みなさま、後ろに見えますのは、ヨドバシカメラでございます。
このご夫婦の現役時代には、丸物百貨店として、買い物のみなさまでにぎわっていたと申します。
おじいちゃんがまた転んでしまいまして、念のためにレントゲンを撮りにきました。
ヨドバシカメラで撮ってくれはるの?
それは無理やで、おばあちゃん。ヨドバシの向かいが柳診療所や。
小便の海を遊泳
なんでか知らんけどこけた、部屋やのにこけた。そうおじいちゃんは言います。そして、そのまま自力で起き上がることができませんでした。
床を這い回りました。机の脚、椅子の肘掛け、ベッドの手すり。頼りになりそうなものにすがりましたが、それでも立つことはかないませんでした。
近頃トイレに自信のあったおじいちゃんはおむつをしていませんでした。自らがたれ流した小便の海を漂うこと12時間。早朝の介護サービスに訪れたヘルパーさんのおかげでやっと救出されたのです。
Cアミーユの各個室には24時間緊急コールの呼び鈴が備わっています。それを押さなかったのはおじいちゃんの勝手です。
呼び鈴を押せばいいのだと気づいたときにはすでに午前2時だった。こんな夜中に呼び出したらわるい。そう判断したそうです。
おじいちゃん、あんたな、なんぼでもわるいとこあるけどな、いちばんわるいとこは、できもせんのにできると思うてるとこや。
おばあちゃんからそのように叱られていました。
イオンモールでランチタイム
レントゲンの結果、幸いにも新たな骨折はありませんでした。
安心した老夫婦二人は腹が減ったと言い出しました。
おじいちゃんが車椅子ですから、どの店でもええというわけにはいきません。五条通りイオンモールハナ3階のレストラン街に決めました。
何食べたい?
パンがええな。
焼きたてパン食べ放題の店ですので、他のテーブルは若い客ばかり。老夫婦2人を合わせた年齢は他の客6人~7人分になります。
また甲賀病院かよ
この翌日、ヘルパーさんがおじいちゃんの血尿に気づきました。
Cアミーユの往診を受け持つ柳診療所の先生は、地元の甲賀病院でよく診てもらえと言います。血尿のほかに両脚ともにむくみがひどいから、入院していた病院を受診すべきだとのことでした。
予想外の展開を歓迎したのはおばあちゃんです。地元に戻れるとなれば、理由がおじいちゃんの病気でも大歓迎。急な入院になったら私も泊まらなあかんなと切迫感を演出しながらも、よく見れば鼻が笑っています。
竜宮城シリーズも第16回を数えようというのに、いまだにおばあちゃんの心は地元にある。おまえはどんぐりころころか!泣いてドジョウを困らせるのか!
かくして、甲賀病院へは、私、妻お龍、姉、おじいちゃん、おばあちゃんの5人で行くことになりました。
車椅子を押す人数が多いと、責任の所在が曖昧になりがちです。気がつきますと誰も車椅子を押していない。探しに戻ったらこんなとこに置き忘れでした。
さらばCアミーユ
今回の一件で、Cアミーユではもはやおじいちゃんをカバーしきれないことがよくわかりました。
おじいちゃんは足腰も弱り、そして腎機能が低下し続けています。医者を必要とする回数が今後は増えていくでしょう。Cアミーユの場合、通院の世話は家族の仕事です。Cアミーユがやってくれるわけではありません。
おじいちゃんが寝たきりになってしまえば介護内容がかえって定型化しやすく、定期的な訪問介護で足りるだろうと思います。このケースならCアミーユの機能でカバーがききます。
けれども、おじいちゃんの場合は、衰弱が現在進行形で加速中です。加速に連れて、本人にすら予測できなかった不定形な介護ニーズが生じます。不定期に生じます。
Cアミーユにはそれに応じられるだけの融通性がありません。訪問介護サービスは時間割で決められています。その枠外は家族の仕事です。
この点、特別養護老人ホームのほうがおじいちゃんの現状によくマッチします。在宅生活が困難な要介護者に対する24時間見守り機能を備えているからです。
それがおじいちゃんには多大な手助けとなってくれるばかりではありません。主たる費用は介護保険から支払われます。自腹の持ち出し分が10万円も安くなります。そこに入れさえすれば、Cアミーユに留まるべき理由はもうありません。
おじいちゃんのすごろくは、甲賀病院→Cアミーユ→特別養護老人ホームと進んできました。
あがりはまだ先ですが、あがるためにはきちんとサイコロの目が出なくてはなりません。四でいいのに六が出てしまって、あがりから二つバックしたら「ふりだしに戻る」だった。それだけは勘弁してや。
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