2014-02-08

中佐中店(石川県小松市) 小松うどんは白山水系の水で仕込むべし

20140207-IMG_8327写真は小松市の奥、郷谷川の名所である十二ケ滝。

 白山水系の水で仕込むべしと運命付けられたうどんがあります。
 石川県小松市の名産品、「小松うどん」です。

 「小松うどん」を名乗るには以下の8か条を満たさなくてはならないといいます。(参考 小松うどん | うどん ミュージアム 【うどん 博物館】

小松うどん 定義八カ条

一、小松市内で製造された麺であるべし
一、手打ち、手打ち風のものであるべし
一、加水量は、小麦粉重量に対して35%w.w以上52%w.w未満を基準とすべし
一、食塩水濃度10%を基準とすべし
一、白山水系の水で仕込むべし
一、出汁は、うるめ、むろあじ、さば節等を主に用い、昆布をふんだんに使いひくべし
一、具材は、”じのもん”を出来る限り使うべし
一、こまつの発展を願い、茹で上げるべし

 なかなか厳しい。欧州連合の伝統的特産品保護制度(STG)の定めのようであります。
 この八か条を定めたのは、(株)こまつ賑わいセンターです。平成22年度の市制70周年を機に小松うどんの地域ブランド化がスタートし、同時に定義八か条が作られました。
 小松うどんは伝統300年。前田家や徳川家に献上されていたという由緒あるうどんです。
 定義は、こんな事柄にも言及しています。

小松うどんの製法

小麦粉は小松産の「地粉」を中心に用い、塩は能登半島産「のと塩」を用いる。
特に水回し「水和」と、熟成「ねかし」が重要。
麺生地に麺工程上ストレスを掛けないよう特に気をつける。
茹では、生麺の重量の8倍の水量を用い、沸騰を保ちながら、約8分間で一気に茹で上げ、氷水で締め上げる。

出汁と具材

うるめ、ムロアジ、サバ、宗田節、目近節などを各店舗で配合して、取った出汁を昆布出汁と合わせる。
必ず載せる具材に決まりは無いが、ネギや蒲鉾のほか、一般的によく使われる具材として、牛肉や油揚げ等がある。

 小松うどんを食べることのできる店は市内に十数軒あります。そのなかでもっともポピュラーと思われる中佐中店城南店へ行きました。旅行客には小松空港から近い立地が重宝されています。私は車ですので、もっと便利。小松インターチェンジにも近いのです。
 紅白の市松模様にり理分けられた暖簾が印象的な店でした。私が行ったのはもうすぐ午後4時というような時間帯。店の女性スタッフたちが時間を持て余していました。

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 地場の甘口醤油で作る出汁が、小松うどんのもうひとつの特徴です。関西のうどんを食べ慣れた舌が、ひとくち目の甘さでちょっとびっくりします。何にたとえるべきか。いなり寿司の油揚げの味つけといえば当たらずとも遠からじです。
 これが、おいしい。こんな甘いうどん食えるかい!というようなものでは決してありません。「うるめ、ムロアジ、サバ、宗田節、目近節などを各店舗で配合して、取った出汁を昆布出汁と合わせる」と定められている通りで、味と一体化した出汁材料の香りのせいで実に後引きです。

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 店のメニューが達筆。鍋焼きうどんが主流らしいことは分かりますが、ひとりで鍋焼きうどんというのがどこか面倒くさくて、いなりうどんと麦とろ飯のセットを注文しました。
 でも、中佐中店が人気を保っている最大の理由が鍋焼きうどんです。小松うどんを鍋焼きで食べられる店が他にないそうです。どのテーブルにもガスコンロが組み込み済みで、それを見ただけで鍋焼き目当ての客が大半だと分かります。

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 ごらんください。このうどん店の屋根。気温が上がりそうで下がるもんですから、つららがなかなか水になりません。

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 白山水系の水で仕込むべし。この条文がえらく気に入りました。振り返れば白山。白さそのままの冷たい風が平野に吹いていました。

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