新湊では中六醤油だけにとどまりませんでした。
走るコカコーラみたいなこの電車は、高岡市と新湊を結ぶ「万葉線」です。
【Sea breezeの町で】
きっときと市場のテラスを海からの風が吹き抜けます。テラスに面して広がる草原。すぐ向こうが海です。
30度をはるかに上回る気温はよその町同様です。けれども、海風が気温を追い払ってくれます。海が町の扇風機。町中心街のコンビニ駐車場ですらも海風の通り道。
かかってきた電話の声が「暑いですねえ」。私も「暑いですねえ」と答えますが、海風に吹かれつつの生返事です。
風を写すことはかないませんから、せめて、こんな感じで。
【日本のベニス 内川沿い散策】
町の中、民家のなかを内川が流れています。数多くの漁船が係留されていることからわかるように、運河の役目を担っています。北前船が通った水路です。水に近づくと、さーっと小魚が散ります。
内川の観光キャッチフレーズは「日本のベニス」。そうですか。
こっちのベニスは見ての通りですが、あっちのベニスを私は知りません。半信半疑で「ほんながですけ?」とつぶやくばかり。
あっちのベニスに似ていなくても、そんなことくらいでこっちのベニスの心地よさ、のどかさの値打ちは落ちません。
ただぼんやりしてもらっとったら、それだけでええんです。
観光案内所の女性がそう言いました。
民家の間を流れる運河ですから、通りの数だけ橋があります。2.6kmの区間に15本だそうです。その橋1本、1本のデザインが変えてあります。町づくりの一環として「橋めぐり」という楽しみ方が提唱されています。
それらの橋の代表ともいえる2本が、スペイン人建築家設計による東橋とステンドグラスの神楽橋でしょう。
遠景の橋に向かって運河沿いを歩き、近づけば橋を下から見上げ、次に橋の上に立って運河の光景を見下ろす。視線の変化を楽しむ散策方法です。
歩かず、遊覧船(50分コース)で周る橋めぐりもあるそうです。
【中央町とは名ばかりの】
ローカルの小さな町ですから、商店街のさびれ方はいわずもがなの現実です。大型商業施設に客を奪われたというよりも、ここの場合は商店主の高齢化と後継者不在。
元気なのはお餅屋さんだけです。このあたりの人はみんなお餅が大好きですから。
観光案内所の女性がそう言っていました。
そんな商店街ですが、街路灯にぶら下がるスピーカーから流れてくるのは、80年~90年代の洋楽ポップス。私が歩いているときは、ダイアナ・ロスとライオネル・リッチーの「Endless Love」が聞こえていました。オツなもんです。
路地の奥まった場所ではお寺やお宮を見ることがあります。まるで決まりごとでもあるかのように、お寺やお宮は路地の奥です。その位置取りは、ひょっとしたら、北前船の発着と何か関連性があるのかもしれません。
【Sea breezeが吹き止んで】
夕方、凪の時間帯になって、海風は止まります。猛暑の1日が正体を現し、天気予報どおりの気温と湿気が町を覆います。
万葉線は単線ですから、1本が通ったしばらく後に必ずもう1本が通ります。コカコーラ号以上にデコレートされた電車を見ました。
公園に面した住宅街で、不可解な物体を見つけました。「二の丸町10番 11班」といった表示ですから、自治体の小さな単位ごとに用意されたものらしい。持ち上げてみますと、けっこうな重さです。
庭の植木に散水している男性に、「これは何ですか?」と尋ねました。
その人が言うには、ゴミ収集の日にゴミ袋を押さえておくためのオモリだということでした。
風が強くて飛ばされてしまうからですか?
いや、鳥がまぶくっから。
ゴミ袋の中味を鳥に荒らされないための防御策でした。公園内には木々が多く、ちょっとした自然林ほどの規模です。そこがカラスたちのねぐらになっていました。
【また来ます】
私は観光客ではありません。仕事で必ずまた来なくてはなりません。
たちまちのところは、あと3回分の楽しみを見つけてきました。
①寿司屋通りの磯正鮨
②きっときと市場内の小籠包
③きっときと市場内の海鮮パスタ
です。
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