京丹波町の「冬ほたる」が今年も始まりました。12月9日にスタートして、24日のクリスマスイブまで。
その2日目、皆既月食の12月10日に行ってきました。
駐車場から入場口までの道には、こんなミニイルミネーションが毎年飾られています。個人の作品です。
そして、Welcomeオブジェともいうべき光のステージが。
入場料は500円です。
切符の順番を待つ間に皆既月食を気にして空を見上げる妻お龍。
何時に輪っかが見えるんだろうね?って、そらおまえ、輪ができるのは日食やろ。
人気スポット、光のトンネルです。
若いカップルのみならず、たいがいの人が歩を止めて記念撮影。年賀状に使うんだという人もいます。このトンネル、直線ではないところがなんともいえずいいんでしょうね。
もし冬ほたるにお出かけになるんでしたら、女性は白いコート。これおススメです。お龍をごらんいただいてわかるとおり、実物以上にフォトジェニックになります。
振り返ってもきれい。誰かのそんな声が聞こえます。いや納得です。そこが冬ほたるの不思議な魅力でして、その理由は山道だから、坂道だからでしょう。
入場口から琴滝まで、その距離はわずか200mですが、山道につきものの屈曲と高低差。道に沿った小渓流との段差。そして、落葉樹の自由奔放な枝振り。この立体的で変化に満ちた地形をLED電球65万個でなぞれば、誰が意図したわけでもないのに最高のデザインが出来上がります。
さらには、LED電球の白と青の他は暗闇あるのみ。これもまた大切な要素だといえそうです。市街地ではこうはいきません。
そんな要素が複合されて、きれいという表現だけでは足りない何か、LEDがここまでやるかといった風情が生じます。どこにでもありそうでここにしかないものです。
下の写真、皆既月食を待つ月も、自分よりも注目される光に嫉妬。冬ほたるの上空から動こうとしませんでした。
これが琴滝のイルミネーションです。琴滝は高さ43mの一枚岩を滑り落ちてきます。一枚岩といいますが、むしろ崖というほうがふさわしいくらいに屹立した地形です。琴滝の名にちなんで、LED電球が琴の弦に見立てられています。琴の弦は滝のさらに上方、50mの高さから水面までぴんと張られています。
この人、カラオケしてるのではありません。湊敏(みなとさとし)さん。この冬ほたるの実行団体である「NPO法人丹波みらい研究会」の顧問です。
湊さん、琴滝の下に人が増えてきたなとみるやいなや、必ずマイクを持って来場者たちに向かって話し始めます。湊顧問の気分によっては、点灯式の再現というのも行われます。滝にかかるイルミネーションをいったん全部消して、来場者たちに「メリークリスマス」と声を出させます。全員の声が十分に大きければ再び滝のイルミネーションが点灯されます。来場者のノリがよくないうちは、何回でもやり直しです。
「NPO法人丹波みらい研究会」はどうやらユニークな人の集まりのようです。このホームページを見ていただければ、京丹波町大好き、楽しいこと大好きの気持ちが本当によく伝わってきます。このサイトには冬ほたるの動画も掲載されています。
高さ43m、ヌルヌルの岩壁で足場もない琴滝。そこにLEDを張り渡す作業は難儀をきわめそうですが、平成16年の琴滝景観修復ボランティア活動から学んだノウハウとスピリッツが基礎になっているのではないかと、私は思っています。みらい研究会のサイトから琴滝景観救済活動の様子を引用します。
そして忘れもしない10月21日近畿一円を襲った「台風23号」によって琴滝は壊滅的な大打撃を受ける。直後に滝を見に行ったが、とても人の手でいや私たちでは、修復出来ないという思いに駆られる。役所に相談するも、生活に直接関係するところ以外の復旧工事には手をつけられない状況である事を切実に訴えかけられ、ここでメンバー全員が「その意志」を新たに、立ち上がる。なるほど、冬ほたるを飾る65万個のLED電球ひとつずつにこんな愛郷心が宿っていたのかと、少し目頭が熱くなりました。
日曜日毎に「出役」当然誰からも認知はされていない。私たちだけの活動だ。重機を持っている人は重機を、ダンプを持っている人はダンプを、植木職人のメンバーは知恵を、みんなで力を出し合い、必死で復旧させる。
このときの「思い」「熱さ」が募りに募って「冬ほたる」誕生のバネになる。当初は、国道の植樹へのイルミネーションや、水辺公園での実施など様々な案があったが、やはり「琴滝だ。」と結論づけ取り組んだ。
昨夜、湊顧問や岩崎栄喜雄会長にお話を伺いました。固定メンバーは21人いるそうですが、それぞれに本業もあって、冬ほたるの準備作業ばかりに時間を費やしているわけにもいかないそうです。日によっては午前3人、午後から4人くらいの集まり方で終わる日もあるなか、光華女子大・女子高の手助けも借りたりしながら、LED取り付け作業を進めたのだといいます。
今年の初日には山田啓二京都府知事が冬ほたる会場にやってきました。「景観資産を活用した地域振興~琴滝 冬ほたるに携わる皆さんと」といった題目でメンバーとのミーティングが開催されました。京丹波町に知事が来るなんてまずないことだけに、町の人たちが「うおーっ」と驚き、そして喜んだそうです。
お龍も私も、身体が冷えておなかも空きました。プレハブ建てのレストランで焼き芋です。
今年で7年目を迎えた冬ほたる。遠くは仙台からも来る人がいるそうです。神戸・大阪・滋賀からも少なくありません。昨年は京都丹波道路の無料化効果で京都市内からの来場者数が増えたそうです。今年はロームのイルミネーションが中止になって、それは冬ほたるへの幸運材料ですが、そのいっぽうで京都丹波自動車道が有料に戻ってしまいました。
レストランのテーブルには募金箱。これからも冬ほたるが続くことを祈って300円入れてきました。
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