福知山味趣覧会 Guide No.2で第一番に紹介されている店、それがランチハウスリリィです。
目ざとい岩がきひろみさんが早速出かけました。岩がきひろみさん曰く、二日連続でも行きたいくらいにアット・ホームで居心地のいい場所。親子2代のご夫婦4人でやっておられる。どのご家族も笑顔が温かい。うどんのメニューが豊富でおいしい。
温かさがなによりもの魅力だと告げられて、この店に私も行ってみました。
ガイドブックを持参すれば粗品がもらえるという貼り紙。マカロンをもらった。店の自主的なサービスかと思ったが、よく見れば味趣覧会からのもちかけではないか。味趣覧会はこのようなサービスを掲載店に提案すべきではない。ガイドブックの売り上げアップを目指すのなら掲載店でも本を販売してもらう程度に留めおくべきだ。
味趣覧ガイドでは、ランチハウスリリィはうどん屋から始まったと記述されています。けれども、実は、ドーナッツ店→うどん屋→ランチハウスの順に発展してきました。リリィのその変遷に終始一貫して深くかかわってこられたのがこのお母さんです。
店は加藤さんご一家が運営されている。店とともに歩んでこられたお母さんを加藤リリィさんと呼ばせていただいてもいいだろうか。下の写真はリリィさんのご主人。ずっと勤め仕事をなさっていたので飲食業経験は皆無。いまはカウンターの中に立って、柔和な表情で終始ほほえんでおられる。「愛想悪いでしょ」とリリィさんはおっしゃるが、決してそのようなことはない。
福知山駅からさほど遠くない北栄町。いまも古い町並みが残るあたり。そこにお母さんのドーナッツ店がありました。1977年の開業。店名はやはり「リリィ」でした。1個50円のドーナッツが1日に1000個、2000個と売れたそうです。買ったドーナッツは店内でも食べることができました。ドーナッツに合ったジュース、スパゲティーのような軽食も提供していました。マクドナルドもミスタードーナッツも福知山にはなかった時代です。多くの人が重宝したに違いありません。
けれども、車社会にあわせた郊外型大型店舗の進出に呼応して福知山の人の流れは変わりました。福知山駅界隈に集まっていた客層が郊外へと流出する変化を誰も食い止めることはできませんでした。幽霊ビルと化したまま駅前の広い土地を占拠し続ける福知山ファミリーがその歴史を如実に物語っています。人の動きの変化を受けてドーナッツ店リリィも店を畳むに至ります。
ジャスコ福知山店。1998年11月27日開店。今年3月にはイオン名称に変わる。
その後のリリィは、昭和新町に店舗を移してうどん店への転身を果たしました。
こんな住宅街にどうして飲食店が?と珍しげに語られがちですが、開店当時の店から見渡す景色は田んぼばかりでした。リリィの後を追うように住宅街が成長を続け、時の流れとともに息子さんが成長されました。
息子さんはやがて結婚され、お母さんと一緒に店をやるようになりました。息子さんご夫婦がうどんのメニューにさらなる工夫を加え、洋食メニューも始め、いまのランチハウスリリィへとつながります。
壁の生け花には古いクリール(西洋式魚籠)を流用。これを見れば、ご家族のどなたかが渓流釣り愛好家だとわかる。聞けば息子さんだった。京都の河川はいらない工事をやりすぎていい渓流がなくなりますよねと、私と意見が一致。
こうしてお母さんのお話を伺っていくと、リリィのご家族4人にとって店は自分たちであり家庭です。商売ではありますが、我が家でお客さんをもてなすのと似た気持ちが自然と生まれてくるのではないかと思うに至ります。お客さんに喜んでもらおうという動機や意欲を、そしてお客さんへの感謝を、家族全員が温度差なく共有できるはずだと思うのです。
お母さんにいろいろお話を伺った後、キッチンから息子さんご夫婦も出てこられました。私がランチハウスリリィに興味をもったことを、みなさん全員が同じように喜んでおられました。我がことのように喜ぶとよくいいますが、ここではまさに我がことです。そんなランチハウスリリィにあるのは、homemadeの笑顔、homemadeのもてなしです。このような解釈でいいのだろうかと半分迷いながらも、岩がきひろみさんをとりこにした魅力の正体に少しは近づけた気がします。
homemadeとはランチハウスリリィのためにあるような一語。よかった。うまいことまとまりました。
電話0773-22-7603 福知山市昭和新町153-4 8時から20時 定休日 日曜日・祝日
【道順】 地図ではかえってわかりづらいと思います。けやき通りのジブラルタル生命と紫雲閣が目印です。ここをジブラルタル生命側に曲がります。曲がってからひとつめの交差点を左折。その右側を見ると店があります。
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