お龍、60歳のお誕生日おめでとう
京都の町なかも、ようやく涼しくなってきたわね。
そう話しながら油小路をゆくお龍は、今日が誕生日。60歳です。
誕生日の食事だというので、お龍の希望にしたがってベ・レギューム・ア・ターブル(B legumes a table)にやってきました。
【食卓に野菜を上げる】
店名のB legumes a tableは、食卓に野菜を上げるという意味だそうです。Bには、オーナーである木辺さんの「ベ」も入っているそうです。
店名そのまま、季節の野菜のあれこれ、そして、多様なアレンジメント。バターやニンニクを抑えることによって食材の繊細な持ち味を生かしてあります。
その方向性ゆえか、30歳、40歳、50歳、60歳、70歳は言うに及ばず、80歳の女性までが常連客だそうです。
ディナーコースを食べながら、私は、ビオ・ラビットの対馬さんを思い出し、縄屋の吉岡さんを思い出していました。その二人を思い出さずにはおられないおいしさでした。
なには、ともあれ、お誕生日おめでとう。
還暦ということで、お龍が吸っておりますのは、真っ赤なドリンク。生き血かと思うでしょ。ブラッド・オレンジです。
*アミューズ*
自家製厚切りスモークサーモン
太っ腹の厚切り!
これだけ分厚いと、燻煙の移り香が口の中で際立ちます。
空になったスプーンをねぶってみたら、オリーブオイルまでサーモンと同じおいしさでした。
*オードヴル*
フランス産自家製鴨の生ハムと真卵、季節野菜のサラダ仕立て
いま覚えているだけでも、チコリ、トレビス、トマト(赤・黄・緑の3種類)、赤オクラ、オクラの花、生食向きカボチャ(コリンキー、バターナッツ、スズカボチャ)、白ニガウリ、ハーブレタス・・・
さらに生ハムと半熟卵が加わり、色どり、歯ごたえ、味と、実に多彩な演出です。
*スープ*
鷹峯樋口さんの青とうがらしの冷たいスープ トマトのソルベと共に
皮の薄い青唐辛子を選んであるそうです。青唐辛子のおいしさが滑らかさに変身しています。トマトのソルベは青唐辛子の苦みを見越しての口直しということでした。けれども、むしろふたつの野菜が独立しながら融合する味わいが魅力でした。
*お魚料理*
カサゴと冬瓜のコンポート サマートリュフの香り
味を食べているのか、香りを食べているのか・・・静かさと不思議さの一品でした。冬になれば真っ黒のトリュフも夏場はこの色合い。そのトリュフのよさを殺さないためにもカサゴを選ぶなど、クセのない食材を組み合わせるそうです。 *お肉料理*
ゆっくりと煮込んだ仔羊肩ロース肉の香草パン粉焼き
ジロール茸のソース
丹波牛肉のグリエ
お皿の真ん中あたりで子羊肉や丹波牛を食べてるだけでも充分においしいのですが、皿の外周に置かれたバジルソースと粗挽き黒胡椒も一緒にしたら、これがまた別のおいしさ。
この味わいとやわらかさなら、92歳になるうちの母親を連れてきても大丈夫です(連れてきませんけど)。
お龍のジロール茸を一本分けてもらいました。ミカンのような香りがして、果物のようでした。
ジロール茸の下ごしらえに手間がかかることを、「食べ物中心。パリ生活」というブログで知りました(http://farafel.cocolog-nifty.com/escargot/2006/08/post_13d1.html)。
*チーズ2種盛り合わせ又はデザート1品*
季節のフルーツのテリーヌ スイカのソルベ添え
チーズは、ヤギ乳が原料のピラミッドと、ウォッシュタイプのラングル。もしマンステールが出てきたらどうしようと、内心では不安でした。
ピラミッドにカリカリのレーズン・ブレッド(ベリー類かもしれない)。やはりこのコンビネーションは王道でした。
【丹後ファンのオーナー】
オーナーは丹後ファンだそうです。
海水浴なら夕日が浦に行くくらいだそうです。
丹後にもフレンチの店があるということで、ビオラビット、たけうち、ほのぼの屋の話を伝えました。あの糸井さんがいま丹後におられるのですかと、オーナーは言っていました。
店の外も中もまだ新しそうに見えたのですが、開店してからもう7年になるそうです。落ち着いた店ですので、どちらかといえば30歳代以上の常連客が主流だとのことです。
京都市内で5000円~6000円の値段といえば、がっかりさせられるケースも少なくありません。不発に終わるだけではなくて、正直さを感じられないことすらもよくあります。
ベ・レギューム・ア・ターブルは、その正反対でした。手抜きなし、虚飾なしだと思いました。
この店の安心感と信頼感。丹後を好きになるオーナーの人柄と無関係ではないでしょう。
60際の誕生祝にお龍がこの店を選んだ。理由がよく分かります。
ベ・レギューム・ア・ターブル
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