滋賀県の紅葉ライトアップといいますと、日吉神社、延暦寺、三井寺、石山寺と、琵琶湖の西側、つまり湖西に有名処が集中しています。これに対して湖の東側、湖東を代表するスポットは永源寺です。
今年は色づき方が早い。去年と全然ちがう。愛知川にかかる紅葉橋たもとで駐車場を営む地元の人がそう言います。
永源寺は標高300~350mあたりに広がるお寺です。背後に1000mを超える鈴鹿山脈。寒気が愛知川の本流・支流沿いに下りてきます。
寒いから色づき始めたら散るのも早い。まあ、来週がいちばんの見頃、だいたいどの年も勤労感謝の連休はもう遅い。境内の休憩所でそう聞きました。
「もう30分もしたらほんまに冷え込みますよ」と駐車場の人が言うとおり、ライトアップが始まる5時にはダウンジャケットが必要でした。里のファッションのまま薄着しているのは、若いカップルたちくらいのもんです。小さい子供たちはみんな毛糸の帽子をかぶせてもらっています。
日吉神社や三井寺のように背の高い木々を遠くから照らすライトアップではありません。広がりを強調した照らし方ではなくて、近くに立つ背の低い木を近くから照らして近くから見るスタイルです。
いきおい、地味、素朴、小規模、見る人によっては期待外れ。正直なところ、ライトアップで映える寺ではないと思います。これにはライトアップの見せ方能力も関係してくるはずです。集客を見込める京都の寺あたりになりますと、ノウハウを蓄えた業者と契約しているのでしょう。
宇宙人ジョーンズみたいになりますが、ただ、この寺のそばとうどんはうまい。
調理を受け持つのは、4人の修行僧さんです。
そら、ドンブリ勘定もええとこやで。赤字や。もうけたらあかんて考えてはるさかいにな。見てたらびっくりしたで。最高の昆布どばーっ。最高の鰹節どばーっ。もったいないことや。一番出汁だけであとは捨てや。これがまた上手やねんて、料理が。普段からしてはるやろ。慣れたもんや。
そう聞いたら食べたくなります。蕎麦とぜんざいを食べました。
21番でお待ちのお客様。
そう言いながら、若いお坊さんがトレーでうどんやそばを運んできます。坊さんが「21番でお待ちのお客様」なんて、あまり聞いたことありません。
それで、これがまた安い。400円とか500円とか。高速のサービスエリアでも、もうちょっとします。最高の昆布や鰹節をどばーっですから、本当の商売ならこの値段設定はありえません。
まあ、麺は、どこかから仕入れたやつですから、まったくおいしくありません。おつゆがめちゃうまい。うどん前提の出汁らしくて蕎麦には合いませんが、おつゆの味だけならなんにも文句ありません。
山あいに独特の夜の深さ。空気に「シ~ン」と書いたような静けさ。え、まだ、6時半?本堂に腰掛けてじっとしていますと、いつのまにか山あい特有の時間経過にだまされています。
紅葉情報用語でいうと「色づき始め」の段階。もう一度来ないと本当の紅葉ライトアップを見たことにならないと思いました。
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