福島区に野田阪神という地域があります。
そこの野田新橋筋商店街のアーケードで、「これは何だ?」という店に出会いました。入ってみたらパン屋さんで、しかも、おいしさで人気のパン屋さんでした。
野田阪神なんて、私のようなよそ者にはおよそ馴染みにくい地名です。正式名称ではなくて通称で、野田阪神という住所はありません。
まず、阪神電車の野田という駅があります。
その地下が地下鉄千日前線の駅になっています。その駅名を野田阪神といいます。つまり、野田阪神という地名は、地上部分を地下鉄の駅前として扱った結果です。
で、すぐ近くに、JR東西線の海老江駅があります。
500mか600mほど離れた位置に、JR環状線の野田駅があります。
野田駅のすぐ隣に、地下鉄の玉川駅があります。
野田阪神とは阪神電車の野田駅周辺というだけならいいのですが、狭い範囲に名称の異なる駅がいくつもある上、肝心の野田阪神は地下鉄の駅で、地上から見えない。これがややこしさと不自然さの根源です。
写真のようなアーケードの商店街です。
歩いているうちに、この店だけがデザインや規模の点で目を引きました。
店の名前は「Tour de France(トゥールドフランス)」。有名な自転車ロードレースと同じ名前です。正しくはブーランジェリー トゥールドフランスです。
ここから入ってもいいんですか?
パンを焼いたり包んだり、店舗スタッフが作業をしているすぐ隣が入り口でした。丸見えです。見られて困ることは何もしていないという潔さを感じました。
店内は撮影おことわりです。
以前は何も制限がなかったそうですが、無遠慮に撮りまくる旅行者が多くて、商売に支障をきたしたそうです。一度きりしか来ない客のために普段使いの客が迷惑するんでしょうね。とくに中国人観光客には手を焼くとのことでした。
こんなアーケード街のパン屋だというのに中国人観光客?
そんなに有名な店だとは知りませんでした。
バケットの横に「やすともが買い占めたフランスパン」と書いてありました。やすともというのは、関西の方以外はあまりご存じないでしょうが、漫才師の海原やすよ・ともよのことです。
大阪テレビの「やすとものどこ行こ?」が取材に来たんですね。いまや関西のテレビでは定着しきった街ブラ型お店発見番組です。大阪のバラエティー番組なら、たいていこのタイプの街ブラ型生活情報を発信しています。
各局がネタを求め、ちょっと話題性のある店ならだいたい紹介される結果になりますから、「取り上げられた店」といまやあちこちで出会います。
ちょっとずんぐりむっくりの体形をしたこのバゲット、塩味が利いています。バターをつけなくても、パンだけで充分に味があって、後引きのおいしさです。この塩味はバゲットのおにぎりとでもいえばいいでしょうか。
むしゃむしゃ、むしゃむしゃ。
食べてしまいますねえ。
1本400円でした。
この店の大胆さを一発で表現しているのがこのパンです。店で見たとき、えらい迫力でした。1個330円。
左側が、アーモンドショコラ。右側がドライフィグ(イチジク)。平たいフランスパンの内側に詰めてあります。下の写真でみていただく通りの形状です。いちばん広いところは15cmほどの幅でした。
なるほど、おいしい。
アーモンドショコラのほうは、チョコレートクリームの濃厚さとアーモンドの香ばしさとパン生地の塩味。
ドライフィグのほうは、乾燥度合いが少なくてまだまだジューシーながらも、噛み締めておいしい絶妙の歯ごたえ。
どちらも、詰めてあってこその一体感で、別々になってるのを一緒に食べたからといってこういう味にはなりません。
いや、さすが大阪と思ったのは、買うときに見える切り口には多く詰めてあって、そこから先はそれほど詰まっていないことです。これをズルいやり方だと目くじら立てるのが東京人、うまいことしてあるわと笑い飛ばすのが大阪人でしょう。
家でインターネット検索をしてみて、上の新聞記事を見つけました。この店の経営母体は高鍋食品といって、大胆なやり方が注目を受ける企業だったんですねえ。
そういえば、すぐ近くに「Big Beans」という一風変わった食品店があったことを思い出しました。Big Beansは伝説のスーパーと呼ばれる存在だそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿