和紙の里と呼ばれる綾部市黒谷です。
伊佐津川の支流を挟んで、流れの両側に家が立ち並ぶ集落。
舞鶴若狭道路を走れば、黒谷は「黒谷トンネル」を抜けるだけの場所にすぎません。高速を下りた黒谷には春があります、人がいます。
黒谷のミツマタばあちゃん
和紙の里とは、いまや名ばかり。この村で紙をやる人はもういないと、ミツマタを干していたおばあちゃんが言いました。
若い人たちが来て紙の作り方を習っていくくらいだとのこと。おばあちゃんが言うのは、綾部市の募集に応えて集まった伝統技能後継者のことでしょう。
黒谷では、もっぱらコウゾを和紙の原料にするそうです。おばあちゃんが干していたのはミツマタでした。ミツマタの和紙は強度こそコウゾに劣りますが、字を書くに適した滑らかさがあるそうです。
おばあちゃんは50年間和紙を作り続けてきました。以前は全工程を自分でやったそうですが、現在は蒸したミツマタを干して乾かすところまで。そこから先の作業は別の人がやるそうです。
よく晴れた一日でも、谷の夕方は一気に気温が下がります。濡れたミツマタを干す手がかじかむのか、指先の水気を作業着で拭き取りながらの仕事になります。
みんなが見る場所におばあちゃんの写真を出してもかまわないかと尋ねました。「それだけはこらえてください。こんなばばあ、恥ずかしい」とのこと。
残念ながらミツマタばあちゃんのご紹介がかないません。50年間和紙を作り続けてきたのに、「きれいな指してたんだね、知らなかったよ」のおばあちゃんでした。
綾部市 高津
綾部と福知山の間も、高速道路で走り抜けてしまえば小さな春を拾うことができません。
いい春景色が綾部市高津にありました。
いまは、白い梅も紅い梅も桜に先んじる頃。梅のそばに立つと、ミツバチがワンワンと羽音を立てています。高津の梅にこんなに近寄っているのは、私とミツバチだけです。
京都協立病院の裏手を、特急きのさき号が通り過ぎます。本当は旧型の特急車両がよかったのですが、残念ながら新型車両。旧型が来るまで粘ろうかと考えましたが、自分の担当病院でもないのにそう長居はできません。
西舞鶴 吉原
和紙の里黒谷を流れていた伊佐津川は、西舞鶴で海に注ぎます。その河口近辺を吉原と称します。福知山市から高速道路を通らずに西舞鶴までやってきました。
朝の特約店訪問には早すぎました。匂崎公園の展望台に登りました。伊佐津川河口から海に突き出す西舞鶴港。匂崎公園から見下ろすことができます。
早朝の霧の残りがまだ低空を漂っていました。その霧に反射する陽の強さこそが春のしるしです。冬の太陽だとこうはいきません。
東吉原の橋の上から、ちょうど1年前に見た景色を今年も見ていました。去年もやはりこういうおだやかな朝でした。
どんな場所に立ったときにいちばん春を感じるか。それは人それぞれです。私の場合は、なぜかこの吉原の橋です。
綾部市 里宮高倉神社近辺
高速道路を下りて春を探すなんていいましたが、下りてばかりでは仕事になりません。やっぱり高速道路を走らねば。綾部インターに向かいます。
その途上、桜の季節が美しい里宮高倉神社辺り。
椿がまだ落ちていないくらいですから、桜はまだ蕾です。高倉神社参道の桜は、このあたりでは早いほうです。開花まであとどれくらいなんでしょうね。
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