吉田のしだれ桜を明るい光の下で見直したいと思った。
ライトアップされるものと見越して、昨日は夕暮れ時に訪ねてみた。残念ながら今年のライトアップは中止になって、薄暮のなかで見るにとどまった。
今年2月、雪の重みで大きな枝が一本折れた。寺の境内に向かって垂れ落ちる太い枝で、桜の姿にとってだいじな枝だった。
駐車場の番をするお年寄りからそう聞いた。
樹齢300年ですからねえ、骨粗鬆症だったんでしょう。
骨粗鬆症という冗談が通じるかどうか不安だったが、それは私の杞憂だった。骨粗鬆症だったのかねえと笑ってもらえた。骨粗鬆症という言葉が世間で普通になってきている。骨の薬を売る立場ではありがたいことだ(ありがたいと思うなら油売ってないで薬売りに行け)。
吉田地区はどのお宅も端正で美しい。
私がそう言うと、でも住む人間が年をとってしまってだめだという答が返ってきた。子供を見ないでしょうというのだ。
私は58歳だと答えると、ここに来たらまだまだ若手だという。
老いたのは桜ばかりではないのだ。
老いた家の面倒を老いた人たちが見ていることになるが、老いた人たちの几帳面さそのままにどの家も美しい。
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