縄屋で修業中のコックさん。コックさんの帽子はお箸を束ねてあった紙。子供たちがこしらえた。吉岡師匠の技を盗むそうである。 |
縄屋でカニを食べてきた。
「縄屋」でインターネット検索を試みると、「緊縛専門」などSM関連のサイトがヒットしてくる。向学のためにそれを見てみるのも一興だが、正真正銘「縄屋」のブログはこちらだ。http://nawaya.jugem.jp/?pid=1 吉岡夫妻が発信している。もちろん、夫婦で縛りあっている写真なんか掲載されていない。更新の中心は奥さん。だんなのほうはあまりやらないそうだ。
師走を迎えてカニの相場が上がっている。先日、西舞鶴の「銭形」でカニを予約しようとしたら、値段については前もって言えないとの返答だった。宴席までたった1週間なのに、1週後のカニの値段ですら予測がつかない。しかし、カニを食べたいのなら1週間前に言ってくれともいう。予算もあることだし、あきらめた。
いやでもカニの需要が跳ね上がる師走、漁師たちは意図的にカニ漁の回数を抑えてカニ不足を作り出す。海が穏やかな日でも漁に出ない。カニ相場が上がる裏にはそのような実情もある。
丹後のカニ相場は変動するが、縄屋のカニコースは値段固定だ。予約時に、1パイ36000円のカニにするか24000円のカニにするかを決める。そして、カニ以外の料理を5000円のコースにするか3000円のコースにするかも決める。
まずは鰤のこなれ寿司が出た。鰤と赤カブが互い違いに積み重なって盛られている。薄いベージュ色に見えるのは土佐酢とご飯を練り合わせて粘りを出したもの。やっぱり龍馬人気で土佐酢なのかと尋ねたら、カツオダシをきかせた酢だから土佐酢を使うのだという。土佐酢は宮津市の飯尾醸造製。
続いて、丸大根とイノシシとチンゲン菜の酒粕汁。臭みを消すためにイノシシは炭火で焼いてある。酒粕の汁は甘みがある。
これは4歳のおチビちゃん用にお子様ランチ。デミグラスソースがおいしい。おチビちゃんの食べ残したオムライスを大人たちが「うまい、うまい」と食べていた。
ヨネズ(アコウ)とイカの刺身。
カニの登場だ。青いタグは兵庫県の津居山港で水揚げ。
間人と隣り合わせの弥栄にもかかわらず間人産でないのは、おそらくカニ高騰のあおりだろう。おいしさよりもブランドで価格が上がる間人産を仕入れていては採算がとりにくかったのだろうと思う。
まだ生きているカニを目の前のまな板に載せて、吉岡さんが手際よくさばいていく。ハサミや足の硬い皮に包丁が入るときには、見ているだけで切れ味が伝わってくる。
吉岡さんは眼鏡を変えた。以前の眼鏡はジョンレノンみたいな丸型で、お寺を継ぎますが教員免許持ってますみたいなマジメな印象がウリだった。いまの眼鏡はぐっとサイズが大きくなって、太枠で茶色のフレーム。料理はスポーツだみたいなアクティブな印象がウリだ。(と、勝手におさちゅんが語ってます)
まずは焼きガニから。カウンター奥の炭火でカニを焼く。
炭火を正しい色で写すにはどうすればいいのか、いつもわからない。紫色になってしまう。
足が焼きあがって、渋い色調の皿に盛り付けられた。カニの赤さと皿の緑が対照的で美しい。
同じ焼きガニでもカニミソに近い甲羅の身は足よりも味が濃い。
ここでいったんカニを離れて、コース料理の一品。バイ貝と自家製野菜のゴマ酢かけ。縄屋の野菜は自給自足だ。
上のつなぎ料理を食べている間にこれが出来上がる。甲羅のなかでカニミソと酒を混ぜ合わせて炭火でグツグツと煮たもの。
ここでまたコース料理の一品がつなぎで入る。これは青味大根とからすみ。
そして、カニのカブラあんかけ。旅館や民宿のカニフルコースも豪華だが、こういう食べ方はやはり料理人のカニだ。
最後はコッペガニのご飯。身も内子も混ぜ混ぜにして食べる。実においしい。おかわりできるくらいの量を炊いてくれる。
デザートは、牛乳に飯尾醸造のリンゴ酢を混ぜたシャーベット。上にリンゴのシロップ煮をのせている。
いつもは右のプリマテッラを飲むが、リースリングワインが人気ということもあって左のアルザス産ヒューゲルのリースリングを飲んでみた。海鮮料理によく合うといわれるのは本当だとわかった。
ワインクーラーは、吉岡さんが寺町通りをぶらぶらしていて二条あたりの骨董屋で見つけたというアンティークの銅器。氷水を入れてワインを冷やすと見かけもよし、はたらきもよし。
濃厚なミカン100%ジュース。おいしい。宮津市由良産のミカンを使って地元の障害者が生産し、「社会福祉法人」を通じて販売されている。問い合わせは0772-43-0380。
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