ここは「鳥な子(とりなご)」。 鴨鍋を食べている。店のホームページはここをクリック
所長が鳥な子に行きたいと言い出して、北チーム4人にビビアンを加えた5人でやって来た。5人とも鳥な子は初体験だ。レトロな店が軒を並べる御霊神社界隈。冬の夜の電灯がレトロの雰囲気をさらに演出する。
「だから、一度来てみたかった。いやあ、いい店だなあ」
この店を有名にしているのは鴨鍋。具材がカモ肉、白ネギ、そしてつくねだけというきわめてシンプルな鴨鍋。その素朴な鴨鍋が多くの客の舌と心をとりこにしてきた。カモとネギの相性がどれほど素晴らしいものか、鳥な子の鴨鍋を食べればすぐわかる。もし本当にカモがネギを背負って来たとすればこんなにおいしいことになるのかと、鍋を食べつつ学ぶことになる。
鴨鍋といってしまったが、実質はカモとネギのしゃぶしゃぶだ。
「まず、はじめにつくねを鍋に入れてください。いい出汁が出ますから。それから鴨肉なんですけど、生で食べていただいてもいいくらいですので、もう、ほんとうに、さっと、そうですねえ、10秒とか15秒とか、すぐに上げてもらっていいですよ。ネギは、ほんとうに5秒くらいで」
そう言いながら店の人が鴨の大皿とネギの大皿をテーブルに置いていった。真ん中では出汁の鍋の底から気泡が上がり、具材を待っている。
誰かが山盛りのネギを一本つまんで口に運んだ。そして、笑顔。「うまい」と声を上げた。みんな真似をする。ネギを一本つまんでは口に運ぶ。
「うまい」
「おいしい」
ネギは、福知山の隣町である兵庫県朝来市産の岩津ネギ。日本三大ネギのひとつだという。下仁田ネギ(群馬県)、岩津ネギ(兵庫県)、博多万能ネギ(福岡県)。他のネギを挙げる説もあるようだが、地元感情としては岩津ネギの顔を立てたい。
岩津ネギは下仁田ネギ同様に太さのあるネギだ。それゆえに、縦に長いスライスが可能になる。表面積が稼げるこのスライス法でなければ、ネギの食感も含めて、鳥な子の味は出ないはずだ。
「こんなにいっぱいネギを食べたことはありません」
「だって、ネギがおいしいんだもん」
「まだまだ食べられそう」
「ネギを追加しますか。5人前でいきましょか」
昨日、私は、孫の聖太郎と、千葉県谷津干潟のカモを観察していた。同じ自分が今夜はカモを食べる。
「なんかわるいことしてるみたいや」
「いやいや、カモは見てよし、食べてよしですよ」
ネギは冬にうまくなる。冬にはカモがシベリアから渡ってくる。この季節、カモには脂がのっている。 カモがネギを背負ってというのにはこういう意味もあるのかな。
しかし、鳥な子のカモは天然カモではない。合鴨だ。合鴨でごまかしているのではなくて、天然のカモでは脂がありすぎてかえって食べにくいのだという。うまくできたものだ。合鴨のほうが食材として向いている上に、鴨鍋の値段も2500円そこそこと安上がり。幸せのコスト、福知山ではこんなにも安い。
鳥な子は、鴨鍋にかぎらず、いろいろな鳥料理をおいしく食べられる店だ。だから、人気がある。鶏の炙り焼き刺身には九州の甘い醤油を使うなど、店の探究心に感心させられる。鴨鍋も、いろいろな野菜と鴨の相性を探る歴史を経ていまのシンプルさに行き着いたそうだ。
ことここにおよんでイカを注文した奴もいる |
唐揚げ。デカい。これは衣がしょっぱすぎた。キッチンの誰かが失敗したのだろう |
やきとり盛り合わせ |
軟骨からあげ。これは美味。 |
とぼし(鳥干)。見た目はさきイカだが鶏肉。美味かつ珍味。 |
鶏の炙り焼き刺身。九州の甘い醤油とおろしニンニクがついてくる。これも凄ウマ。 |
ラーメンで〆 |
昨夜は、残念なことに、自家製の手打ち蕎麦がすでに品切れになっていた。鴨鍋を食べ終えたスープにこの蕎麦を入れて〆にするのは次回への宿題となった。今回はラーメンを入れた。
「うわ、ラーメンおいしい」
「次はおうどんもいきません?」
「食べられるかな・・・腹いっぱいだけど」
「ネギも一緒に頼んだらまた食べられますよ」
「そうか。じゃ、うどんひと玉と、ネギを追加で1人前」
うどんのほうがラーメンよりもさらにうまい。これがみんなに共通の感想だった。
今宵、ビビアンがワインをハーフボトルに留めおくなど節制したので、酒の注文はさほどでなかった。支払合計は29000円。ひとり6000円弱のうち2300円は鴨鍋の代金だ。鴨鍋の値段は2625円だが、事前予約客には割引が適用されて安くなる。
すくいとったアク |
12月も残すところ実働7日。我ら北チームは、会社の要請する売り上げ目標にほど遠い。
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鴨鍋を家庭で食べるためのセットもある
焼酎もいろいろある |
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