2011-11-20

番外編:第5回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト 決勝進出者決定

第5回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト決勝進出者


 山形県庄内町農林課から連絡がきました。「第5回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト(第5回米コン)」の決勝進出者(一般の部30名・高校生の部6校)が決まったとのことです。
 上の表をクリックしていただきますと、庄内町農林課のサイトで進出者名簿を見ていただけます。


【プロも顔負け、勉強で育てた米】


 おっ!と思ったことがふたつあります。


①山形県立庄内農業高等学校のミルキークイーンが、高校生の部6枠にとどまらず、一般の部30枠にも入っている。つまり、米作りのプロと互角の味。
②(財)魚沼市農業公社(須原小5年生)のコシヒカリが一般の部で選出されている。小学生が農業体験教育で育てた米だと思われる(下の魚沼市農業公社ホームページをご覧ください)。






【うちが審査した米は選外】


 私たち夫婦が食べ比べた米は、216番、169番、293番、330番、198番の5つでした。
 残念ながら、どれも決勝進出には至りませんでした。それぞれの米の生産者名が送られてきました。
 ここに書いてある順位というのは、私たち夫婦がつけた順位です。それぞれの消費者審査員がこのように順位をつけて、またABCの三段階評価も加えました。


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【まったく不透明な決勝進出者決定プロセス】


 前にも言いましたが、この米コンは、競技としてはまったくいいかげんなものです。


 消費者審査の対象となった出品米の数は420です。その420種を5種の米で1セットにして分けます。420種を5種ずつ分けるということは、84セットができあがる計算になります。
 その84セットを、450人の消費者審査員に割り当てます。ということは、1セット毎に5人か6人の消費者審査員がつくことになります。いいかえますと、たった5人か6人くらいの判定です。


 このような審査結果が集められて、出品米ごとの評価が集計されます。しかし、しかし、です。こんな審査プロセスなのに、決勝進出の米30種をいったいどんな根拠で決めるというのでしょうか。
 一例として、私たち夫婦が食べた216番という出品米を挙げれば、私たちを含む数人の消費者審査員は216番を食べました。けれども残る445人前後の消費者審査員は食べていません。これでは216番の本当の順位を特定できません。420種の新米のベスト30をこのような審査方式と集計方式で正しく決められるはずがないと思うのです。
 主催者の山形県農林課は、この根拠をなんら公表していませんし、実は根拠薄弱なんですとも公表していません。


 主催者は、こんないいかげんなコンテストが不必要な権威をもつことのないように、楽しいお祭りとしての方向性を意識的に打ち出すべきではないでしょうか。コンテストの意義は米の順位付け以外のところにあるのだと、もっと強調してもらいたいと願っています。


 というのも、収穫量を犠牲にしてでも食味を優先する生産者の米が上位にくる傾向があります。当然のことながら、生産コストが嵩みますから、販売価格も高くなって、いわゆるブランド米として流通します。
 ブランド米にはおいしさという価値はあるにしても、その栽培方式や販売価格では、日本全国の米消費量をカバーすることができません。
 いいかえますと、米消費を幅広くカバーしている非ブランド米があるからこそ、ブランド米生産者がおいしさにこだわれるのです。
 そうした実用性に乏しい米を、いいかげんな比較審査だけでいたずらにもちあげることになってはいけない。私はそう思います。

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