2010-09-04

わきもと 福知山市 蕎麦 「福知山のランチタイム④」

田舎町にもおいしいランチ。今回は「わきもと」。



★城下町の福知山。しかし、城下町らしいものはあまり残っていない。それが、「わきもと」に腰を下ろすと、目に見えない形で城下町を感じるのはなぜだろう。丁寧な造りの店。丁寧に切られた蕎麦。丁寧な接客。自分まで丁寧な人間に昇格したような錯覚に陥る。店の後ろ半分は旧来の町屋だ。座敷に上がれば中庭も見える。

★初めて行ったとき、主の脇本さんは闘病暮らしのなかで店を切り盛りされていた。月に何日間かは店を閉めて京都市内の病院に通っておられた。次に行ったときには、休業日を予め知らせる貼り紙がすっかり店から消えていた。もう大丈夫のお墨付きを医師からもらって病院通いから解放されたのだという。元気を取り戻した脇本さんの蕎麦は以前にも増しておいしくなった気がする。蕎麦の味、出汁の味、写真から伝われとばかりに気合いをこめてシャッターを切った。


★蕎麦屋の話でトイレを褒めるのもなんだが、「わきもと」のトイレは私のお気に入りだ。格子がとても美しい。昭和20年台を思い出させるトイレだが、引き戸を開けた途端にパッと電灯がつく。自分が出た後も、磨り硝子越しに灯り続けるオレンジ色の光が魅力的で、いつまでもトイレから離れられない。





★蕎麦には十割と二八がある。十割には限りがある。早い時間帯に行かないとなくなってしまう。でも、二八で充分においしい。この日はデザートも食べた。あずきのプリン、コーヒーゼリー。どちらを選んでも150円。どちらも食べた。甘さにせよ、苦さにせよ、なんでここでこんなに上手に止められるのか。そういう味だ。


★久々の雨が降っていた。店からわずか離れた位置に数台分の駐車場。脇本さんがビニール傘を持ってきてくれた。来てから帰るまで、丁寧でないものは何もなかった。


0 件のコメント:

コメントを投稿