京都新聞2012年2月23日付けにこのようなニュースが掲載されました。介護保険を10年以上利用していない高齢者(90歳以上)に報奨金として3万3千円分の商品券を贈るというものです。
記事の中味を見てみます。
介護保険料、商品券で“返還” 京都府が全国初の取り組み
京都府は今秋、介護保険サービスを10年以上利用していない90歳以上の高齢者に対し、「報奨金」として地元商店街で使える3万3千円分の商品券を贈呈する。健康維持に努める元気なお年寄りに特典を与えることで、介護保険給付費の抑制を図る狙いもある。府によると、全国初の取り組みという。
府内市町村では、介護保険事業者へ支払う給付費が増加している。65歳以上が支払う府内平均保険料は月額4332円で、10年前の1・5倍に跳ね上がり、全国平均より4%高い。サービスを利用してない高齢者から不満の声も出ている。
このため、健康な高齢者に保険料を「返還する」との趣旨で商品券の配布を決めた。商店街や商工会などが1人3万3千円分の商品券を発行し、府が同3万円で買い取り、対象者に配布する。高齢者は居住する市町村の商店で買い物ができ、地域の商店街活性化にもつなげていく。
すでに、福知山市と京丹後市では、福祉施設でボランティアを行った高齢者に介護保険料の一部を返還する制度を設け、元気なお年寄りを支援している。
府によると、対象者は約9500人で新年度当初予算案に3億3千万円を計上した。13年度以降も継続する方針で、府高齢者支援課は「お年寄りの健康維持と地元経済発展の一石二鳥の事業」としている。
実は、つい先日、うちの姉と似たようなことを話し合っていました。
うちの父親なんて、わがままと無茶の結果で怪我しとるやんか。介護保険の制度はありがたいなあ、そんな理由でも要介護4に認定してもらえた。介護保険はあんな身勝手な年寄りでも面倒をみてくれるわけや。それなら、足腰が丈夫で、誰の手も借りずにピンピンしとるじいさん、ばあさんたちは、逆に介護保険から金もろてもおかしいないやろ。
うちの父親は、周りがどれだけ自転車に乗るなと制止しても聞く耳をもちませんでした。去年3月、ついに自転車でこけて大腿骨を骨折しました。
退院後、歩行がきわめて危うくなりました。リハビリ技師さんとケアマネさんの勧めもあって、家の上がり口に手すりを設けようということになりました。しかし、その必要はないと本人がしきりに抵抗しました。どれだけ本人のためになるケアプランであっても、本人が署名捺印しないかぎりはケアマネさんも動けません。
私は、紙とボールペンを本人の前にバンとたたきつけ、怒鳴りました。「それなら、ここに誓約書を書け。もし玄関で転んで怪我をしても今度はどなたのお世話にもなりません。どうか放っておいてください。そのまま野垂れ死にさせてくださいと、ここに書け」。
みなさんは、ひどい息子だと思われるでしょうねえ。でも、我を通したいのなら野垂れ死にの覚悟を示せというのは筋じゃないでしょうか。
私がすごんで、本人はやっと納得しました。かといって、我を通したい本人の性根が変わったわけではありませんでした。大腿骨骨折の退院から5ヵ月後、止められていたにもかかわらず独りで外に出かけて転び、今度は膝の皿を割ってしまったのでした。
こんな怪我のしかたは不可抗力ではありません。未必の故意みたいなもんです。それでも介護保険の介護サービス対象にしてもらえるのは、本人はもとより、家族にとってもありがたいことです。
しかし、それと同時に、年寄りの身勝手に対する介護保険のこんなやさしさはよくないと考えました。このままいったら、年寄りのためにやがて日本は破滅するにちがいない。そう思いました。
丹後や丹波で、元気なお年寄りを何人も見てきました。うちの父親の怪我が重なって以降は、ピンピンと達者なお年寄りが余計に目に入りました。長生きするのならこうでなくてはなりません。
私が見てきたお年寄りたちの何人かは今回の商品券をもらうのだろうと思います。もらって当然の人たちだと、理屈抜きに思います。うちの父親と比べたとき、介護保険不要の長生きがどれだけ社会的にも価値のあることか、よくわかります。3万3千円なんて、気持ちだけ・形だけの報奨にすぎません。もっときちんと制度化されていいと思います。
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