2014-06-02

守山ほたるパーク&ウォーク(滋賀県守山市) ほたるを初めて撮影

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 隣町の守山市では、なんと、ほたるの生息環境を守るための「ほたる条例」が定められています。条例は次の3つの行為を禁じ、違反者には罰則も用意されています。
・ホタルの幼虫および成虫の捕獲
・カワニナの捕獲       
・河川を汚濁する行為
 
そして、ほたるが現れる5月末~6月初旬、守山ほたるパーク&ウォークというイベントが開催されてきました。
 いつにも増して蒸し暑く風の弱い夕方でした。ほたるの遠い呼び声が聞こえました。今夜は飛びますよ。
 まずは目田川河川公園へ出かけました。


 守山市ほたるの森資料館のホームページはこう言っています。

守山は、古くからゲンジボタル(守山ボタル)の群生地として知られていました。明治35年(1902)から天皇陛下への献上が始まり、大正13年(1924)12月9日には第1号の天然記念物の指定となるほどに、ほたるが飛びかっていたのです。


 しかし、ほたるの生息環境の悪化は、よほどの山村でないかぎり、日本全国いずこも同じ。守山市のゲンジボタルは1979年までに全滅してしまいました。
 ただ、守山市が他の自治体とちょっと違うのは、ほたる人工増殖の先駆者である南喜市郎(1896~1971年)のホームグラウンドだったことです。蛍の光で本が読めるかという実験までやった人だと聞きます。1000匹集めたら充分に読めたそうです。

 ほたるの森資料館ホームページは言います。

昭和54年(1979)から守山市は、自然環境を取り戻すため、守山が輩出した故南喜市郎氏のホタルの研究結果を取り入れて、「ホタルのよみがえるまちづくり事業」に取り組みました。市内の鳩の森公園内に人口河川、研究室を整備し、ゲンジボタルの室内飼育、カワニナの養殖を行い、人工増殖の研究は順調に進み、現在では多くのホタルが飛ぶようになりました。


 こうした有志のマインドとアクションが、守山ほたるパーク&ウォークの活動を支えています。パーク&ウォークが推奨する散策コース内の代表的スポットでボランティアの人たちを見かけることもあります。

 実行委員会のブログを見ますと、「ほたる・交通対策・地域振興・広報啓発の4部会で構成されています。民間事業者など、ボランティア100名以上の組織になっています」とのことであり、私がきれいな写真を撮影できたのも、ほたる鑑賞のマナーまで広めてこられたボランティアの方々の努力の賜物です。

 ところで、パーク&ウォークというのは、車を捨てて歩いて回ろうという意味です。実際に代表的鑑賞スポットに行ってみれば分かることですが、どこも人の生活と隣り合わせで、駐車可能な場所ではありません。迷惑駐車や無断駐車になります。
 したがって、守山市民運動公園に車を駐めてから鑑賞スポットに足で向かおうという趣旨で、パーク&ウォークが提唱されました。金・土・日には市民運動公園と代表的スポットの間をシャトルバスが走ります(有料:300円/人 駐車料金は無料)。
 シャトルバスの料金はイベント運営やほたる保護の財源でもあるため、バスに乗ることが運営委員会への協力手段だといえます。
 詳しくは、2014(第11回) 守山ほたるパーク&ウォーク|ほたるP&Wご案内のサイトをご覧下さい。

 さて、今夜、私は、生まれて初めてほたるの写真を撮りました。まずはじめに、冒頭の写真でほたるが乱舞しているように見えるのはねつ造だとお伝えしなくてはなりません。
 人の手による保護が必要なところまで減ってしまったほたる達ですから、乱舞の写真なんて元からあきらめています。「ほ、ほ、ほたる来い」という歌がありますが、その歌を歌っている子供がいました。この歌の通りで、あっちで飛んでいるホタルを呼び寄せたくなるくらいの少なさでした。

 写真は、次のような方法でねつ造しました。

①まだ少し明るいうちに現場へ着く。
②三脚を使って構図を決め、カメラをがっちり固定する。
③オートフォーカスを使わず、ピントをマニュアルで調整してフォーカスリングをセロテープで固定する。
④マニュアル露出で、ISO100、絞り1.4、シャッタースピード10秒にセットする。陽が落ちてホタルが飛び始めるのを待つ。
⑤肉眼で見ていて、構図の中にほたるが飛んできたらリモートコントロールを使ってシャッターを切る。

 というやり方ですと、構図・露出・焦点距離はコピーをとったようにまったく同じ、ほたるの軌跡だけが異なるという写真が何枚も撮影できます。私は80枚ほど撮りました。家に帰ってから、フォトショップというソフトを使って、うまく写っている写真10枚ほどを重ね合わせました。

 うまく写らなかった写真というのは、なにも自分自身がミスしたばかりではなくて、予期せぬ光が入ってしまった写真も含まれています。
 たとえば、車のヘッドライト、隣の人が光らせるストロボ、誰かのカメラから出るオートフォーカス用の赤い光、懐中電灯を持った人、民家の防犯水銀灯が点灯・・・まあ、いろいろあります。

 逆に、光をできるかぎり少なくしようとする人たちもいました。
 運営委員会のメンバーが近くの民家に電話していました。2階の部屋の照明が鑑賞の邪魔だからカーテンを閉めておいてくれと頼んでいました。
 「あんたストロボあかんのやで。ほたるが逃げよるんやで」と弟に注意しているお姉ちゃんもいました。「どうせ写るわけないさかいにスマホしもうとけ。液晶が明るすぎてほたるがびっくりしとる」と友達を諭す声も聞こえました。
 「そこから先、入らんとき。ほたるの寝床やで。草踏んだらあかん」と子供に告げる母親もいました。別の親子連れからは、「あんた、捕まえたんか。すぐ放しなさい。殺したらあかん」という言葉も聞こえてきました。 

 そんな光景を身近にしながら、こうして人から人へとほたる鑑賞のルールやマナーが伝わっていくんだなあと感心していました。私も、カメラの液晶には黒い布をかぶせていました。

 さて、次の記事では、早朝の光の中で撮ったほたる鑑賞スポットをお伝えしたいと思います。守山市の人たちのほたる好きが一目瞭然の写真ばかりです。

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