2013-01-25

PAUL BOCUSE(金沢市) 金沢城石垣を眺めつつフランス料理

DSC00154e

 香林坊から金沢城へ向かえば、道沿いにレンガ建ての金沢四高記念文化交流館が見えてきます。その隣の建造物が旧石川県庁を元にした石川県政記念 しいの木迎賓館です。
 そのかしの木迎賓館の1階、大きなガラス越しに金沢城の立派な石垣を眺めつつ気軽にフランス料理を味わうことのできる店。
 それが、カフェ&ブラッスリー・ポール・ボキューズです。金沢市内にフランス・レストランは多数ありますが、立地の面ではこれ以上の店はないでしょう。

DSC00196


 実は、なにも知らずに入ったのですが、ポール・ボキューズというのはとても名高いシェフなんですね。
 フランスのリヨンに自分の名前そのままの店をもち、ミシュラン3つ星を40年間にわたって守り続けているというではありませんか。1926年生まれ、当年86歳ながらもまだ現役です。

 日本の株式会社ひらまつが、どんな風に金を使ったのかは知りませんが、ポール・ボキューズという店名でレストラン展開してもいいという契約を獲得しました。ポール・ボギューズという店名が許されるのは、株式会社ひらまつのみ、世界唯一です。
 東京に5店舗、名古屋に1店舗、博多に1店舗。
 そして金沢のしいの木迎賓館1階に気楽なカフェ&ブラッスリー・ポール・ボキューズ、2階に本格レストランであるジャルダン・ポール・ボキューズが置かれています。

 「こんなに広々とした場所に建っていてお城の石垣をバーッと眺められるなんて金沢だけですよ」と店の女性が言います。
 金沢城に残る石垣は本当に立派です。立派だけではなくて美しい。
 典雅を絵にしたようなランチタイムではないですか。

 「大阪や京都にはポール・ボキューズがないねん。何にもわからへへん」と私が言いましたら、「大阪には中の島の、ほら、朝日新聞のビルがありますよね、あそこにラ・フェットひらまつというのができました。あれはポール・ボキューズじゃないけど系統は同じです」とのことでした。
 親会社の株式会社ひらまつは、1982年西麻布のひらまつ亭から始まった会社です。資本金は10億ほど、いまや年商100億超、従業員数は600人に達しようとしています。ASO、HAEBERLIN、POURCEL、D&D LONDONなど経営しています。


 さて、2500円のCコースというのを注文しました。デザートにクリーム・ブリュレを選びましたから100円増しになって2600円です。この店のロケーションの魅力が少しでも伝わればと、あれこれ写真を写しながら料理を待ちました。

DSC00163


 ひと品めは、料理の名前を忘れましたが、これでした。
 エビがあって、スモークの鴨肉があって、野菜があって。そして、すべての食材の中心に、ええっと・・・
 「あの真ん中の温泉玉子みたいなやつ、えらいおいしいけど、あれ名前は何やったかなあ」と、店の女性に尋ねました。料理が運ばれてきたときは、そんなおいしいものとはつゆ知らず、いい加減な聞き方しかしていませんでした。 
 「ポーチュレックのことですか?」とその女性。
 「やっぱり玉子があると、全部に行き渡っておいしいですよねえ。どうでした?」
 どうでした?どころか、平日のランチにこんなおいしいもん食べてバチ当たりそうなほどです。ソースには香ばしさを伴う海老の香りが移り香のごとく乗っかり、ウデとしか言いようのない味わいです。 

DSC00167


 バケットについてきたのはオリーブオイルと、何かのペーストでした。「このオリーブオイルやないほうは飾りやろか、やっぱりパンに塗るもんやろか」とさきほどの女性にまたもや確かめます。

 「ローズマリーを刺してるほうですか。もちろん、塗っていただくものです。鶏肉をその状態にしまして、カレーの香辛料でクミンとかありますよね、ブラックペッパーとか、それを混ぜてあるんです。そのまま食べていただいてもおいしいと思いますが、パンに塗ってもらうほうをおすすめします」
 「これも写真にしとくわ」
 「お、なかなかいい角度ですね」

 なんて会話がありました。

DSC00168

 ふた品目で早くもメイン。
 真鱈の上にアサリの出汁を利かせた泡を飾り、そして、濃い目の焦がしバターソース。皿のふちに乗っているマッシュポテトとカリカリベーコンも全部混ぜ込んで、泡も真鱈もポテトも野菜も、できるだけいろんなものを一緒に口に入れたらめちゃウマという料理です。
 さきほどの女性も見守ってくれまして、「もっと、もっと、グチャグチャにしてください」と背後から激励が飛んできます。女性のそんな言葉を聞くのは、えらいごぶさたしております。

DSC00169


DSC00170

 そして、デザートのポール・ボキューズ特製クレーム・ブリュレ。
 なんと、クレーム・ブリュレを現在のレシピに洗練させたのはポール・ボギューズその人だったというではありませんか。カタラーナ地方(スペイン)のクレマ・カタラーナがその原型です。映画「アメリ」を通してポール・ボキューズ流が広まりました。

 ポール・ボギューズはフラットなお皿に浅く広げるスタイルを考案しました。このスタイルですと砂糖を万遍なく広げて万遍なくブリュレ(焦がし)を行き届かせることができるといいます。

 バニラビーンズたっぷり、クレームがカスタード並みにトロリと柔らかく、しかも砂糖はフランス産とあって、たしかにこれまで食べたのとは違うことがわかりました。

DSC00172


 2階のジャルダン・ポール・ボギューズでは、毎月2日間、定例ワインの集いが開催されているそうです。たった6000円でディナーのコースが食べられて、さらにソムリエがマリアージュした4種類のワインが飲み放題。金沢の客は酒が強くて予想以上にボトルが空く。ソムリエがビックリしているそうです。
 ワインの集いの詳細はこのサイトをご覧ください。
 http://www.hiramatsu.co.jp/wine/society.html#k

 次は2階へ行くことにして帰ってきました。

DSC00181

0 件のコメント:

コメントを投稿