2010-11-25

丹後 宮津 カニ セコガニ(コッペガニ) 今中商店

セコガニ。今中商店で買って帰宅。ユズと比べてもらえば大型のセコガニだとわかる。
妻お龍手作りの大根の柚子煮もついでに撮影。
今中商店の店先

 宮津の今中商店でセコガニ(コッペガニ)を買った。
 ちょいと奮発。大きなやつを買って1パイ1200円。

 セコガニを、向かいのショッピングモールのミップルで買えば、1パイ398円。
 いや、今中商店の1パイ1200円が高すぎるという話ではない。1000円を超えるセコガニは別格だから、そうどこにでもおいてあるわけではないという話なのだ。


 セコガニ(コッペガニ)って何?という方がおられるかもしれない。ひとことでいえば、松葉蟹(ズワイガニ)のメスだ。

 メスは、オスよりもうんと小さい。身の量もうんと少ない。値段もうんと安い。
 しかしながら、「内子」、「外子」と呼ばれる卵がとても美味。だから、地元では人気が高い。


 内子は卵巣のことだ。甲羅の内にある。
 外子は卵。甲羅の外にある。
 内子を食べるときには自ずとカニミソがからまってくる。それゆえによりおいしさが増す。

 メスを安くて買いやすいカニと位置づけることもできるが、オスにどれだけ金をかけても内子や外子がない。魚類図鑑的には同じズワイカニだが、おいしさで分類すればまったく別の食材だと思う。


宮津公設市場。今中商店。

 金沢、富山、新潟、青森、秋田。雪国の街、いずれも魚がおいしい街を転勤で経験した私は、初冬の肌寒い曇り空の日には魚市場が恋しくなる。

 しかし、丹後には魚市場がない。意外なことだ。宮津市の公設市場がかろうじて魚市場と呼べるくらいだ。
 どんよりとした夕暮れにこの公設市場を通りかかると、そこだけがやたら活気に満ちているように見えて、立ち寄りたくなる。

 入ればすぐに、私の大好きな今中商店がある。



      活きガニ     

マツバ。3500円

 今年は、カニのオスが安い。今年はというよりも、11月6日の解禁から現在までの価格が安い。
 今中商店のイケメン大将によると、漁船が意図的に漁の回数を増やしていてカニがよく出回っているからだという。この冬は厳しい天候になりそうだということで、漁師たちが11月に漁獲を集中させているそうだ。


 イケメン大将の横から、じいちゃんが、さらに去年の苦労を話してくれた。

 去年の12月は海が荒れてばかりで、3回しかカニが入ってこなかった。需要がピークに達する年末にカニがまったくない事態だった。
 いっぽう、お客さんからすでに宅配の予約をもらってしまっている。店の信用にかけてもカニを出荷しなくてはならない。カニを探しまくった。15000円で仕入れた。予約時の値段である7000円で配送した。

 カニも赤いが、今中商店の収支も赤い。



金沢から送られてきたカニ

 妻お龍が喜ぶぞとばかりにセコガニとともに帰宅した。


 お龍にセコガニを見せた。
「あら、おとうさん、どうしましょ」というのがお龍の第一声。

 金沢の釣り友達から、ズワイのオスとメスが届いていた。
 
 そうとは知らなかった。

 オスの脚には金沢港で水揚げされた証のブルーのタグがピンと立っている。

 石川県では、メスをセコガニともコッペガニとも呼ばす、コウバコガニと呼ぶ。オスについては、平成18年から加能ガニと呼ぶことになったらしい。


 というわけで、
 加能ガニ1パイ
 コウバコガニ2ハイ
 セコガニ2ハイ。
 テーブルの上、見渡す限りカニばかり。
 あるまじきカニカニカーニバルではないか。

 これを二人で全部食べてええの~?


 冷蔵庫を探すと、丹波ワインの白が出てきた。福知山のホテルロイヤルヒルで何かのときにもらったワインだ。
 このワインの味が偶然にもカニとのマリアージュになってしまった。カニ→ワインの順序もうまい。ワイン→カニの順序もうまい。


 食べすぎて、飲みすぎて、すぐに寝たら気持ち悪くなった。
 意地でも吐くもんかとこらえて深夜まで。
 幸せの代償というやつか。
 いまようやく普通に戻ってこのネタを書いている。

 お龍は後頭部に大きなタンコブをこしらえていた。酔っ払って転んだそうだが、どこに頭をぶつけたのか覚えていないという。
 笑っていただきたいが、二人でワインのボトル半分も飲んでいない。めちゃ酒に弱い夫婦なのだ。


 さて、丹後のセコガニ vs 加賀のコウバコガニ。どちらがおいしかったか?

 人間のべっぴんさんは金沢にも宮津にも多い。カニは、ほんの小さな違いではあるが、丹後がうまかった。


 その違いはカニの違いではなさそうで、ひとえに茹で具合ではないかと思えた。


 おそらくだが、金沢から京都まで宅配前提のコウバコガニの場合はしっかり茹でてあるのだと思う。
 いっぽう、今中商店の店先のセコガニは、すぐに食べることを前提に、味を殺さない茹で方になっているのだと思う。身の甘さ、内子、外子の独特の匂い、これが生きていた。

 
宅配 vs 店頭販売ということで、加賀から来たコウバコガニは輸送距離が長い。そもそも条件の違いすぎる比較だった。

今中商店の工夫。氷のかわりにペットボトルの水を凍らせてある。
カニと一緒に包んでくれた。
これが氷だと、持ち帰る間に溶けて水になる。


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