大阪からのお客さんを京都らしいところへご案内することになりました。
東山区祇園町南側というのは、祇園歌舞練場の私有地だそうです。お茶屋さんも並ぶこの区画に炭火焼の「いふき」があります。先斗町から移転してきたそうです。歌舞練場に信用してもらえない店はこの区画に加われないそうでして、集客力や資金力だけではないところがいかにも祇園です。
雨の祇園。普段は丹後しか知らない私は、外国人観光客以上に目を見張っていました。
「いふき」は、老舗ではなくて新参者ですので、外観よりも内部のほうがよほど気楽な雰囲気です。町屋のよさを生かして改築した店内は、「劇的ビフォーアフター」を見るようです。「ああ、ええなあ、京都らしいなあ」と思いながら内心で身構えたり気後れしたり、なんてしきたり臭はありませんでした。
「こんばんわ」と声をかけて、出てきてくれたのは若い板さんでした。店内スタッフが忙しかったのでしょう。お客さんが見えたら出られる者がすぐに出るという方針が徹底されているのだと思いました。
雨の夜ですので、客のコートには雨粒がついています。玄関で上着を預かったスタッフは、乾いたタオルで雨粒を拭き取ってからハンガーにかけていました。
上がりかまちには、客のコートから水滴が落ちます。スタッフはその水滴もすぐに拭き取ります。金のかかった玄関を大事にしているのかと解釈しましたが、よく考えてみたら違いますね。次の客の足の裏が濡れてはいけないからですね。
案内されたのは、1階奥の間でした。庭に面していました。その庭を坪庭と言っていいのでしょうか。面積は一坪よりもよほど広い庭です。どこかの座敷に似てるなあと思いました。いま書きながら思い出しました。福知山の「ひのき」です。
私的には1万3千円のコースがおすすめですよ。うちの会社の女性社員がそのように言っていました。
1万円ですと、せっかくの炭火焼なのに、肉か魚か、どちらかひとつを選ぶことになるそうです。1万3千円のコースですと、その両方がはじめからついているそうです。もうひとつ高いコースになると、中味が充実しすぎて満腹になりすぎるとのことでした。
コースの始まりに、「何かお嫌いなものですとかアレルギーとかおありでしたら」というひとこと。この1年間のうちに、店からこのような丁重な質問を受けたのは「いふき」で2軒目。もう1軒は宮津市日置の「ビオ・ラビット」でした。
この日、魚の炭火焼は、ぐじ、きんき、のどぐろ、かに、もろこのなかから1種類を選ぶようになっていました。肉のほうは、合鴨、佐賀県の鶏、丹波篠山のいのしし、北海道牛から選ぶようになっていました。
どの品も、小さな器にちょこんと盛られて出てきます。今週は、福知山の「いそい」、舞鶴の「池屋」と続きましたので、「いふき」の器がめちゃ小さく見えてしまいます。
この夜は、器の美しさもよくわかるように写真を撮りました。
こかぶと菊菜です。
牡蠣の米粉揚げです。
すんません、忘れました。
ふぐの刺身。鉄刺というより刺身ですと女将さん。
すんません、忘れました。
穴子です。穴子の何だったか・・・
えっと、すんません、忘れました。
ぐじの炭火焼です。上にのっているのはぐじの皮です。
炭火焼。北海道牛のロースです。
干し柿を使った酢のものです。
ご飯です。なにご飯?すんません、忘れました。
デザート。いちごのシャーベットと、すんません、忘れました。
魚の炭火焼は、他の人のも写真にさせてもらいました。いずれの皿も、決して食べている途中の撮影ではなくて、出てきたばかりの状態です。そうなんです、一人前の量がめちゃ少ないんです。
かにです。
もろこです。もろこは琵琶湖の魚。早春の小魚です。
のどぐろです。
きんきです。
こちらはカウンター席です。ゆったりした椅子で居心地よさそうでした。
女将さんに尋ねますと、ア・ラ・カルトで注文したい客がカウンターに座るということでもなくて、来客全体の7割か8割までがコース料理だそうです。小食の方、お酒中心の方、好き嫌いの多い方は一品で注文なさいますけどとのことでした。
「いふき」では、東舞鶴の「揚げ半」の息子さんが働いていました。「いふき」の旧店舗には「揚げ半」の京都店が入っていますし、両店の間にはいい交流がありそうです。
揚げ半のその息子さんに案内してもらって、バー「サンボア」にも行きました。たまたま座席で隣り合わせになった男性が米問屋の4代目という方で、米の話をあれこれ聞かせていただきました。この日、京都市内には、青年会議所のメンバー7千人が全国から集結。その7千人のおひとりでした。
」
雨の上がった祇園の小路をぶらぶら。タクシーの多い四条通まで歩きました。
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