音ステージのカラオケフロアー。ソファーがめちゃゆったり。
年配のみなさんのなかにはコーラスやカラオケのグループ活動を趣味とされている方も少なくないんですね。
うちの母親はお寺のご詠歌隊に入ってます。
糸引き姉さんは70歳そこそこで、まだ若いから、近所のお友達と一緒に演歌を習っているそうです。歌もゴルフと同じで、レッスンを受けただけでは上達しない。普段はカラオケスタジオに通って、習ったポイントを身体に覚えこませるそうです。
というわけで、糸引き姉さんのグループは近所のカラオケステージをホームグラウンドにしています。けれども、ここがけっこう金食い虫です。毎回必ずコーヒー代400円とカラオケチケット(5枚組で900円)を買わないといけない仕組みだそうです。いやでも1300円がかかります。
「それならば音ステージを見に行きませんか?
コーヒー300円で、歌は1曲毎に100円ですよ。
店から30分以内の場所なら、場所が福知山でも送迎してくれると言ってるし、糸引き姉さんのグループならぎりぎり30分以内やないですか。
それよりもなによりも、昔の立派なお屋敷の中を見ていただきたい」
で、「音ステージ」へとやってきました。
実は、糸引き姉さんのお友達は、福知山でも送迎可能という店の言葉を信じなかったといいます。それで早速、店の意向を再確認。
「ぶっちゃけ、何人集めたら送迎してくれるの?」
「いや、それは、再々来ていただけるのなら、何人集めろなんてことは言いませんから」
かといって、たったひとり、コーヒー1杯で送迎しろとは言いにくい。糸引き姉さんは、まあ一人当たり1000円~2000円くらいを使うのなら2~3人でもお願いできるかなと解釈したようです。
ここのカラオケはDAMです。だいたいの人が精密採点で歌います(DAM精密採点のリンク)。
精密採点で歌うときの画面。画面上部のピアノロールに注目。
精密採点というのは、私も初めて知ったのですが、1曲に含まれるすべての音符の音程、長短について、正しく歌えているかどうかをひとつひとつ細かく採点するシステムです。正しい音程やリズムとの狂い具合は、ピアノロール形式で画面にリアルタイム表示されます。さらには、ビブラートやこぶしなどの表現力も採点対象になります。
糸引き姉さんと私が名づけたのは「糸引くような口づけしましょう」という歌がとても上手だから。しかし、この日、姉さんは「糸引くような」を歌いませんでした。
姉さんは、美空ひばりの「佐渡情話」と真木ことみ(誰やねん?)の「酒の船」にトライ。「酒の船」ではなんと精密採点で89点を叩き出しました。「酒の船」は来月の課題曲です。まだ習ってもいないうちから89点。姉さんの孫なんて、習った範囲のテストで89点をとるのに四苦八苦しています。
その89点を見て、カウンターで酒を飲んでいた男性が驚きました。この日、音ステージでこんな点数をたたき出した歌い手はいない。
「おかあさん、どこで歌を習ってるんですか?」
その男性は、糸引き姉さんに寄ってきて自己紹介。住んでいるところをきちんと説明し、「またぜひ来てください。私はおかあさんに挑戦したい」とまで宣言しました。そして二人は固い握手。
「あの人の手、とても熱かった」
姉さんはそう言いました。
見ず知らずの男に手を握られたなんていったい何十年ぶりか。うちのじいちゃん、本日はデイケアー。
意気揚々の糸引き姉さんでした。
ビビアンと糸引き姉さん。ゆったりソファーでニッコリ。
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