大津で桜がきれいというたら、どこやろな?
そら疎水やろ。三井寺もあるし。
大津市に勤める友達からそういう返答を得ました。
大津市民が長等(ながら)と呼ぶこのあたり。
疎水がトンネル内へと姿を消します。疎水のトンネルから山肌沿いに目を上へと移してゆけば、中腹あたりに三井寺が見えます。
疎水には何本もの小さな橋がかかっています。どの橋からも、疎水両岸に並ぶ桜と山の中腹に霞む三井寺の桜を、ひとつの視界に収めることができます。
チンチンチンチン。遮断機が下りて、京阪電車が行きます。
三井寺の駐車場から疎水沿いに歩きました。
疎水沿いの桜並木は、四分か五分か、まだ満開には日数を要します。この程度の咲き方ですと凝縮感不足を否めません。
私の前を老夫婦が歩いていました。
「咲き方がまだこんなもんだって。まったく。損したね、500円。返してもらいたいよ」
奥さんが話しています。500円というのは駐車場代のことでしょう。言葉遣いや会話の中味から察するに県外からだと思われました。
旦那さんも不機嫌です。
「いま、見たか。坊主が車を運転しているのを見たか。よくないな。お釈迦様はそんなことをおっしゃってないよ。坊主が車を運転してもいいとはおっしゃってないよ」
えらく現実離れした怒り方をしています。
そりゃ御釈迦さんはおっしゃってないでしょう。だって、車なんてない時代の人ですから。でも、現代人の私は思います。坊主が車を運転してくれなければ、月命日のたびにタクシー代がかかって、えらい高くつく。
坂本へ向かう京阪電車が、疎水をまたぐ短い鉄橋を渡ります。京阪三井寺の駅を出たばかりです。この鉄橋で視野がぱっと開け、車窓が三井寺方向の桜をとらえるはずです。あっという間に過ぎ去る景色だけにサプライズみたいなもんです。
三井寺から浜大津の間は、京阪電車が路面を走る区間です。
下の写真を見てください。このへんのお宅はたいへんそうです。玄関出たら電車がゴーッと来てワーッとか、そういうこともあるんでしょうね。
長等小学校の運動場です。
校歌が「春は校舎の窓近く輝き匂う山桜」から始まります。ちょうどいまの季節を描いた歌詞です。学び舎として、羨望すべきロケーションを有しています。
その勉学環境を反映してか、優秀な卒業生を輩出しています。私の高校の同級生にも長等小学校の卒業生がいますが、彼女のようにあまり優秀でないのも輩出されてしまいます。輩出というよりは排出ですか。
「100から7ずつ数を引いていってください、できるかかぎり正しく速く」という知能テストがあります。脳梗塞や脳出血の患者さんの脳細胞障害程度を確認するためのテストです。高校のときの仲間が集まったときにみんなでやってみました。
長等小卒のその彼女は、100やろ、93やろ・・・えーっと、あれえ、次は93引く7やんか。いくつ、いくつ。ねえ、いくつやった?わあ、でけへん、わからへん。どうしよう。
とはいえ、そこに集まっていた仲間のなかで、79までいった奴がいちばんよくできたくらいで、実はみんな五十歩百歩でした。脳細胞にダメージのある奴はいませんでしたが、それでもそんなもんでした。
長等小学校の全校生徒は700人くらいだと聞きました。今春、105人が卒業したそうです。
建物や敷地が大きいわりには児童が少ない印象です。おそらく、私の世代が通っていた頃は、1学年が9学級も10学級もあるようなマンモス小学校だったのでしょう。
いまは学区内の世帯数が減ったのか高齢化が進んだのか、1学年3クラスか4クラスです。それでも現在の小学校としては大きいほうだと思います。
写真の4人組、お孫さんは標準語でした。おじいちゃん、おばあちゃんは近江弁でした。
そうか、春休みだから、遠くの孫が遊びに来たんだな。うらやましい。
おばあちゃんとママが眺める桜は、4月1日でだいたい四分咲きでした。
2日から3日にかけて冷たい雨が降るという予報ですが、桜を散らしてしまうほどの悪天候ではないそうです。
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