2013-06-02

番外編:糖質制限ダイエット 4週間で5キロ痩せた

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 ここしばらく、4週間ほど、糖質制限ダイエットを試しています。
 そして、まさかの効果に驚いています。じぇじぇ、です。


【糖質制限ダイエットとは?】

 糖質制限ダイエットをご存知の方、あるいはすでにやってみた方もおられると思います。ご存知でない方の場合も、字面を見ただけで、糖質を減らした食事を続けることだなと推測できることでしょう。

 糖質制限ダイエットは、そもそも糖尿病の治療手段として始められました。「甘いものを食べ過ぎると糖尿になる」と、昔からよく言われています。糖質制限ダイエットをもっともシンプルに説明するならば、まさに「甘いものを食べると糖尿病になる」の逆をいく食生活です。

 甘いものといえば糖類を指すわけですが、単に糖類だけに留まらず、糖質全般の摂取を抑えて血糖を上げないようにするのが糖質制限ダイエットです。糖質全般ですから、ごはん、パン、麺類、イモなども制限の対象に入ってきます。

 私にとって特筆ものだったのは、ウォーキングもランニングもジム通いもまったく必要としないことでした。出るカロリーと入るカロリーのバランスで痩せようというダイエットではありません。糖質を制限し続けていれば、それだけで落ち着くべき体重に落ち着くのだといいます。落ち着きどころを知っているのは自分の身体だけです。
 その人なりの生活様式や代謝量に合わせておのずと腹が空くだろうし、満腹の食事量も決まるだろうしということで、もし痩せすぎなら太る、もし太りすぎなら痩せるのだといいます。

 私のつたない知識で長々と説明するよりも、下のYoutube動画2本を見ていただくほうがはるかにいいと思います。糖質制限ダイエットの推進派と慎重派、双方の見解が紹介されていて偏りのない内容です。この動画はNNNの報道特集でして、前編・後編のふたつに分けられています。
 






 また、文章やイラストを使った説明なら、以下のふたつのサイトが簡潔でいいと思いました。ひとつはNHKの「ゆうどきネットワーク」のサイトです。もうひとつは、「主食をやめたら健康になる」というタイトルの書籍の広告サイトです。



 





【開始4週間で5kgくらいダウンした】


 糖尿病の食事療法として論じられることの多い糖質制限ダイエットですが、糖尿病ではない人の肥満解消にも役立てられています。
 私の場合、肥満がもたらした糖尿病予備軍の状態にあります。分不相応に内臓脂肪を貯め込み過ぎた挙句、私の体内では糖尿病と同じ代謝異常が生じています。いわゆるメタボリックシンドロームです。

 糖質制限ダイエットを勉強した結果、糖質の摂り過ぎは自分の身体を甘やかしているも同然だと思い始めました。それゆえの糖質断ちです。5月の連休明けから糖質制限ダイエットを始めました。

 で、効果のほどですが、4週間で5kg弱、痩せました。

 開始前:70.0~71.1kg  →  4 週後:65.0~66.3kg

 「70.0~71.1kg」と幅をもたせて書いているのは、そのときどきで上下するからです。服を着ていたりパンツ一丁だったり、食後だったり空腹だったりと、計測条件を揃えていません。当然のことながら、小数点以下の数値が違ってきます。

 はじめの2週間、あっというまに4kg落ちました。糖質制限ダイエットでは体脂肪に先駆けて体内の余分な水分が減るそうです。おそらく、まずは水が抜けたのだろうと解釈しています。また、糖質制限初期の体重減少は体内に蓄えられていたグリコーゲンが減るからだとする説もあります。

 とにかく、スッと2週間で4kg減に達したのですが、それ以降は66~67kgの間をウロウロしていました。

 参考にした本ではどれくらい減ることになっていたかな?
 もう一度読み直してみました。



【1年間で4.5kg 米国スタンフォード大学の研究】 

 「ヒトはなぜ太るのか?」で紹介されていた米国スタンフォード大学の試験結果(2003~2005年実施)では、1年間で9.9ポンド(約4.5kg)の減量効果になっていました。これは2007年の米国医師会雑誌(JAMA)で発表されたデータです。

 このときの食事制限は「アトキンス式ダイエット」と称されるもので、「最初の2~3ヶ月は炭水化物を1日20g、その後は50gとし、蛋白質と脂肪は食べたいだけ食べる」という内容でした。(炭水化物=糖質+食物繊維のことだそうです)

 ちなみに、白いごはんをさほど大盛りにしない場合でも1杯で150gほどの重さになると思います。その炭水化物含有量が約56gになるといいます。食パンですと、八つ切り2枚が約47gだそうで、これはフジパンの資料で見ました。「最初の2~3ヶ月は炭水化物を1日20g、その後は50g」という炭水化物制限は、米が主食の私たちにはきつそうです。

 試験には閉経前の女性77人が参加し、うち68人が最終判定まで残りました。参加した人たちを平均しますと、年齢42歳、体重86kg、体脂肪率41%、BMI指数32といいますから、なかなかのもんです。
 この女性たちの体重が、1年後に4.5kgダウンしました。最大の人が6.3kg、最少の人が3.1kgでした。

 減量効果が1年間でわずか4.5kgに留まったことには理由があると、この本の著者は言います。試験に協力した人たちは開始2~3ヶ月後で早くも炭水化物制限を破り始め、試験期間が進めば進むほどさらに多くを摂取していたからだそうです。

 痩せるべき人ほどよく食べるという一般傾向を踏まえれば、試験開始以前ですでに平均体重86kgにも達していた女性たちですから、1年間の糖質制限は辛かったはずです。その苦行度が現われた試験結果だと思います。



【1年間で10kg 江部康二Drの実践結果】 


 「主食をやめると健康になる」では、著者自身が糖質制限ダイエットを実践しています。著者は江部康二といって、京都市右京区にある(財)高雄病院の理事長です。高雄病院では糖質制限食を糖尿病治療に取り入れ高い治療効果を上げていると、江部先生は言います。

 で、江部先生は、自らが続けている糖質制限食について、「肉・魚・野菜・豆腐などおかずは食べ放題で、主食(糖質)だけがNGです。酒はビール・日本酒などの糖質を含んでいる醸造酒はやめて、もっぱら焼酎にしました」と書いています。
 これを2002年(年齢52歳)から開始したそうです。江部先生は言います。

「半年後には体重が56kgに落ち、血圧も120/70、HbA1cも正常になり、メタボリックシンドロームも解消し、学生時代の体型にぴったり戻りました。2011年現在もその体型を保っています」

 開始前が167cm・66kgだったということですので、半年で10kgの減量を達成したことになります。

 江部先生は自らの体験の他に、「ヒトはなぜ太るのか?」が引用したスタンフォード大学の試験結果も紹介しています。それに加えて、英国の医学雑誌「New England Journal of Medicine」で発表されたイスラエルの研究結果にもふれています。

 このイスラエルのデータでは、アトキンス式ダイエットの結果が、2年後に4.7kgのダウンというものでした。このとき、地中海式ダイエットの効果も同時に試されました。そちらは4.4kgのダウンでした。江部先生はアトキンス式がいちばん減量幅が大きかった点を強調していますが、元の論文はアトキンス式と地中海式が有効だったと述べています。


【ちょっと注釈を加えさせて下さい】

★上記の書物や糖質制限食の研究は、肥満解消効果もさながら、医学的メリット(心筋梗塞や脳梗塞を減らす・検査値異常を改善する・糖尿病治療に役立てるなど)に重点が置かれています。したがいまして、その人がスリムで見た目のいい体型にならずとも病気のリスクが減ったのならそれで十分に有意義な結果です。美容効果とはまた別の話になってきます。

★スタンフォード大学の試験の紹介では「糖質」とせずに「炭水化物」という言葉が用いられています。オリジナル論文はcarbohydrateという単語を使っています。学術用語として日本語の「糖質」にも「炭水化物」にも相当する単語です。

★地中海式ダイエットの骨子は次のような6項目にまとめられるそうです。赤字にした部分が糖質制限ダイエットと違うところです。

1 季節の野菜と果物、また穀物など植物性食品を豊富に摂る。
2 主たる脂肪源として、オリーヴオイルを日常的に使う。低脂肪の乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)は、毎日適量摂取する。
3 魚介類を習慣的に摂取する。
4 獣肉の摂取は少量にとどめる。
5 食事中に適量(グラス1-2杯)のワインを飲む。
6 日々の身体活動 (Daily Physical Activity) を欠かさない。


<Dr.Iwaoの地中海式ダイエットから転載>

★日本糖尿病学会は、今年3月、「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言」をプレス・リリースしました。糖尿病患者における糖質制限食の有用性はいまだ確立されていない、現時点では推奨できないとの見解を明らかにしています。

★私の参照資料は以下の通りです(青字はクリックでリンク先へ)

①「ヒトはなぜ太るのか? そしてどうすればいいか」 著者:ゲーリー・トーベス 訳者:太田喜義 発行:株式会社メディカルトリビューン(2013年4月28日)
②「主食をやめると健康になる 糖質制限食で体質が変わる!」 著者:江部康二 発行:ダイヤモンド社(2011年11月10日)
「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 」
スタンフォード大学の試験オリジナル論文
イスラエルの試験オリジナル論文
Dr.Iwaoの地中海式ダイエット


【自分に可能な最大限の厳しさでやってみた】

 こうして見直してみますと、4週間で5kg減量は上出来です。糖質断ちの成り行き任せだけでこんなに早く減ったというのは、自分本来のあるべき姿はもっと痩せていなくてはならないということではないでしょうか。事実私は、25歳のときには52kgしかなくて、「蚊トンボの腹下し」と呼ばれていました。自分を一匹の生き物として見た場合、自然の摂理に大きく背く食生活を送ってきたのでしょう。35年間も。

 私が試しているのは、江部先生ほど自分に厳しくもないけれど、かといってなるべく糖質を控えましょうほどには甘くないといったやり方です。

 まず、カロリー制限と低脂肪の考えはまったく捨て去りました。運動もしていません。

 牛肉・豚肉・鶏肉・魚・卵を好きなだけ食べています。
 「ヒトはなぜ太るのか?」は、肉類をOKだとしながらも細かいところでは摂取しすぎを注意しています。
 いっぽう、「主食をやめたら健康になる」は条件抜きのOKです。腹いっぱい食ってもいいの立場をとっています。

 乳製品は、ヨーグルトやチーズを、これまた好きなだけ食べています。ヨーグルトに塩とオリーブオイルをかけるとけっこうおいしいので、もっぱらそちらの味付けです。牛乳は、NG食品ではないのですが、乳糖を含みますので飲まないようにしています。
 
 野菜類もガポガポ食べています。しかし、野菜なら何でもいいというのではなくて、ジャガイモ・サツマイモ・トウモロコシ・ニンジンを避けています。これらは糖質を多く含む野菜だからです。

 ごはん・うどん・蕎麦・餅・パスタ・パンは、自宅にいる限り食べません。ケーキ・和菓子・あられ・おせんべいなど、砂糖や糖質が主体の間食もやめています。案ずるより生むが易しで、やってみればそれほどの欲求不満を感じませんでした。

 果物もほとんど食べなくなりました。果物の糖質含有量はOKとNGの間くらいなので、江部先生は○でもなく×でもなく△の評価を与えています。しかし、果物を食べたい気持ちがとくに起きないので、いまのところは食べていません。

 私は晩酌をするほど酒に強くありません。酒については、ビール・日本酒・紹興酒などの醸造酒がNGとされています。そのかわり、焼酎・ウイスキーなどの蒸留酒にはOKが与えられています。ワインは醸造酒の一種ですが、糖質の含有量が低いため、○に近い△でOKのお墨付きを得ています。

 といったことなのですが、いついかなる場合も糖質制限だというほどの根性を私は持ち合わせません。それに、実際問題それはできません。

 孫のお宮参りでは寿司やケーキをみんなで楽しく食べました。北陸出張期間は今庄で蕎麦も食べましたし、金沢でラーメンも食べました。草津のステラおばさんと呼ばれる知り合いの家に招かれたら、「あんたらだけ痩せるのはずるい」とおいしいクッキーを焼いてくれます。糖尿病の教育入院中ではありませんから、がんじがらめでなくて構わないと思います。


【食事の仕度が楽になったと妻お龍】
 

_DSC7901肉はどれだけ食べてもOK。安くてうまそうな肉を物色中だがどれも高い


 私の妻お龍も同じように糖質制限ダイエットを試しています。お龍は私ほどの減り方ではありませんが、それでも長い間ご無沙汰だった数字に達したと喜んでいます。2.5kg減です。体重をバラしたいけど、あとがコワいです。

 お龍は、食事の仕度が楽になったと言っています。ごはんを食べない分おかずが増えてタイヘンではないかと思っていましたが、使える食材が限られていて、考えなくてもいい。かえってすっきりしているそうです。

 思うに、ごはん前提の食事ですと、ごはんに合う・合わないの判断基準に照らし合わせておかずの材料や味付けを思い描く必要があります。意識しないうちにもおかずとごはんとのマリアージュを想定し、これでいいかしら?と正解を求めているようなところがあります。そこから解放されれば、たしかに頭が楽です。

 ただし、仕事も子育てもといった忙しい主婦の場合には糖質制限メニューがかえって負担になるかもしれないとお龍は言います。子供と大人で食事内容を変えるなんて面倒くさいことです。それに、ごはんもあることだしおかずはこんなもんでいいかという妥協が難しくなるのだそうです。
 じゃあ、スーパーに並んでいる調理済み食品を活用できないかと誰しも考えるところですが、それらを裏返して成分表示をよく見れば、たいていは糖類が使われています。たとえば、ハムなら手っ取り早い糖質ゼロかと思って手にしてみても、あにはからんや砂糖が使われています。砂糖が見かけにツヤを与えるからです。

 糖質制限ダイエットのおかげで食事の仕度が楽になったとお龍が言い、私はその話を聞いて思いました。料理というものは、糖質をおいしく食べたいがために発展してきた面が多々あるんだろうなあ、と。糖質はそれだけ主要な位置を占めてきたんだろうなあ、と。
 糖質制限ダイエットを始めたら、糖質調理の多様性と縁が切れます。今夜は何をどういう調理方法にしようかという迷いが生じにくいわけですし、その分だけすっきりして楽になるのは道理です。ま、ちょいとばかり淋しい話ではあるものの・・・


【自分の自分による自分のための食事】

 不思議なことに、仕度が楽になっただけではなくて、いままで以上に食事を楽しめるようになりました。それがどうしてなのか定かではありません。理由はともあれ、食事に集中できるようになりました。
 食卓からごはんが消えると、ごはんとおかずという区別もなくなります。どうもこのことが大きな要因だと思えてなりません。
 主食・副食というように、あるいは、「いただきます」の言葉に象徴されるように、ごはんを中心に据えた食事には米を食べるプチ儀式的性格があるのではないかと、いまは思います。
 「いただきます」は誰に対する「いただきます」なのか?齢六十にして未だ正答を得ず、です。それはそれとして、「いただきますマインド」がかもし出す他人行儀さや受身姿勢が影を潜め、自分の自分による自分のための食事といった心理がより顕著になった気がします。

 ひょっとすると私は、ずっと米にいただきますと言ってきたのでしょうか。

 これからどうなるかは別として、いまのところは糖質制限ダイエットがもたらした不思議な感覚をなにかと楽しんでいるところです。

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