2012-07-10

ソレイユ(京都府福知山市) 初めてのお龍が大満足

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 石窯に向かう河村シェフ。石窯の火力はすごい。ピザ1枚、わずか1分半。計画停電になったら、こいつで発電だ。

  お龍:シェフは何されてるの?
   私:窯の中でピザを回してはるねん。
 シェフ:いやいや、実は中にもう一人おるんです。

【モロッコインゲンは天ぷらがいちばんおいしい】

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 前菜の10種盛り合わせです。
 私の妻お龍は、ソレイユに来るのは初めて。たいていの女性は、ひとつのお皿にあれこれいろいろが大好きです。お龍の心ももやはり捕らえました。

 石窯で焼き上げたモロッコ豆を食べてお龍が言いました(写真ではエビの尻尾に隠れてよく見えませんが)。

 モロッコインゲンはこういう風にするといいのねえ。私は煮るくらいしか能がなくて。

 その言葉に河村シェフがすかさず反応。

 モロッコ豆は天ぷらがいちばんおいしいですよ。

 さっそく、今夜、我が家の食卓にはモロッコインゲンの天ぷらが出てきました。シェフの言うとおりでした。天ぷらがおいしい。
 まだご存知ない方がおられましたら、いっぺん試してみて下さい。

 私は、お皿の右手に見えるチーズ、なにか野菜を混ぜ込んだチーズがいちばん気に入りました。



【夏を告げる万願寺】

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 万願寺甘唐が旬に入りました。
 舞鶴市で誕生した品種だけに、この時期の京都府北部の飲食店では、万願寺が大活躍します。

 葉緑素的苦さとクリーミーさが一体となって、これもまたお龍のお気に入りに登録されました。

 とろみは何でつけたのかしらねえ。

 そんなこと家に帰ってから言うても遅い。シェフのおるときに言えばよかったのに。

 ところが、この日のソレイユは、超多忙。シェフまでが配膳に回るくらい。日曜日の夜だというのに、30人くらい人が入ってました。
 店に入ったら、テーブルというテーブルに「ご予約席」の札。中華工房おかげさま状態です。

 「奥さん、いつもはこんなことないんですよ。もっとスムースに料理が出てくるんですけど」と、ソムリエの友次さんが申し訳なさそうにしていました。



【汁まで飲み干せ】

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 やっぱり、夏が来ますと、ソレイユの岩牡蠣です。
 これでもかというくらいにエシャロットを細かく刻んだドレッシングには、店も自信を持っています。

 お龍の感想。

 ドレッシングをこれくらいかけてあるほうがいいね。カキって、グロテスクだけど食べたらおいしいって食べ物じゃない。いつもはカキが丸見えになるくらいしかタレとかをかけないけど、見えないくらいにたっぷりがいいね。カットしてあるのも食べやすいし。

 殻に残った汁も吸ってみろと、私が薦めました。「えーっ!飲むの、これを?」とたじろいだお龍でしたが、実際に飲んでみてナットクしてくれました。

 でも、牡蠣の写真は明るい陽光の下で撮るほうがおいしそうに見えます。下の写真は、ソレイユで食べた昨年の岩牡蠣です。

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【臭いチーズもこれなら平気】

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 チーズの四輪駆動と私が呼ぶクアトロ・フロマージです。
 
 何か秘密の香り付けがしていないか?とお龍が言います。中心付近で花のような香りがするというのです。
 私は、中心付近で揮発性の臭いを感じます。そのことでしょうか。

 お龍はにおいの強いチーズが苦手でして、青かびの入ったゴルゴンゾーラを見るだけでも顔をそむけるほうです。
 ところが、このクアトロ・フロマージをひと口食べて、「あら、私、平気だわ」と、自分で自分に感激しています。

 これくらいに溶け合うと大丈夫なのかと尋ねましたら、それだけではないとの返事。ピザ生地のおいしさがあるからだとのことです。パリっとしてモチモチしている。
 そう言いながら、2切れをペロリと平らげました。



【野菜たっぷりがお龍の好み】

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 トマトソースで、ナス、ズッキーニ、万願寺、赤パプリカの入ったパスタ。
 私にはどれも似たような野菜ばかりに思えるのですが、野菜好きのお龍は大喜びで食べています。
 底のほうから、小指の先くらいのパンチェッタ・ベーコンが出てきました。それにも大喜び。

 わあ、おとうさん、ブタだあ!

 食べさしてない子みたいです。

 いや、たしかに、野菜の旨味にまみれたベーコンは、細切れといえども存在感たっぷりでした。



【デザートを食べながら】

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 お龍も女子ですから、女子会でそこそこに食べ歩いています。主に京都市内です。しかしながら、外観や評判に比して実際はがっかりの店が少なくないそうです。

 ソレイユはなにも奇をてらってないし、いかにもの演出がない。すごく普通にやっていて、なおかつおいしい。
 お龍はそう言いました。
 いや、わかってくれてありがとうと、私は嬉しくなりました。

 ソレイユの建物や門構えをぱっと見たとき、「え?ここが本当においしいの?」と思ったそうです。
 都会へ行きますと、雑誌に紹介されることを前提の店構えがひとつの戦術になっています。その判定基準でみたら、ソレイユの外観はおいしい店ではありません。イタリアの三色国旗すらない。

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 そやけどな、見てみ。あそこのお客さんは、Tシャツで首にタオル、入ってくるなり「ビールくれるか」やで。
 個室のお客さんは、お医者さんの家庭や。2万や3万なんて、べつに高いことない。
 テーブル席のほうは、まだ幼稚園にもなってない子供3人くらい連れてきたやろ。
 俺らは、亭主が定年退職した夫婦やんか。
 この人たち、全部に見放されたらあかんねん。ひとりずつがだいじな常連さんやねん。
 京都の北は、店が少ない。ひとつの店がいろいろな客層を受け持たされるねん。
 京都市内やったら、それらしいコンセプトを掲げて、それに釣られるターゲット絞って、ターゲット層さえ満足させたら、それ以外の客が何を言うとってもかまへん。新しい客が勝手に来るし。
 京都の北部は、それではあかんと思うねん。コンセプトとかインパクトとか、屁のつっぱりにもならへん。
 いま、この店の中に、客が30人くらいおるわ。ソレイユのやり方が正解ということやんか。誰と来ても楽しいとか、居心地ええとか、それもまただいじやろ。その元になるのは安心感やんか。
 店の外観でなんとかしたろと目論んでも、効き目があるのは始めだけや。中味なしやったら、たぶん長続きせえへんと思うわ。

 私の見方が当たっているのかどうか自信がありません。けれども、京都の北部を離れてみて、近頃つとに思うのはこのことです。


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