2012-12-05

番外編:日本は戦争の道か?

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 言うまでもなく、日本維新の会党首石原慎太郎氏です。
 自主憲法制定、軍隊を有し核武装も辞さず。そう唱える極右翼かつ反米感情丸出しの石原氏ですから、総理になる可能性は高くないと思います。周囲の政治家たちがそんな危ない橋を渡るはずがないと思います。
 けれども、石原氏が総理にならずとも、石原維新の会と石破・安倍自民党が連立を組んだらどうでしょうか。石原氏が悪役を引き受ける戦法によって自民が日本を右傾化させるに違いないと、私は危惧しています。


 忘れてならないのは、石原氏の決断による東京都の尖閣諸島土地購入計画です。

 事態を収拾させる方策として野田首相が尖閣諸島の国有化を決定しました。よくもあしくも石原氏には力があり、総理の国有化決定を引き出したことになります。
 いや、石原氏の力というよりも、ヤバすぎるから思いとどまれと石原氏を抑えるだけの実力や能力を持ち合わせた政治家が不在だということなのでしょう。
 野田首相の尖閣国有化決定が中国の反日感情に火をつけ、そして日中間の経済に打撃を与えることになりました。
 中国側の多分に策略的な反日扇動政策でもありますが、とにかくこれだけの事態を、東京都知事たった独りの行動が招いてしまったわけです。

 尖閣諸島の土地購入なんてまったく東京都の利益につながらない行動です。つまり、東京都がやる必要もない行動です。
 にもかかわらずそれを実行したのがこの石原氏です。
 権力の使い道を顧みることがありませんでした。ある意味、ヒトラーです。

 経済なんて正直どうでもいい、それよりもこのまま中国にナメられ続けてたまるかという思いがあったからこそ、石原氏のなかでは行動が正当化されたのでしょう。
 こんな好戦的姿勢をもった人物だと、都知事4選目の時期に東京都民は思ってもみなかったはずです。仮にそれがわかっていたとして、それでも東京都民は石原氏の続投を望んだのでしょうか。

 私がアレと思ったのは、東京都知事と首相の間だけで尖閣諸島国有化が決まってしまったことです。中国との関係悪化をここまで招く決断を、たった二人でやってしまったことです。

 大きな影響を国にもたらす政策の場合、民主主義にのっとり様々な論議を重ねた上で決定される、それが普通だし常識だと、私だけではなくて多くの人が認識してきたと思います。国の領土問題を扱い損ねますと競合国との紛争になる。国民のコンセンサスなしに決められる問題ではありません。

 ところが、実際は、極右の知事に日本の総理が引きずられました。国の重要事項であるにもかかわらず、首相が知事にです。知事に託された民意の範囲を考えれば異常なことです。
 都に所有させてしまえば知事の権限によるなおさら過激な行動を放置することになる。野田首相の尖閣諸島国有化決定にはそのリスクを回避する目的もあったでしょう。
 しかし、何がどうあれ、いまとなっては尖閣諸島周辺で戦争にも似た軍事的緊張関係が生じています。この事態が、石原氏と首相の意向だけでもたらされてしまいました。
 そうなってきますと、日本に軍事力がないから中国が好き勝手できるのだとの見方が通用しやすくなります。石原氏の自作自演芝居のようではないですか。

 日本はもう二度と戦争をしないのだと思ってきました。極右の思想に引きずられることがないように民主主義を根付かせてきたのだと思ってきました。
 けれども、どうやら幻でした。やり方次第では、民主的手続きなしに日本を右傾化させ得ることを、尖閣諸島国有化のプロセスを通じて知りました。
 太平洋戦争に進んでいったときと何がどれだけ違うのでしょうか。戦争への道は思ったよりもたやすそうです。

 やっかいなのは、石原氏のような極右が政党党首として登場したことです。しかも、ひとり政党とかではなくて、与党が連立候補に挙げるくらいの勢力を持つ政党です。

 政党は民主主義のルールで認められた存在です。選挙で当選し国会に入って与党と組めば、総理にはなれない場合でも外務大臣の席を占めることはできます。外務大臣の席を維新の会にくれるのなら連立してもいいと条件を出せます。外務大臣に石原氏が就任し、中国を刺激する言動を独断で進めることも可能です。

 石原氏は、核兵器の技術開発を前提に原発継続を主張しています。

 11月30日の党首討論会時、「原発をなくすという維新の会の公約は石原氏の核武装主張と矛盾するのではないか」といった質問が記者から出されました。原発技術と核兵器開発技術が重複することをご承知の方も多いと思います。これに対して石原氏は、「その公約はなくしたはずだ、党の公約を直させる」と発言していました。

 ほんまか?と自問自答していますが、ほんまですよねえ。ついこの前までは国民の反発をおそれて言えなかったことが、いまは臆面もなく言える日本になってきました。しかも論議だけではなくて、実行力を与えられた権力層の主張として。

 人生60年間生きてきました。まさかと思っていたことが起きつつある。これはいけない。私も妻お龍も、本気でそう思っています。

 どの本だったのか忘れましたが、歴史の事実を検証するときには権力者の意志の在り方にも目を向けるべきだという指摘をみたことがあります。織田信長関連の本だったと思います。
 その史実が生じたことを社会の仕組みや歴史の流れから必然づけてばかりいないで権力者の意志にも目を向けろ、重要な要素として視野に入れろとの指摘でした。

 安倍氏、石破氏、石原氏を見ていますと、たしかに権力者の意志は無視しえないと思います。

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