2012-08-08

焼鯖そうめん 北ビワコホテルグラツィエ(滋賀県長浜市)

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 湖国近江と鯖のつながりといえば、まずは鯖街道。若狭の鯖を京へと運ぶために、近江の山間ルートが効率的でした。これが鯖街道です。

 この鯖街道は琵琶湖の西側を通ります。いっぽう、焼鯖そうめんが郷土料理だとされる長浜市は、鯖街道から琵琶湖を挟み、向かいの東岸に発達した町です。生のままの鯖を長浜まで運ぼうとすれば、途上で腐ってしまいます。

 そこで、です。「読売旅行」の記事によりますと、長浜には、港であらかじめ鯖を焼いてから運んだのだといいます。京に運ぶのも長浜に運ぶのも距離は似たようなもんだと思いますが、昔の湖北の山越えが険しすぎて日数を要したのかもしれません。



【鮎も長浜市民】

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 琵琶湖へ注ぐ小川が駅前に流れ、その小川のなかを鮎が泳いでいます。まるで長浜市民のひとりであるかのごとく、鮎の生活場所も人の暮らしのすぐ隣です。

 流れをのぞきこめば、あちこちに鮎。その体側には追い星と呼ばれる黄色い斑紋が鮮やか。川底の石から付かず離れずのポジションを保ちながらヒラを打ち続けます。石の表面に薄く膜を張る水垢。石に魚体をこすりつけるような動きを見せては、その都度水垢をこそげとります。ヒラを打つというのは、魚体を横向きにくねらせる行動です。

 おとうさんには魚と電車さえ見させておけばいつまでも飽きない。私の妻お龍がそう言います。いや、その通り。

 梅雨明けの日光が反射する川面を離れ、今度はガラス細工がきらきらと輝く黒壁スクエアへと歩を進めました。
 しゃれた店の数々、釘付けになりそうなガラス食器類。お龍には目の毒この上ありません。物欲を抑えつつの散策は難しいもんです。

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【焼鯖そうめんは・・・】


 焼鯖そうめんは、長浜市ご当地グルメの地位を与えられています。食べてみようか。夫婦の相談で一致しました。

 長浜観光協会のホームページを見れば、焼鯖そうめんの店として10軒が紹介されています。私たちは、場所や駐車場がいちばん確かな北ビワコホテルグラツィエにしました。

 北ビワコホテルグラツィエは贅沢な空間でのブライダルを前面に押し出す営業スタイルですから、郷土色の要素はありません。けれども、2階の和食レストラン「竹生島」で焼鯖そうめんを食べることができます。焼鯖そうめんを含む2800円の定食としてメニュー化されています。

 焼鯖そうめんについて、「旅行読売」から引用しますと、次のような料理です。

作り方はシンプル。ゆでたそうめんを水で締めておく。しょうゆ、砂糖、みりん、酒を合わせ、焼鯖の切り身を入れて5分~6分煮る。焼鯖を取り出し、煮汁に水を加えてからそうめんを2分~3分煮る。そうめんと焼鯖を盛り付け、木の芽を添えれば出来上がりだ。汁はかけないことが多い。

 という記述が形に変わると、下の写真になります。
 
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 この焼鯖そうめんは、2800円の定食の一部として供されるからでしょうが、これだけでは主食たりえない分量です。また、盛り付けの美しさ重視でもあります。

 ほんとに、長浜の方々、そしてレストラン「竹生島」には申し訳ないことなのですが、私たち夫婦はおいしいと思いませんでした。
 そうめんを食べたいのなら焼鯖そうめんを食べるな、焼鯖を食べたいのなら焼鯖そうめんを食べるな。そうめんと焼鯖の組み合わせはそのような味でした。
 日数を経たご飯のように、据えた臭いがしました。おそらく調理法に根ざすものでしょう。
 そもそもが味よりも実用度重視の料理だったような気もします。といいますのは、やはり「旅行読売」に次のような記述があるからです。

春と秋の農繁期、忙しい農家にとって、簡単に作れて、冷めても食べられる焼鯖そうめんは、なくてはならない料理となった。

 腹ペコ状態からがばがばっとかきこむ献立だったのでしょうか。

 長浜観光協会は焼鯖そうめんを推していますが、長浜の人気アップのためにはこのままの味ではよくないぞと思いました。
 ただ、本当にこの程度のものなのかという疑問が残りました。もう一度、また別の店の焼鯖そうめんを食べてみたいと思います。

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