2013-01-26

SALINA(金沢市) 真のナポリピッツア協会認定店272番

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 吹雪がますます強まる金沢市。それでも行ってみました。
 VERA PIZZA Napoletanaという標章が店の前に掛けてあります。
 これが真のナポリピッツア協会認定店の証明書です。

 SALINAの認定番号は272番です。
 2012年現在、日本には真のナポリピッツア協会認定店が47店舗あります。店にふられる番号は国内の認定取得順序ではなくて、世界共通のものです。日本でいちばん若い番号が92番の「さくらぐみ(兵庫県赤穂市)」、いちばん遅い番号が418番の「ダ・マサニエッロ(兵庫県宝塚市)」です。



 悪天候にもかかわらず、駐車場は空きなし。店内は女性客でほぼ満席でした。店のある金沢市窪が中心街から大きく離れていることを考えれば、かなりの人気店だと思えます。

 ひとりでふらりと来る客は逆に少ないのか、すぐカウンターに座れました。後で気づいたのですが、カウンター席は石窯にも調理場にも近くて、ピザが焼き上げるまでを見ていたら退屈しません。

 しかも、カウンターと向かい合って、店自慢のエスプレッソマシーンがでーんと構えています。向こうからわざわざ買ったとのこと。向こうとはいうまでもなくイタリアです。
 いまインターネットで調べましたら、エレクトラ社のベルエポックというマシンです。値段を知ってびっくりします。軽自動車が楽に買えます。
 豆も向こうのエスプレッソ用を使っているそうでして、これだけでいかに凝り性の店であるか、おのずと分かります。

 そういえば、新人ミステリー作家岡崎琢磨の「珈琲店タレーランの事件簿」でも、切間美星の店にはイタリア製エスプレッソマシンが導入されていました。自分をバリスタと思いたいからマシンを買ったと、切間美星が物語の冒頭で話しています。でも、切間美星のマシンは、イラストを見ますとSALINAほど高くなさそうです。

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 真のナポリピッツア教会のサイトには、ピッツァ・ナポレターナ(pizza napoletana)と呼べる条件が掲載されています。下の図にも要約とあるように、本規約にはもっと細かな基準が定められています。

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 私はブルチネラ(2200円)を注文しました。のっているのは、モッツアレラ、リコッタ、ミニトマト、ソーセージ、バジルです。

 ミニトマトが口の中でブチュッと潰れまして、出てくるのが焼けたトマト独特の酸味です。それがチーズと一体化したときのおいしさ。生地の香ばしさも手伝って、とてもおいしいピザでした。
 もうひとつ感心したのが塩加減。塩辛さの85%までは素材からにじみ出る塩分で賄われているようでした。ナポリスタイルというと塩をしっかり利かすとばかり思っていましたが、そうしなくても充分においしいとを知りました。
 悪天候をものともせずに行ってみた値打ちがありました。

 いま知りましたが、ブルチネラというのは道化師のことだそうです。真のナポリピッツア協会の認定証もブルチネラを使っています。

 ドリンクは、プラス200円になりますが、シチリア島の炭酸水というのにしました。BOLLEという商品名でした。


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 さて、本日のピザを、Pizza Napoletanaの条件と比べてみます。


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まず、「縁の部分(コルニチョーネcornicioneと呼ばれる)が大きく膨らんでいることが上げられる」と真のナポリピッツア協会が言っています。見ての通り、その条件を満たしています。

 認定店になるための審査基準は厳しくて、「コルニチョーネ(額縁)は1~2cmで均一にふくらみを帯びており、気泡や焼け焦げのないきつね色でなくてはならない」とされています。どうでしょう?気泡、焼け焦げともにあります。
 しかし、審査基準はどうあれ、私は、べつにあってもいいと思います。焦げたところもおいしいですし、焼け方に濃淡ついたほうがおいしいんじゃないでしょうか。

 次に焼き具合です。「表面は少し焦げるぐらい焼けてパリっとしているが、中はふんわり、もっちりとした食感が楽しめ、二つ折りや四つ折りが簡単にできるぐらい中央部分は柔らかい」と協会は言います。

 これは問題ありませんでした。ほんと苦もなく四つ折にできました。自分が急に器用になったかと思いました。

 「ナポリピッツァを語る上で特に重要なのが生地である。小麦粉で練ったシンプルな配合の生地は時間をかけて熟成、発酵させることで小麦粉の美味しさを最大限に引き出し、そのふくらみをつぶさないように手だけで優しく延ばしていく。これが焼いた時のパンに似た香りや消化にも良い優しい食感を醸し出すのである」というのも、本当にその通りでした。

 寝かせてあった生地を調理台の上に取り出し、潰したホールトマトを全体に展ばしてからモッツアレラを置き、ニンニクをスライサーで薄くしながら真ん中に落とし、指でつまんだハーブをはるか上方からふりかけ、最後にあれは塩でしょうか、ほんのひとつまみだけ真ん中あたりにパラパラ。そしてアラジンの魔法のランプみたいな細長い口金からオリーブオイル。内から外へと円周を描いて垂らします。

 調理台のピザを木製のパーラに移し替えるときにビヨ~ンと生地が長細く変形します。楕円状になってしまったのをパーラの上で円形に整えてから窯入れです。このプロセスを通して掌と指の他は使いません。

 窯のなかの時間は60~90秒と規定されていますが、そんなもんだったと思います。


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 高額エスプレッソマシーンのコーヒーを飲んでみました。
 いや、ほんとにちょっとしか入ってない。横についてきましたのはイタリアのキビ糖です。この量のエスプレッソにちょうどいいと思われる分だけひと袋に入っているそうです。
 エスプレッソは苦いけれど、まったくエグ味はありません。トロリとした舌触りです。カップの底に沈んだキビ糖は、グラニュー糖のような無理な甘さではなくて、オーガニックというのかナチュラルというのか、ええ感じでした。


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