2012-07-19

散居村の砺波から夕焼けの氷見へ 梅雨明けの北陸路

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 北陸地方に梅雨明け宣言が出されました。
 気象庁は慎重です。「もう梅雨明けだろう」と世間が生活感覚で語り始めても、気象庁だけは気象データで語ります。
 真夏の風で波打つ稲は海。散居村の民家は稲の海に浮かぶ島です。

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 農家の敷地内に母屋があり、離れがあり、小屋がありというのは、日本の農村どこへ行っても、そう珍しくありません。
 砺波平野では、農家敷地の周囲には屋敷林がそびえたち、そして、一軒一軒の屋敷が自らの稲作耕地に囲まれています。そこが珍しい。

 砺波平野の写真といえば、必ずと言っていいほど、緑の田んぼを前景にした屋敷林です。上に述べたような理由から、農家の全体をとらえようとすればその構図にならざるをえません。

 屋敷林からわずかに頭を見せる屋根。チラリズム。いいもんです。
 自分の実家に里帰りしたのなら、この郷愁もわかる。自分の実家でもないのになんでやねん、この郷愁は?

 屋敷林はどんな木々で構成されているのか、砺波市による紹介文を引用します。読んでみて、スギ花粉症の人はどうしてたのかな?と思います。

 屋敷林を構成する樹種やその配置には、木と共に生活した先人の知恵とその 心の豊かさを潜めた生活文化の一端が見られます。
 砺波平野の屋敷林はスギが主体です。スギは防風効果もあり、落ち葉や小枝 は燃料となり、また、その材は建築用材ともなります。また、分家の際には栗 ・柿・梅を植え、花を鑑賞し、実は食料とし、ときには金銭に代えたりしまし た。女の子が生まれると桐の木を植え、嫁入りに備えたりもしました。「高 (土地)を売ってもカイニョは売るな」ともいわれ、先祖代代大切に守り育て られました。

 梅雨明けの屋敷林に近づきますと、セミの声が一段と大きく聞こえてきます。これが8月ともなれば、どれほどのセミの声でしょうか。
 麦茶、西瓜、蝉の声、甲子園。ちゃんと宿題したがか?なんやごちゃらごちゃら言うて勉強せんのやったら、水まきくらいせんかいね。
 いま高岡市のガストで聞こえてくる方言を真似しました。

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 砺波インターから北陸自動車道にのり、小矢部・砺波ジャンクションで能越道に入ります。能は能登、越は越後。近頃では、越の字を見ますと、いじめ問題の大津市長かと思いがちです。
 その能越道を走ること20分くらい。能登半島の入り口、氷見に到着します。全区間が開通すれば、輪島まで100kmの有料自動車道の完成です。

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 どこか夕焼けのきれいなスポットを探している猶予はありませんでした。氷見市の比美海岸公園に到着したら、民家の向こうの空はすでに夕焼けでした。
 どこにいる誰もがこれだけの美しい夕空の下。カンカン照りの日中を我慢した我々へのご褒美でしょうか。

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 めったにないこんな夕暮れ、西の空を染めただけでは不足でしょうとばかりに、夕焼け雲は海の空にも広がっていました。
 誰と一緒にいたいのかわからない。けれども、いちばん一緒にいたい誰かを追いかけている。
 美しい夕焼けに出会ったとき、そういう気分になりませんか?
 夕焼けスポットといえば恋人同士のためにあるみたいに言われます。
 けれども、一緒に夕焼けを見るくらいの仲までいってしまってると、実のところはさほど感動がない。ロマンスにスリルが不足気味。てなことありませんか?
 夕焼けを見た後は、「華麗なる罪過もあらむ星月夜(森田深淵)」といきたいもんです。

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 花火大会の最後の一発のように、より鮮やかな輝きを残して、短いショータイムが終了しました。

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