敦賀原発2号機直下の断層は活断層である可能性が高い---原子力規制委員会がそう判断しました。これによって廃炉の可能性が高くなってきました。
敦賀は第二の夕張か・・・
いっぽう、1号機直下の断層について、原子力規制委員会の判断は下されていません。けれども、1号機は運転期間が42年に達している上に、浦底断層に近いこともあり、原子力規制委員会がそう安々と再稼動を認めるとは思えません。
3号機、4号機が増設される計画もありますが、野田政権は増設を認めない方針でした。自民が政権をとれば増設にGoサインかもしれないといった状況です。しかし、危ないと判断された敷地内での増設です。有権者の反発は必ずあります。自民党だってやりにくいはずです。
原発に依存できなくなったら敦賀が第二の夕張になってしまうと危惧する建築資材業者の声を、今朝の朝日新聞が紹介していました。
たしかに、敦賀から原発が消えれば、地元の人たちはたいへんだと思います。
下の写真は敦賀市の中心街(だった)大森商店街です。夕張の写真ではありません。気比神社の大きく立派な鳥居から始まる商店街なのに、道路は片側2車線だというのに、シャッターを下ろしたままの店ばかりです。
中心街では住民の高齢化や人口減少が進むとともに、幹線道路沿いの大型店舗に客が集まり、先が見えにくい状態です。原発の有無とは直に関連しないさびれ方であり、日本海側の小規模地方都市ではどこにもあるさびれ方です。
そこをなんとか原発でごまかしてこれたわけですが、そのごまかしもきかなくなるようですと、自助努力を必要としなかっただけに、第二の夕張への道は早いかもしれません。
調べるまでもなく危険だった?
MSN産経ニュースが次のように書いています。
今回の結論に至るまで十分な議論が尽くされたとは言い難い。原電の調査はまだ継続中で、活断層とされた破砕帯についても未解明の点も多い。規制委が繰り返してきた「科学的な判断」といえるかどうか、そして結果が妥当かどうか、今後議論を呼ぶ可能性もある。結論までがたしかに早かったなと、私も思います。
調査に当たった専門家たちのホンネを想像するに、時間のかけ方で変わる結論ではないということだったのでしょう。
国のルールでは活断層の真上に原子炉建屋を建ててはいけないことになっています。だから、2号機直下を走る「D-1」という破砕帯について活断層かどうかを判定する必要がありました。
しかし、D-1の調査はいわば手続きだったと私は思っています。
国の機関として何かを言うためには手続きを踏む必要性があったのでしょうが、専門家の見地からはさほど意味のある調査ではなかったのだろうと思います。
というのも、たとえD-1が活断層でなかったとしても、200mほどしか離れていない場所を浦底断層が貫いているからです。浦底断層は活発な活断層だそうです。それだけで危ない。M7.5以上の大地震を引き起こしうる活断層だといいます。
この浦底断層があるかぎり、D-1について何を論じても屁のツッパリにもなりません。新聞などのニュースによると、浦底断層の危険性は調査前から分かっていたことになります。それを分かっていながら敦賀原発存続を可能にするような調査結果を出せるはずがありません。
「浦底断層のような活断層が敷地内にあること自体が異常」と千葉大学の宮内崇裕教授が述べています。D-1もさながら、いちばんの問題がやはり浦底断層だったことを窺えるコメントです。
D-1になんとか危険性の証が見つかって原子力規制委員会はほっとしたのではないかと思います。D-1が安全でないとなれば、手続きとしても不足がないばかりか、それを糸口に敦賀原発全体の危険性を指摘することもできます。
何をいまさらと言いたげな人たち
ただし、そこを見透かしたように、福井県の西川知事、敦賀の河瀬市長、石川県の谷本知事、マスコミでは産経新聞や福井新聞が「科学的な根拠を示せ」と食ってかかっています。日本原電は、「D-1は活断層ではない」と主張し、原子力規制委員会宛に公開質問状を出しました。
「いやあ、いままで無事で助かった」という人間らしい感想がまず出てもおかしくないと思うのですが、そう安々と認めてたまるかの姿勢です。いや、安々と認めてたまるかではなくて、そんなこと百も承知の上で原発を動かしてきたんだぜ、ワイルドだろ?といった心境かもしれません。
自治体にとっては、これまでの生き様を否定されたも同然ですし、原発に頼って生計を立ててきた住民の明日があります。はい、そうですかではすみません。たいへんな事態を招いたわりにはD-1そのものへの論及が少ない結論ということで、自治体首長は不満たらたらでしょう。
けれども、福島を思い起こせば、ありのままの危険性が指摘されてよかったと私は思います。
福島県田村市に住む私の友人が言ってました。あそこはこれから先2万年はダメらしい。補償が進んでないというのも大問題ですが、金ではどうにもならないものを失くしましたからねえ・・・。
これは学者からのメッセージか?
結論までが早かったことについて、福井新聞の論説は、「衆院選“渦中”の規制委判断は政治的にもみえる」と言っています。
大いに「政治的」だったと、私は思います。
今回の選挙では原発推進の自民党が圧勝しそうだといわれています。選挙終了を待って自民党政権に変わってからでは、2号機直下のD-1は活断層だという判定をまたねじ曲げてしまわれるおそれもあります。
それに加えて、選挙期間中に原発の是非を問う材料を提供すべきだと学者たちが思ったのでは・・・。私はそのように受け止めています。
今回の敦賀原発の断層調査を通じて、自民党長期政権下での安全性捏造体質がきわめて明瞭になりました。
以前にも増して原発を否定する人が増えた現在、それでも原発を推進したがる自民党が従前以上の安全性神話を捏造するであろうことは想像に難くありません。
「原発建設の裏側にどのような実態があるかを知った上で賛否をよく考えて下さい。知った上でどの党を支持するかは世の中に任せますが」という学者からのメッセージではなかったのでしょうか。
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