2011-12-02

サトーのボタモチ イチョウ三景

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 銀杏を拾うご婦人から、「サトーのボタモチがおいしい」と教わりました。


DSC01409 サトーといいますのは、株式会社さとう。ひとことでいえば、北近畿のイオン。売り上げ755億円、店舗数48軒、従業員数4824人という流通サービス企業です。創業が、なんと寛文6年(1666年)といいます。正しくは「さとう」なのですが、地元の人たちの間では「サトー」という言い方が通っているように思えます。


DSC01407 今日はサトーが安い日だ。あそこのボタモチはおいしいから、早く行かないと売り切れる。
 そう言いながら、銀杏拾いを切り上げて自転車でサトー野田川店へ急ごうとするご婦人。申し訳ないと思いつつ、ボタモチが売り切れないうちに車で先回りしてしまおうという魂胆の私。すんません!
 そんなやりとりを知るのは、風に散るイチョウの葉ばかりか。ここは、与謝野町幾地の中村神社。


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 これが、そのサトーのボタモチ。小豆と枝豆(ずんだ)があります。1個ずつのパックは100円。ずんだのおはぎを眺めつつ、宮城県大崎市のずんだ餅を思い出していました。


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 1個パックはまだ残っていましたが、3個パックや2個パックは売り切れ寸前でした。1個当たりわずか1円のことですが、1個パックで買うよりもお買い得だからです。銀杏拾いのご婦人が売れ残った3個パックになんとか間に合ってくれと願いつつ、私は1個パックを買いました。


 サトーのボタモチがおいしいというのは、なにもここ野田川だけの評判ではないようです。うちの会社に掃除に来てくれる谷やんによりますと、福知山のサトーでもすぐ売り切れるそうです。「サトーへ行くけど、売り切れんうちに買うといちゃろかあ?」と親戚の人が連絡してくるくらいだそうです。


 サトーのおはぎはあっさり派おはぎでした。ふたつでもみっつでも食べられそうです。でも、実際に食べたら、午後はずっと胸焼けしていました。



 その野田川へと、福知山市から車を走らせてきました。


 その途上、雲原に、「阪急電車のイチョウ」があります。毎年、いやでも目をひくイチョウ。




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 なんで「阪急電車のイチョウ」かといいますと、ほんまもんの阪急電車が近くにあるからです。イチョウも目立つが、電車も目立つ。
 両丹日日新聞によりますと、この阪急電車は、尼崎市武庫之荘在住の芳森澄男さん(75)のセカンドハウスだそうです。次のように書いてあります。
冬の寒さは厳しいが住み心地は抜群
 
車体は64年(昭和39年)に製造されたもので、全長20m、幅2・8m、高さ3・7m、重さは38tある。京都線や嵐山線で走り、震災の年まで現役として活躍した。
 購入費はレールと枕木がついて10万円と安かったが、福知山までの運搬・設置費が約300万円かかった。セカンドハウスとしての利用のため、車体内部は消毒したあと、生活できるように改装。床に板を敷き、その下には断熱材を入れて、1両をカーテンレールなどで3部屋に仕切った。座席は取りはずさないで、ソファ替わりにしている。つり革も一部はずしているものの、多くがそのまま。運転室は国道175号に面しており、見晴らしが良い。
 そうですかあ。



 与謝野町上山田の彌刀神社(みとじんじゃ)でも、銀杏を拾うご婦人に遭いました。


 「いまの若い人たちはこんなもんには見向きもせんけど」と言いながら、銀杏をつまみ上げ、指の腹で皮をぐちゅっとつぶしては、中味だけをレジ袋に詰めていきます。


 ご婦人が子供時代、銀杏は大切な食糧だったそうです。その頃から、食べられるとかどうとかよりも、銀杏を次から次へと拾っていくこと自体が楽しかったそうです。だから、食べるものには困らない現在もなお、あの頃と同じ気持ちで銀杏を拾っているのだそうです。


 「指がウンコくさくなりませんか?」と尋ねましたら、「そりゃ少しは臭いけど、もう季節がこれだけになると、前ほどではない」とのことでした。
 この神社にはムクロジの木もあって、ブランコのほうにたくさん実が落ちていると、そのご婦人から教わりました。


 ムクロジの実は羽根突きの玉になるそうです。自分たちはビー玉代わりにして遊んでいたと、そのご婦人は言っていました。


 これがムクロジの実です。皮に包まれています。皮をむこうとすると、ぬるっとした粘液質の汁が指に絡みつきます。別名石鹸の木ともいうそうでして、ムクロジの皮で手を洗うと石鹸のように泡が立つのだと、やはりこれもご婦人から教わりました。





 この太い幹がムクロジです。背後のイチョウと丈比べをするがごとく天へ向かっています。


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 神社や寺にはなぜイチョウが多いのか。インターネットを調べますと答えは幾重にも分かれています。ご婦人が銀杏を拾う姿を見ていますと、銀杏が飢饉の秋の救荒食になるからだという説に現実味を覚えました。



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