西洞院七条を北へ300mほど入ったところに仕事の訪問先があります。
コインパーキングに車を置いて訪問先へと歩き始めたら、Boulangerie Roukというパン屋さんがありました。
軽のバンが1台、店の前に駐まってパンを積み込んでいます。
どんなパンかなと思って荷台をのぞきこんだら、IL GHIOTTONEと書かれたトレーが見えました。
ご用達はよくないなあ
IL GHIOTTONE・・・イルギオットーネより他の読み方はないですよね。あのイルギオットーネ? 予約がとれないことでよく知られたイタリアンの人気店。
ということは、このなんでもなさそうなパン屋は、イルギオットーネとなにか関連のある店か?
ともかくパンを買ってみよう。アンパンとクリームパンを買って昼メシにしとこう。
店に入ったら、バケットのバスケットに「大好評 イルギオットーネご用達」と書いた札が貼ってありました。
なるほど、それでさっき、IL GHIOTTONEと書いたトレーにパンを積んでいたのか。
しかし、イルギオットーネも偉くなったもんです。
ご用達なんて言ってもらってます。
パン屋のほうもパン屋のほうです。何をそんなに浮かれているのか。
ご用達とは、本来、宮内庁、王室、大名、旗本、公家などの高貴な身分のお方に商品を納入することをいいます。
パン屋もレストランも、感覚を健全な状態に戻す必要があります。
ご用達という言い方をしますと、イルギオットーネを客よりも上に扱っていることになってしまいます。
ご用達とまでイルギオットーネを崇め奉ってパンを納入して後、そのパンを食うのは誰か? エンドユーザーは客じゃないですか。
その客が必ずしもパンを買いに来るわけではないけれども、レストランに納入されたパンを食べる者を含めて自店のエンドユーザーだといった発想でものを考えるべきでしょう。
だというのに、客向けの宣伝文句で「イルギオットーネご用達」ともの申すは、客を下に置くも同然です。
ご用達の語感を流用して、「セレブ御用達」といった使い方もしますが、イルギオットーネご用達と同質の使い方ではありません。
非凡なパンではない
それはそれとして、イルギオットーネに納めているというバケットを買いました。
けれども、イルギオットーネご用達というだけでおいしいと決まったわけではありません。予防線を張って食パンも買いました。
そして、昼メシ用にアンパンとクリームパンです。
家に帰って、バケットを食べてみました。
まず思ったのは、「切った断面が穴だらけ」ということです。バケットって、こんなに穴が開いてたかなあ・・・
ただし、この穴のおかげか、つまりエアークッションが利くせいか、パンに弾力があります。上質なダウンの復元力みたいなもんでしょうか。そして、モチモチ感も充分です。
外側の皮がこうばしくて、「フランスから輸入した高温の石窯でしっかり焼き込まれる事で、外側はカリッと香ばしく中身はしなやかで弾力のある口当たりになり甘味も増します」と店のホームページに謳ってある通りだと思いました。http://rauk.okoshi-yasu.com/kouza%20furansupan.htm
けれども、パンとしてビックリするほどの非凡さかというと、そんなすごいもんではありませんでした。ル・プチ・メックのバケットのほうがおいしいと思いました。
「イルギオットーネ→予約がとりにくい店→その店が選んだバケット→めちゃおいしい」という連想は成り立ちにくい。
予約がとりやすい店でもこれくらいのパンならいくらでもあるぞといったところでした。
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