気にかかりながらもなかなか行く機会に恵まれない店というのがあります。
舞鶴市のフランス料理店「タケウチ(店の表記はTakeuchi)」もそのなかの一軒でした。昼も夜も予約が必要な店ですので、思い立ったら行ってみるというわけにいきません。
以前から何度かは電話だけはしたことがあります。そのたびにものごしのやわらかい応対。好感度はいやがおうにも高まる店でした。
この日はランチ。ランチメニューは3300円のお任せコースだけです。ご主人がシェフ、奥さんが接客という小さな店です。
「天然酵母のパンです。瀬崎産の夏みかんから作った酵母です」
瀬崎というのは若狭湾に突き出た大浦半島先端近く、外海に面した村落です。そのパンがきわめてシンプルな焼き方ながらも味わい深く、そのまま食べてもソースをつけて食べてもおいしい。一品めが出てくるよりも先にパンを食べきってしまったのでおかわりをしました。
「畑でキクイモがとれましたからスープにしてみました」
キクイモとわかりやすい言い方をしてもらってありがたい。トピナンブールなんてフランス語で言われたらわからないところでした。おいしかった。皿の底をなめまわしたくなるくらいおいしかった。薬味いっさいなしがいいですね。
「野原でサワラとホタルイカが揚がりました」
舞鶴で野原といえばおいしい魚の代名詞みたいな場所です。サワラは皮を香ばしく塩焼きのように仕上げてあります。ホタルイカも薄味仕立てです。ソースやオレンジと一緒に食べたときに味が広がります。
「黒毛和牛です。地の野菜を付け合せにしました」
こういう肉を食べるたびに、霜降り肉信仰はもうやめましょうと言いたくなります。霜降り肉は値段がとても高いけれど本格的な肉料理で食べる対象ではない。そう思えてなりません。
地の野菜もおいしかった。畑の香りも感じました。
ビビアンがいてくれないとお菓子の名前をたやすく忘れてしまいます。キャラミリゼしたなんとかなんですが・・・覚えているのはおいしくてもっと食べたかったこと。
このお菓子の名前も忘れました。
料理店の話題となりますと、どうしても味や値段に関心がいきがちです。タケウチの場合、おいしいのはいわずもがな。それよりも魅力のある店という表現がぴったりだと思います。おいしいものを食べていってくださいというご夫妻の心がほんとうによく伝わってくる店です。
レストランタケウチ URL=http://www3.ocn.ne.jp/~takechef/
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