とても有名な宮津のこんぴらうどん。
カウンターで冷やし鳥天を食べ終え、誰に話すでもなく、 「宮津はガソリンが高いなあ」と私。
それを耳にしたひとりが言った。
「宮津は下がらん。舞鶴はちょっと安くなったけど。宮津は下がらんで」。
また別のひとりが言った。
「高い、高い。ひとつの店にいっぱい価格がある。宮津は四重価格や。客によって値段が違う」
ガソリンを安く入れたいと思えば、プリペイドカードを買うとか、現金会員になるとか、いろいろな方法がある。ところが、宮津では、これら万人向けサービスの枠を外れたところに、縁故価格とでもいうべき値段があるという。それがいちばん安い価格になっているそうだ。この価格で優遇される客のガソリンカードには、ぽちっと、小さなシールが貼られているそうだ。
「どんなシール?貧乏人とか書いてあるとか?」
もちろんそんなシールはない。
では、どうすれば自分のガソリンカードに縁故者向けスペシャルシールを貼ってもらえるのか?
一例だが、ガソリンスタンドがどうしてもタイヤを売りさばきたい期間というのがある。
ノルマ達成に苦渋しているガソリンスタンド従業員がいる。
彼からタイヤをなんとか買ってもらえないかと頼まれる。
カオを立てて、いらないタイヤの4本も買ってやる。
そこで、はじめて、スペシャルシール客に格上げされる。
という話なのだが、まずは無理を頼み込まれるくらいの人間関係がないことにはどうにもならない。そういう無理を頼まれるというと、肉親、親戚、旧友、隣近所・・・それくらいの範囲ではないのか。
こういうのはなにもガソリンに限ったことではない。
同じく宮津のHOANKANという喫茶店での体験。
こんな私でも会社からのメールを急いでチェックしなくてはならない日があった。通り道にHOANKANを見つけて飛び込み、席につくなりノートパソコンを広げた。
そのとき、店からとがめられた。パソコンを使ってくれるなという。
「え?なんで?」
「そのテーブルはうちの常連さんが好きな席です。パソコンを使ってそこで長居されたら、そのお客さんが来られたときに困るんです」
怒ったらあかん。これでいいのだ。
店は常連のカオを立てえこひいきするいっぽうで新たな商売の好機を失っている。
客はカオを立てられえこひいきされるいっぽうで店への義理に縛られている。
お互いがそれを納得づくであれば、それでいいのだ。
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