2011-03-22

半径30km 高浜原発(福井県)

 キャプチャ

 いまみなさんの関心は東北・関東大震災に集中していることと存じます。私も同じです。あれ以来、あまりブログネタに集中できません。それでも心に鞭打つがごとく平常通りにネタを続けています。こんなときにもかかわらずアクセスしていただく回数に低下傾向もなく、みなさんに厚く御礼申し上げる次第です。


 さて、福井県には原発が集中しています。高浜、大飯、美浜、敦賀の4箇所です。

 このうち高浜と大飯のふたつは舞鶴市からさほど離れてはいません。舞鶴市の多々見市長は、高浜原発から半径10km以内に12000人が住んでいると述べています。多々見市長はついこの前まで舞鶴共済病院の院長先生でした。ぜひとも災害時の医療体制にも力を入れてもらいたいと望みます(ついこの前までは、製薬メーカーの社員がこんな生意気な口のききかたなんてしてはならないお方でした)。


 関西電力によりますと、「福井県の若狭地方には原子力発電所が数多く立地し、平成元年度から平成19年度まで日本全体の原子力発電による発電量は第1位にランクされています。平成21年度においても発電量の約27%を占め、そのほとんどが関西に送電され、関西の電力消費の約半分を供給しています」ということだそうです。
 それだけに、福井新聞には、福島第一原発の災害以降、県内の原発の安全性を憂う記事が多く見られます。県や市町村に対して関西電力は、今後の安全性対策に最大1千億の予算を組むと説明しているそうです。
上記記事のURL
(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/27026.html)

福井新聞のURL
(http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/index.html)


 福島第一原発の津波災害では半径30km以内が避難や屋内退避の指示対象となっています。30kmを超えた場所でも野菜や牛乳や水道水から放射性ヨー素が検出される事実をみますと、この30kmにどれほどの意義があるのかわかりません。それを踏まえてのうえですが、高浜原発を中心にして、半径10km、20km、30km、みっつの同心円を描いてみました。
 丹後側の30kmには、舞鶴市、宮津市、与謝野町、伊根町が入ってきます。車で走りますと腰も痛くなるし居眠りも出てしまう遠さですが、直線距離ではこんなにも近いことになります。LAST TANGO IN 丹後は丹後の楽しい顔ばかりを紹介しています。けれども、この半径30km以内も丹後のひとつの側面です。放射性物質の放散に自治体の境界線はありません。



 東北・関東大震災のような大地震や津波は起きない。そう考えることによって私は安心しています。起きるかもしれないと本気で思うならブログなんてやってる余裕はありません。それは震災前の福島県の人たちも同じだったはずです。
 毎日.jpの記事によりますと、福島第一原発を襲った津波の高さは14m(設計時の想定値は5m)の可能性があるといいます。揺れの強さ(加速度)は東西方向を除いて経済産業省原子力安全・保安院が定めた耐震基準値以下だったそうです。ところが、鉄塔破壊や電源水没などが現に起きてしまって、「止める、冷やす、閉じ込める」が不可能になったそうです。
記事のURLはhttp://mainichi.jp/select/science/news/20110322k0000m040115000c.html

  3月19日の「増刊!たかじんのそこまで言って委員会」でロバート・ゲラー先生(東大)の話を聞きました。地震予知そのものではありませんが、原発や空港建設に関する地震の想定方式はもっと厳しくあるべきだと言っています。





 地震当日の夜、福島県田村市に住む釣り友達とたまたま電話が通じました。福島第一原発についてはまだ何も報道されていない時点でした。
 「原発に勤めている友達から大変なことになっていると聞いた。津波でパイプ類がやられてどうにもならないらしい」
 私は「ほんまか?」としか答えられませんでした。どうしてそんな重要な出来事が報道されていないのか不思議でした。何もかもが異常事態のなか、さまざまな事実について報道の遅れはあったと思います。福島第一原発もそのなかのひとつだったのかもしれません。英国ファイナンシャルタイムス(3月18日付け)は次のように書いています。これが本当の理由だったのかもしれません。
 東電は原発で起きた爆発について1時間も首相官邸に連絡せず、菅直人首相は東電幹部に対して「一体どうなっているんだ」と、強い口調で情報を要求する羽目になった。
 連絡の遅れは、東電のエンジニアたちがずっと「中央政府に問題を報告することを避ける」傾向を引きずってきた可能性があることを示唆している。これは、過去20年間の安全性評価報告の改ざんが発覚した2002年に同社自身が認めざるを得なかった失態だ。
日経新聞から引用)
 
 さきほどNews23を見ていましたら、福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんという方が廃業を決心したと語っておられました。飯舘村は30kmの圏外ですが、原乳から基準値を超える放射性ヨウ素が検出された地区です。ご承知のように福島県全域に対して原乳の出荷停止命令が出されています。長谷川さんは、牛の体内から放射性物質がすべて抜け出すのがいつなのかまったく予測できないかぎり廃業以外の道は考えられないと話しておられました。
 丹波の野菜や肉、丹後の魚や米。産業に乏しいなかおいしいものが経済を支えるこの地域に同じ被害が起きるのはいたたまれません。そのときは地震災害もこうむっているはずですから、そこに放射線被害が加われば再起不能の窮地に陥ることでしょう。


 同じくNews23では、いわき市に取り残された高齢者の方々についてもレポートしていました。いわきは面積の大きな市ですので、避難指示区域もあれば屋内退避指示区域もあります。しかし実際は、屋内退避指示区域からも多くの世帯が市外へと避難したそうです。いっぽう、行動の不自由な高齢者の方々は市内に留まることしかできませんでした。そうしたお年寄りをさらに困窮させるのが食料や日用品などの物資不足。いわき市は放射能で危ないと物流業者が物資運搬を渋る結果、屋内退避指示地域ですらも深刻なモノ不足に陥っているといいます。
 高齢者の比率をみると、いわき市22%、舞鶴市24%、宮津市34%、京丹後市28%です。もし高浜原発から放射線漏れが起きたとすれば、高齢者の取り残しはいわき市以上に深刻かもしれません。

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