ノドグロの持ち味は、脂がのった味の濃さ。白身のトロと呼ばれるくらいです。

 私は、冬なら塩焼き、夏なら刺身と思っていましたが、たしかに刺身はそう一般的でないかもしれません。勝手な推測ですが、ノドグロは2日ほど置いたほうが味がよくなるということですし、値も張る魚だけに味が熟してからでないともったいないという面もありますから、刺身に適した鮮度のうちに出す店が少ないのかもしれません。

 そんなノドグロの刺身が、川端鮮魚店では、そこまでスペシャルな扱いでもありません。


 

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 この店の名物、七輪焼きもいきました。ハマグリ、イワシ、ハタハタ、そしてモミイカ。
 モミイカというのは、丸ごとのイカを「いしる(魚醤)」で揉んでから干したものです。イカの旨みをイカに浸み込ませたような味で、うまいんです。A君、B君のうち、B君は大の日本酒党ですから、さっそく、肴は炙った烏賊でいいとばかりに、熱燗を飲み始めます。



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 銘柄は宗玄です。奥能登の珠洲市の酒です。酒飲みはサラリとした飲み口よりも昔臭い飲み口を好むと、A君がこの銘柄を奨めました。
 アルマイトの2合ちろりのまま出てきます。これがまた、日本酒党のB君を喜ばせます。半時間くらいの間に2回注文しましたが、ひとりでほぼ全部を飲んでました。



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 彼の飲みっぷりのよさに感服した私は、それならば、鯵のなめろうもぜひ味わってもらいたいと思いました。
 魚市場を演出した店だといっても、手を加えた魚料理は洗練されています。漁師が沖合で食べるような味ではなくて、ショウガを利かせて複雑で微妙ながらもさっぱりしたなめろうです。鯵が新鮮なだけあって、臭みはまったくありません。



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 能登の夏を物語る岩ガキも、そろそろシーズン終了です。B君が、岩ガキをレモンだけで食べたいと言ってました。その望み通り、レモンだけで食べる岩ガキです。6月に食べたのよりはだいぶ小型になっていたのが残念です。
 それでも、大好評で、「うーん、ミルクやあ」と幸せを噛み締めています。ミルクではなくてミルキーというべきですが、彼の場合、ミルキーといえば、ペコちゃんポコちゃんなのでしょう。



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 「いくらなんでも、こういうとこの出汁巻きはあかんやろ」と、B君が言いました。私も出汁巻きは食べたことがありません。「いや、ここは何でもおいしいはずや」と答えて、注文しました。実は、B君の言う通りかもしれないと心配もあったのですが、薄味でふんわりとした上品な出汁巻きが出てきました。

 ほんまやなあ、どれ頼んでも、外れのない店やなあ。

 彼の好みによく合う味だったようです。



 B君は、まめで面倒見のいい性格が災いしてか、同窓会の常任幹事をやらされています。本人も、みんなの消息が集まりやすいということで、幹事の立場を楽しんでいる面もあります。
 その彼から、金沢で同窓会をぜひやりたいの言葉が出ました。A君と私は、金沢がどれほど飲み食いに向いた町かをよく知っていますから、即決で大賛成です。
 川端鮮魚店の奥には団体で入れる席も用意されています。あそこにしようとB君は心をほぼ固めています。値段も手頃。この夜の支払いは1万2千円。ひとり4千円通しでした。



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 片町の夜は始まったばかりです。1日にたとえますと、まだ朝の7時半くらいになります。信号待ちには、これから出勤の女のコ。コンビニには、買い置き用の煙草を買いに来たセクシー娘。背中丸出しのドレスでレジの列に並んでいます。そういえば、さっきの川端鮮魚店でも、客と同伴出勤のホステスさんをちらほらと見かけました。

 A君がかつてなじみだったスナックに電話しています。「もしもしAですけど、忘れてませんか?」て、忘れてても忘れました言うわけないやろ。


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 スナックはA君のことを、お世辞抜きで覚えていました。

 B君がさっそく歌い始めます。曲目は「シクラメンの香り」、小椋佳です。カラオケの選曲リモコンには、いくつかの選曲方法が用意されていますが、彼の場合、必ずといっていいほど「あの頃」という選び方から入ります。そこに1975と年数を打ち込みます。昭和50年。我々が大学4年生だった年です。

 そういえば、B君は、小椋佳と何かどこかで似ているような気もします。で、小椋佳を歌うくらいですから、声もいいし、歌も上手い。高校のときは、声がいいというだけで音楽の成績が9だったくらいです。

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 私が甲斐バンドの「安奈」を歌い始めたら、A君が言いました。

 いや、俺な、この歌な、ずっと「あんなぁ」やと思うててん。

 たしかに、バックの女性コーラスに耳を傾ければ、「あんなぁ、クリスマスキャンドルの灯は」と言ってます。そんな風に聞こえますが、普通、そのまま思い込むか。
 うちの近所で、老人クラブの花壇の札見て、「この花の名前はボランティア言うんですか?」って聞いた奴がいたそうですが、ひょっとしてA君じゃなかったのでしょうか。



 とにかく、生きてるだけでオッケー。旧交を温め合いました。
 金沢の夜は、あちこちで展開されるありとあらゆるノミュニケーションを腕一杯にかかえつつ、更けていきました。

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