今夜は福井市泊まりです。忠ちゃんという居酒屋を見つけました。
忠ちゃん。私と同じ名前です。ちゃんづけまでしてもろて。
名刺を1枚持って、暖簾をくぐりました。
【ただしちゃんか、ちゅうちゃんか】
店はほぼ満員。大人気。これだけ地元のお客が入っているのですから、間違いありません。身体を斜めにしながら、空いているカウンター席に入れてもらいました。
座ってからゆっくり数えたら、カウンター15席中12席が埋まり、小上がり12席中10席が埋まっていました。
ずらりと並んだボトルキープの焼酎はいったい何本あるんでしょう。100本まで数えてやめました。
「出張に来たら、自分と同じ名前の店で」と大将に名刺を差し出しました。
「いやあ、惜しいなあ」と大将。
私はもう一字つくんですよ。チュウジです。
国定忠治の忠治ですか?
そう。親父がお客さんと同じ名前でした。一文字でね。
そしたら、店の読み方はただしちゃんですか?
いえ、ちゅうちゃんです。
ちゅうちゃん!
私は忠と書いてただしです。それでも、ちゅうとか、ちゅうさんとか呼ばれるほうが多かった。けど、ちゅうちゃんと呼ばれたことは一度もありません。
どのお客も「ちゅうちゃん!」と大将に呼びかけます。
それを耳にして自分の尻がこそばい。そんなこと言えるか。ちゅうちゃんですからねえ。
【しめさば、うまい!】
まずはしめさばを注文しました。
味ですか?まずいはずがない。なにせ忠ちゃんですから。
「しめさば、おいしいなあ」と大将に話しかけました。
すぐ隣のお客が「おかしいなあ。おいしいものありました?ここはまずいもんばっかりやと思うたけど」。
それくらいに砕けた雰囲気が店全体を包んでいます。
二人くらい向こうの人が、初対面の私に平気で話しかけてきます。
カウンターに座った途端にみな友達とでもいうかのように。
しめさばは本当においしかったんですよ。
酢を使いすぎてなくて、甘みがあって。
腹が減っていました。イカ焼き、スジ煮込み、お造りと矢継ぎ早に注文しました。
これだけ混んでれば食べたいものをまとめて早いうちに注文しておくのが賢いと思った。
ところが、えらくスムースに料理が出てきます。
周りを見たら、みんな大いに飲んでいる。大いにしゃべっている。頼んだ料理にあまり手をつけてない。
パクパク食ってるのは自分だけやないですか。
「はい、先生は1400円ね」なんて、そんな勘定で出ていく客もいるくらいです。
お茶漬けでも食べておしまいにするつもりだったんですが、お造りの分量が半端じゃなかった。アジもハマチも分厚くて、食べ終えるまでに腹いっぱいになりました。
私の右隣では、飲み屋のママらしい女性とママの常連らしい男性。ママらしいほうがよくしゃべってちょうど大介花子状態でしたが、常連らしい男性はやがて胸ポケットから領収証を出してきて、ママに見せました。
「あら、ありがとう。本当に。助かるわあ」とママ。
ようわからん話ですが、本当に助かることなんでしょうねえ。
1400円の勘定で店を去った先生の後には、首からタオルの親方が座りました。
今夜はとてもいいブログネタに恵まれました。
けど、誰が「忠ちゃん」なんて言葉で検索をかける?
この記事はアクセス数少ないぞといまから踏んでいます。
福井市内はいまも路面電車が走っています。
北陸3県のうち、富山県の富山市と高岡市、福井県の福井市。この3つの町で路面電車が現役です。
自家用車保有台数がきわめて高い地域でありながらも、赤字にめげることなく奮闘を続けています。
いちばん気になったのがこの店。福井市の飲み屋集中街、片町で見つけました。MANILA SIZZLING。マニラのよだれ。どやさ?
そう思って、さっきsizzleの意味を調べたら、料理などがじゅーじゅーと音を立てるさまと書いていました。
忠ちゃんに来て下さってありがとうございます 私の父の店です ブログに載せて頂いていて 本当にうれしい限りです 父の人柄を好んで来て下さるお客様ばかりの店でして 長年の常連客の会話をそのまま書いて下さっていて うそのない忠さんのお人柄がとても素敵だと思いました わけあって 店を閉めることとなりました 何気なく立ち寄って下さった忠さんにも そして 今までご来店頂いたたくさんのお客様にも 感謝の気持ちでいっぱいです 袖すりあうも多少の縁と申しますが お名前が似ていて少しでも父と言葉を交わす事となり 父の料理の写真も載せて頂き お褒めの言葉も暖かく 本当に嬉しくて コメントを書かせて頂きました きっとアクセスは少なかったと思いますが 私には とてもとても大切な心に残るブログです
返信削除本当に ありがとうございました!
コメントありがとうございます。
返信削除お店を閉めることになったんですか。
そうですかあ。常連のみなさん、さぞかしさびしいことでしょうね。
北陸の皆さんは、本当に飲むのが大好きで、お父さんのような大将が客を育て、客が大将を育てだと思います。
本当にいいお店でした。
いま自分で読み直してみて、あの夜の活気を思い出しています。
お父さんからコメントを頂戴したこともありました。
私のミスで消えてしまいました。申し訳ありません。
今度行ったらタダで飲み食いさせてもらえるということでした。
それはあまりに申し訳ないので、お父さんが私のことをお忘れになった頃に行こうと思っていました。
当初のアクセス数は300ほどだったと記憶しています。
でも、記事にさせていただいたのは、そういう判断基準ではなくて、本当に自分の心に残るかどうかでして、忠ちゃんはずっと心に残っています。
娘さんがコメントをしてくださるということで、ご事情がなんとなく察せられますが、よろしくお伝えいただけるほどお父さんがお元気ならばうれしい限りです。