青山、AOKI、はるやま、コナカ。
たいていの町に紳士服量販店があります。
これらの企業は全国チェーンですが、ポプラはこの狭い地域だけの展開。本社が京都府南丹市園部町にあり、店は亀岡、園部、福知山、氷上の4店舗のみです。
(ポプラのURLはこちら http://www.poplar-net.com/index.html)
そのポプラで、オーダーシャツ4990円のディスプレイを見つけたときには、その安さが信じられませんでした。店の人を呼んで、これは生地だけの値段なのかそれとも仕立てまでを含めての値段なのかを確かめました。仕立て上がりまでを含めての価格。店の人はそう言いました。
それでもなお納得しかねている私に、本社企画部から現場を助けに来ているというTさんが近づいてきました。そして、なぜこんなに安いのかを説明してくれました。
実は縫製工場の仕事を減らさないためなんです。ここにある生地は一流の生地でして、百貨店ならダンヒルとかクレージュとかバーバリーとかの名前で出る生地なんですよ。縫製も一流の工場がやります。百貨店なら15000円から20000円のお仕立券付きワイシャツになる商品です。百貨店はそういう高い値段ですから、オーダーシャツが低調なんですよ。その煽りを受けて縫製工場の仕事が減っています。頼りにしてきた縫製工場が閉鎖するとポプラのほうも困ります。縫製工場に仕事を回さなくてはならないと考えまして、仕立ての注文を数多くいただくために、破格の値段でオーダーシャツを始めました。
うちの生地を見てもらえば、とTさん。
ご覧のとおり、化粧箱には入ってないんですよ。筒状に丸めただけで展示しています。どうして箱に入れないのかとおっしゃるお客様もおられますが、この状態で売るからノーブランドの生地としてお安く提供できるのです。ブランドがついたらこの値段ではできません。
オーダーシャツが4990円。既製のシャツですと、「お、いいな」と思えば4000円や5000円では買えないことがいくらでもあります。安いほうを見渡しても、3980円くらいが質感の分かれ目になっています。それを考えるとき、4990円という価格設定の頃合い加減が、なんともはや心をくすぐります。
もちろん、オーダーしました。Go!。
生地を决め、ボタンや糸を決めていく |
仕様書に襟や袖のデザインが書きこまれていく |
採寸が始まる |
私の袖丈は78cmだった |
Tさんによりますと、サラリーマンをリタイアした人からカジュアルシャツの注文がよく入るそうです。自分にちょうどいいと思えるカジュアルシャツが売っていないとか、若い頃からスタンド・カラーのシャツが好きだとか、そうした需要を引き受けられるのもオーダーシャツのいいところだとTさんは言います。
シャツを作るというのが、お客様方は楽しいんじゃないでしょうか。平均で、1回に4着か5着ですね、ご注文いただくときは。
Tさんのウンチクを聞くのもオーダーシャツを注文する楽しさの一つです。肩幅に合ったシャツ選びをもっと大切にしてくださいとTさんは言いました。肩幅をきちんと合わせるだけでいろいろな点で着心地が改善されるというのです。たとえばズボンに入れておいたシャツの脇腹部分がいつのまにやらだらしなく出てくることがありますが、これは肩幅の広すぎるシャツに起きる弊害だそうです。肩の落ちたシャツで腕を上げると、構造的に脇腹部の生地が引き上げられてしまうからだそうです。
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