さて、ランチハウス・リリーのマコちゃんからもらったスズキ。
どんな風に料理して食べようかな。
この魚の顔を見ていますと、「そうだねえ、どうすればいいかねえ」と相談にのってくれているようです。
【まずは魚をさばこう】
全長60センチほどある魚体でした。我が家のキッチンではこれくらいの大きさが限界だと思いました。
魚をさばきますのは、妻お龍です。
神奈川県の大磯生まれで大磯育ち。父母が吉田茂邸出入りの魚屋でなんて話はどこにもありませんが、いまも昔も、どこの家庭も魚を自分でさばくのが当たり前の土地柄です。
【氷を置き台にしたのが正解】
マコちゃんが、脂のよくのったいいスズキと言っていました。「腹に脂の身があるし、そこを刺身にして食べ」とのことでした。
魚を下ろした後、カルパッチョ用としてそこの身だけを切り分け、魚をさばき終えるまでそれを氷の上に置きました。お龍は身がだれるのを防ぎたいと思っただけだったのですが、それがたまたま身をきゅっと引き締める結果にもなりました。
ネットで料理レシピを見ましても、さすがに魚をさばくステップから解説してあるサイトはありません。偶然にもカルパッチョの下ごしらえに氷を活用するアイデアを学ぶことができました。
この日はたまたま大きな板氷が手元にありました。スズキを運ぶために釣り道具店で大きなサイズを買ったからです。
【マコちゃん米酢は酒の味】
スズキといっしょにマコちゃん自作の米酢をもらいました。去年仕込んだやつです。
カルパッチョ前にこの酢に切り身をくぐらせればいいとマコちゃんは言っていました。そうすることで保存性が高まり、冷蔵庫で3~4日はもつとのことでした。
マコちゃんは酢の保存性を強調していましたが、私たちは味わいアップ効果に感心しました。マコちゃん米酢は透明ではなくて、ホームメイドならではの濁った仕上がりになっています。この不純物が旨味のヒミツではないのかと思います。
そのままちょっと舐めてみて、ひょっとしてまだアルコール分が残っているのではないかと思いました。米酢にしてもワインビネガーにしても、行程の一段階目で日本酒やワインになるわけで、そこに酢酸菌を加えることによってアルコール分が酢酸に変わっていきます。
マコちゃんが意図的にやったことか、素人ゆえの失敗かは知りませんが、市販の酢では望みようもない複雑味を、アルコール分や不純物が醸し出しています。
マイルドで口当たりのいいワインビネガーみたいだとお龍は言います。マコちゃんからは2011年ものをもらったこともありますが、2012年ものではおいしさが明らかにパワーアップしていました。
そして、スズキの腹身のカルパッチョが出来上がりました。写真を撮り損ねてピンボケですが、味のピントに狂いはありませんでした。皿に盛ってから追加したのは、EXヴァージンのオリーブオイル、塩、コショウだけですので、マコちゃん米酢に感謝、感謝の仕上がりとなりました。
【簡単かつ美味 レモンクリームソース】
脂ののった腹身をカルパッチョに、そして残りをグリルにしました。
いつぞやどこかのサイトでレモンクリームソースを見て、それがメモしてありました。レモン汁4分の1個、生クリーム50cc、白ワイン50cc。
グリルしたフライパンに残ったオリーブオイルとこれらの材料を混ぜ合わせて、トロリとするまで煮詰めるだけです。
煮詰めながら味見をしてみたら、生クリーム50ccではレモンの酸味が勝ちすぎるように感じました。少しずつ生クリームを増やしながら味見を繰り返し、最終的には75ccまでいきました。
仕上がりが下の写真です。皮をもっとカリカリっと焼き上げたかったのですが、強火にしすぎて焦げたらいけないととビビッてしまいました。「料理に躊躇は禁物だ」と陳健一さんがどこかで語っていたのを思い出します。
レモンクリームソースとの相性は予測以上でした。スズキは淡白な味わいだけに、いろいろなソースと組み合わせる楽しみがあります。
【マコちゃん、スズキ君、ごちそうさまでした】
釣れたて、しかもマコちゃんの活きジメにしくじりも手抜きもないおかげで、本当に鮮度のいい魚でした。
スズキの旬は夏場だといわれています。今回のスズキもふっくらと丸みを帯びて、女性的ともいえるふくよかさでした。スズキは血合いの少ない白い身が特徴で、それに加えて今回は脂がよくのっていました。クセがないのにおいしいというスズキの魅力を堪能しました。
マコちゃん、こんなに頑張ってスズキをいただきました。ここまでやってくれるのなら釣った魚をあげる甲斐があると思うでしょ。
まだスズキが半分残っています。そちらの料理は次の記事にて。
0 件のコメント:
コメントを投稿