2011-03-07

番外編:信楽焼 狸と聖太郎

 聖太郎を信楽に連れて行って、信楽焼名物である狸を見せました。聖太郎は大喜び。そこまで喜ぶのかというほどでした。

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 雨のしょぼしょぼ降る晩に
 豆狸(まめだ)が徳利持って酒買いに

 これは古い手まり歌だそうです。信楽焼の狸は酒を買いに行くところだそうです。私は祖母からこの歌を習いました。そして、今日は、自分が孫に歌って聞かせます。50年以上の年月を経て、この手まり歌の歌詞も節回しも、まだ頭から消えていません。
 「雨のしょぼしょぼ降る晩に」で始まる歌をもうひとつ、子供の頃に覚えました。それは「かしわの鳴くまでぼぼするわ」で終わる春歌。満州鉄道職員の相手をさせられた朝鮮人娼婦たちの歌です。これも祖母から習ったのでしょうか。


 子供の頃、うちの庭には信楽焼の狸がありました。いえ、たいていの家の庭に狸が置いてありました。新築祝いの品にもなっていたような記憶があります。信楽から近い水口という町ですので、庭の狸はどの子供にも身近な存在でした。
 雨の降る庭にはカタツムリも出ればナメクジも出ます。雨水は、ツツジの葉からしたたり落ちたり、雨樋から漏れたりして狸を濡らします。そんな光景を祖母と眺めながら、何歳の頃かにこの手まり歌を習ったのでしょう。


DSC02281 当時の信楽狸は、頭に蓑笠をかぶり、右手に徳利をぶら下げ、左手に通帳を持っていました。
 通帳は「かよいちょう」と読みます。銀行の通帳(つうちょう)とはまた違って、掛売りの記録簿のことをいいます。つまり狸はツケで酒を買っていたわけです。もちろん、たまった借金は木の葉のお金で払います。
 そして、信楽狸といえばなによりも大きなキン玉の袋です。これで人を化かすんですね。長旅を続ける一行が山のなかに立派な一軒家を見つけて一夜の宿を頼み出ます。その家には美しい娘もおりまして、一夜の宿どころか、えらいおもてなしを受けます。大きなお座敷に通されて飲めや歌えやの大宴会。ところが夜も更けた頃になってその一軒家はきれいに消えてなくなります。一行は狸に化かされていました。広いお座敷と思っていたのは実は狸のキン玉袋だったというお話です。


 この話も祖母から教わりました。いずれ聖太郎に語り継がねばなりません。

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