2010-12-17

わきもと 福知山 そば コースを食べてみた

 【わきもと蕎麦コース(3000円)】
まずは先付け
  「ブログ読んでますよ」と、同業者から声をかけられることが増えてきた。なにせ顔写真丸出しでやってるブログだからすぐわかる。

新蕎麦の食べ比べ
 「ブログ見てわきもと行ってみました」という人もいた。こういうことがあると張り切ってしまう。
 身近な人におもしろいブログネタを心がけていれば、それは見知らぬ人にもおもしろいブログネタであるにちがいない。

天ぷら。衣も具もうま
 そのかわり、京都府北部は世間が狭いから、店に対して批判的なことを口走るときにはヒヤヒヤもんだ。その店が誰かのお気に入りかもしれないし、私のお客さん関係の人が経営しているかもしれない。わきもとも実はお客さんにつながりのある一軒だ。でも、わきもとの場合は、ほんとにおいしいのだから、営業活動の一環として褒める必要がない。

 ということで、そばコースだ。
肉のたたき。大将の多才を証明
 大将に無理を聞いてもらって、昼の時間帯に夜のコースをやってもらった。夜のコースを食べながらほんとにうまそうに酒を飲んでいるグループを見かけた。私は酒が弱いだけに、酒を楽しむ人たちがうらやましく思えてならない。ああ、せめて、コースだけでも。そんな気持ちでわきもとの夜のコースを昼に食するに至った。

床の間のいけ花

 大将は熱心な蕎麦職人であると同時に、料理のマルチプレーヤーだ。蕎麦以外の品も混じるコースを食べて、大将はなんでもできそうだと思った。
 「ひょっとして床の間の花も自分でいけてるんじゃないの?」
 「いえいえ、あれはうちのよめさんです」
かわり蕎麦。カニが入っていた。
 床の間の花はいつもセンスがいい。
 「掛け軸は私が選びます」
 夫婦のコラボレーションではないか。


これが蕎麦粥
 茨城県の新蕎麦が間に合ってよかったと大将。入荷が後れに遅れて12月のうちには入ってこないかもしれないくらいの気持ちでいたそうだ。
 茨城の新蕎麦。常陸太田産。久慈川の流れが心に浮かんだ。茨城の蕎麦は日本一の蕎麦といわれているらしい。茨城県は農作物に恵まれたところで、米も野菜も果物も、なんでもOKだ。蕎麦までそうだったのか・・・

三重県産蕎麦粉で蕎麦がき。ぜんざい風
 コースの楽しみのひとつが蕎麦の食べ比べ。この日は茨城、蒜山、夜久野。新蕎麦の食べ比べとなった。
 私の場合は、蒜山のやさしい味がやっぱり好きだ。世間一般には茨城が日本一なのかもしれないが、蒜山のほうがおいしいと思った。そして、夜久野。どんな相手にも自己主張が強い。わりと負けない。
中庭(ビビアン撮影

 蕎麦粥。
 「蕎麦のいちばん原始的な食べ方です」と大将が言う。実をそのまま食べる。
自動点灯、自動開閉のトイレ(ビビアン撮影)
 そのかわりに手間がかかる。一晩水に漬けておいて、一回洗って乾かして、二番出汁でなんとかかんとか・・・ごめん、大将、聞いた話をきれいに忘れた。とにかく、この蕎麦粥だけでもコースを食べる値打ちがある。おさちゅんブログにうそはない。 


手洗い場だけでもこの感性(ビビアン撮影)
 この日は夜のコースを昼に出したから、本来よりも量を多くしてあったそうだ。夜、酒と一緒に食べる場合は、だしまきはもっと薄く切るし、蕎麦の量を減らすしと大将が言っていた。考えようによっては、酒を飲まない私のほうが同じ値段でたくさん食べられて、酒飲みよりも得してることになる。

 「勝負を賭けてます」。
  なにかの会話の拍子に大将がそう語った。この蕎麦屋業に人生の勝負を賭けるというのだ。サラリーマンをやめて蕎麦屋に転身した経緯をビビアンが尋ねていたときのことだったと思う。大将の小さな身体から大きな言葉が飛び出した。一寸法師ではないが、小さな身体に大きな望み。その気合で打つ蕎麦のまずかろうはずがない。

 「年越し蕎麦もやってますから」
 お、出たぞ、大将の営業。また来たくなる理由をぼそっと話しておくテクニック。見習おうとしてもなかなか真似できない。
 大晦日は昼間から年越し蕎麦をやっているそうだ。年越し蕎麦にかぎってはかけ汁つきで持ち帰りもできるのだという。家族で召し上がってくださいという趣旨らしい。
 人生の勝負がかかった蕎麦で年を越せば、食べた人にもいいことがあるかもしれない。

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