2011-09-24

番外編:水口囃子

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 今回、聖太郎は、大おばあちゃんと薬ばあの二人から、水口囃子を教えてもらいました。


 水口囃子というのは、私の郷里の伝統芸能のひとつ。4月20日の水口祭りにおいて、曳山の上で演奏されます。


 聖太郎の場合、水口囃子というよりも、食器をたたいて遊ぶことを教えてもらったみたいなもんですが。


【どんどひぶ】


 水口の人間に、「水口囃子を歌ってみて」と声をかけたとします。
 まあ、100人中100人が、「どんど ひぶ ひぶ ひぶ ひゃら どんどん」と歌うはずです。祇園まつりの「コンコンチキチン」みたいなもんですね。
 その実際の旋律がこれです。わずか11秒です。


水口祭り どんどひぶ



 曳山の方向転換のときに演奏される曲目が「大廻」あるいは「返し」なのですが、その冒頭にくるフレーズ、いわばツカミの部分です。その聞こえ方を擬音化したのが、「どんど ひぶ ひぶ ひぶ ひゃら どんどん」です。親から子へ、子から孫へと受け継がれてきました。

曳山の写真は「へなちょこ写真ブログ」がわかりやすい。下の写真をクリックしていただいたらリンクします                             

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 滋賀県の祭り囃子の多くが祇園囃子同様に優雅であるのに反して、水口囃子は調子のよさを重視した曲調です。町民はさらに調子いいんですけどね。
 江戸の神田囃子などに近いともいわれます。城下町であり宿場町であっただけに、参勤交代や旅行者を介して江戸文化がもちこまれやすかったのではないかと推測されています。


 私の子供時代には、「水口囃子」という正式な呼び方をしていませんでした。たいてい「どんどひぶ」と言ってました。
 「お祭りに行ってくるわ」と言わないで、「どんどひぶ行ってくるわ」と言っていたような記憶があります。
 いまは、うちの母までが、「水口囃子」と口にします。「どんどひぶ」という言い方をしますと、なんというのか、わざとらしく響く。わざとらしさが、いまの時代の暮らしと祭りの距離感そのものです。




【お葬式にも水口囃子 鵜飼マーちゃん】


 私の母の同級生で、鵜飼正弥さん。もうあの世の人です。同級生の間では鵜飼マーちゃんと呼ばれていました。
 水口囃子をしっかり伝承していこうと設立された「八妙会(やたえかい)」の名誉会員にも奉られている存在で、水口囃子を愛してやまない人でした。

 私の子供の頃、うちにもよく来ておられました。昭和30年代のことです。私の両親相手に水口囃子の話題ばっかり。当時からすでに、水口囃子を引き継ぐ若手育成に真剣でした。

 鵜飼マーちゃんの問題意識は決して杞憂ではありませんでした。現在の甲賀市全体の高齢化率が21.7%。そこに属する水口も大差ないでしょう。昔なら町内に任せておけた水口囃子の伝承を、いまは保存会など社会活動として行う必要性があります。


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左は、水口祭りの曳山。中村学さんの切り絵。画像クリックで作品集ページに移動。
水口囃子に関連するサイトは、
八妙会(水口囃子の演奏集団)
石王のHP(水口神社の神主さん)
滋賀文化のススメ(滋賀県作成のページ)
滋賀ガイド(滋賀県の観光情報)






 うちの母によりますと、鵜飼マーちゃんの出棺のBGMに、「どんどひぶ」が用いられたそうです。BGMつきの出棺だけでもみんなビックリするのに、さらには水口囃子ですから、さすが鵜飼マーちゃんです。


 演奏そのものはテープを流したそうですが、お囃子の楽器を手にした人たちが、お棺の後を追いかけながら「チンチキチンチ チンチキチンチ」。ほんまかいな?


 私は、この話を聞いて、定年退職後のビジネスを思いつきました。
 郷里に戻って、葬式用おいたちビデオ作成。高齢化率20%超!
 結婚式においたちビデオというのがありますが、葬式にはありません。水口囃子がOKなら、おいたちビデオはもっとOKやと思いませんか?
 まずは、自分の両親の葬式でデモンストレーションしてみて、これがウケたら注文殺到ではないかと、ひそかに企んでいます。


 

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